過去を知り、未来を創造するデータ活用
- 会社名
株式会社ベクトル
- お話を伺った方
NewsTV事業本部
第一ビジネスユニット ビジネスユニット長
高杉様
事例ポイント

ーまず、NewsTV事業本部の役割と、高杉様のお仕事内容について教えてください。
NewsTV事業本部は、動画を使って生活者に商品の認知・購買意欲を喚起したい企業様の支援をしています。最近はマーケティングだけではなく、コーポレートブランディングや採用ブランディングとして企業様の支援をする機会が非常に多くなりました。
事業本部直下に複数のビジネスユニットがあり、一つのビジネスユニットで営業・制作・進行管理を一体で運営しています。その中で私は第一ビジネスユニット長としてチーム全体を統括しています。
ー案件獲得から納品まで、どのようなプロセスで進めていますか?
まず営業が案件を獲得するところから始まります。例えばメーカーさんであれば、新商品の認知度向上や、既存商品のマーケティング課題をお聞きし、ニーズを拾っていきます。
そこから、営業が課題解決のための具体的な提案を作成します。この提案には、制作部門や運用部門も絡みながら内容を練り上げていきます。 提案が通れば、具体的な映像制作と広告配信を進め、最終的に動画をインターネット広告で配信して完了、という流れです。
ー競合他社と比べた際のNewsTVの強みは何ですか?
弊社のお客様からご評価を頂いている部分は、動画の企画・制作と配信プランニングを一気通貫で完結できる点です。多くの企業は制作会社に動画だけ発注し、その後の配信や運用は別会社に頼むといった分断された体制になりがちですが、動画を作ってからどこでどう配信するのかを同じチームで考えられるため、施策全体の精度も向上しやすいです。
ー「Knowns 消費者リサーチ」(以下「Knowns」)の導入前に、どのような課題を抱えていましたか?
NewsTVの事業でいうと、コロナ禍が大きな転機でした。コロナ禍前は、企業様が新商品発表会のようなイベントをやることが多く、イベントをきっかけに撮影から広告配信をお手伝いしていました。しかし、コロナ禍で展示会や発表会の場がなくなり、我々の考えを変えざるを得なくなりました。
単に映像を作るだけでは十分ではなく、コンテンツ設計から考え、どのようなクリエイティブで何を解決するかをより突き詰めて検討するようになりました。また、お客様の中・長期的な課題解決に取り組むに当たって、消費者データという「提案の出発点」となるものが必要でした。
しかし、社内にはお客様の商品やブランドが置かれている状態が分かるデータがあまりありませんでした。そのため、そちらを見立てられるようなツールがほしいと思っていました。
ー「提案先のお客様に関するデータがない」という課題を解決するために、他に検討されたツールや手法があれば、教えてください。
某IT大手の検索ワードの分析サービスを試したことがありますが、そもそもパネルに偏りが見られたことと、データが断片的だったことがネックとなり、最終的には導入を見送りました。なるべくデータの偏りがなく、定点的に蓄積されているフラットなデータがほしいと思いました。
ーフラットで積み上げられているデータがほしい背景は何ですか?
蓄積されたデータを見たいというのは、前職のリクルート社でメディア営業をしていた経験が影響していると思います。蓄積されたデータがあれば、過去を振り返りながら、現在との差分や変化に気づき、新しい価値をどう生み出すかといったことが分かるので、非常に大切だと思います。
ー「Knowns」を知るようになったきっかけは何ですか?
ノウンズのサービスを知ったのは今から約2-3年前のことです。弊社が利用している顧問サービスを通じて、ノウンズのサービスを知りました。ビジネスマッチングのような形で知ったのが始まりです。
ー導入検討時の「Knowns」に対する印象や評価を教えてください。
一言でいうと、非常に魅力的だと感じました。ビッグデータを積み上げていて、いろいろな切り口で見れる柔軟性が大きな強みだと感じました。サービスの使い方が限定されず、幅広く使えるようにプロダクト設計がされているので、何にでも使えるとその時に思いました。
また、企業単位のデータが入っている点も大きなメリットです。商品やサービスだけでなく、企業の名前で認知率などのデータが入っていたので、我々が法人営業する際に必要なデータが揃っているという印象を受けました。
ー「Knowns」の導入目的や狙いはどういったものでしたか?
お客様に継続的に当社ソリューションをご利用いただくには、課題設定の幅と深さを高める必要がありました。ご存じのようにブランディングは一朝一夕で終わるものではありません。営業活動をする中で、中・長期的にどのようなコミュニケーションを行い、どのようなターゲットにアプローチしていくかを検討するために、データ活用を通じて提案の質を上げることで、最終的な売上数字の向上につなげたい狙いでした。
ー最終的に弊社ツールを選んでいただいた決め手は何でしたか?
データ分析の柔軟性があるということと、データの信頼性が担保されている点でした。
まず柔軟性に関しては、弊社としてもデータ活用のパターンが様々ある中で、ツールの仕様によって限定的な分析しかできなくなると、お客様に対する提案の幅が狭まってしまいます。そのため、ツールの柔軟性は非常に大事なポイントでした。
信頼性では、他社ツールのパネルバイアスを懸念しましたが、「Knowns」はフラットなサンプリングで精度が高いと感じました。
ー社内での承認プロセスはスムーズに進みましたか?
全体的にスムーズでした。特に提案活動の質を上げるといったことに関しては、私に裁量権はあったので、社内関係者に対して導入背景や使い方を説明し、とてもスムーズに承認を得て導入することになりました。
ー現在、具体的にどのような場面やシーンで使っていますか?
営業プロセスの提案前から提案の途中までの場面で主に使用しています。特に競合性の高い商品の場合、初回訪問時にお客様のサービスがカテゴリーの中でどのような立ち位置にあり、競合は誰か、お客様が何をやりたいのかといった課題設定のための情報として「Knowns」を利用します。
より具体的な提案に進む際には、認知度だけでなく、「どのようなターゲットに使われているのか」「競合に対してどのようなコミュニケーションが有効か」など、深く掘り下げて具体的な施策を練るのに役立てています。
初回訪問するようなお客様に対しては、いきなりお客様の課題を拾うのは難しいので、いかにお客様のことを深く知るかが非常に大事だと考えます。
これまでもオープンデータや生成AIを活用していましたが、「Knowns」で事前に深くお客様のことを知ることで、「この人は信用できる」と思ってもらい、次のステップへスムーズに進めるようになりました。
ーご自身の評価として、御社内での活用度合いを5段階評価(1=まったく活用できていない、5=フル活用している)で示すとしたら、いくつだと思いますか?
真ん中より少し上という意味で、3.3だと思っています。我々が「Knowns」活用の第1フェーズとして位置づけている「今を知る」という点では、ある程度活用できていると思います。ただその先の第2フェーズである「お客様と一緒に未来を共創する」ための活用までには至ってないので、若手メンバーを育成しつつ、そのような活用ができるようにしていきたいです。
ー御社における「Knowns」の使い方・ガイドラインがあると聞いたのですが、それはどういうものですか?
基本的には広いところから、細かいところへドリルダウンしていくような使い方をしています。具体的にはポジショニングマップでカテゴリー内の認知を確認し、競合を設定します。次は、クライアントのブランドと競合ブランドの7ジャーニーなどをそれぞれ見ています。商品・サービスが購入される価値が何かを捉えるために段階的に見ていく使い方で運用しています。
また、案件によって参照すべきダッシュボードを変えています。例えば、日用消費財であれば、短期間で購買経験などが変わるので7ジャーニーの変化はあまり気にしません。一方でショッピングモールであれば、なぜ行かなくなったのか、行っている人とそうでない人の捉え方の違いなどを定点的に見ます。
高額商品を扱うお客様の場合、日用消費財によくあるPOSデータのような定量で分析しやすいデータが揃っているわけではなく、店舗で接客して得られたやや偏った定性データを頼りにすることが多いです。そのため、お客様自身でも自社商品のターゲットの理解が難しい部分があります。その際にはノウンズのデータを確かめ、顧客のターゲットが合っているかどうかの確認に活用しながら提案するようにしています。
弊社の若手営業メンバーに対しては、「この案件ではこのデータは見なくていい」と事前に指示を出すなど、データに溺れないように手引きをしています。お客様との会話を通じて、何を知るべきかを見極めてからデータを見るように指導しています。
ー具体的な案件における「Knowns」の活用事例について教えてください。
日用消費財では複数ターゲットへの最適コミュニケーション策が課題でした。お客様は複数のターゲットを考えており、それぞれに合わせたコミュニケーションを考える必要がありました。商品の特徴として嗜好性が高い商品であるので、消費者がどのような活用をしているかをお客様もすべて把握できていない部分がありました。また、「Knowns」のデータから、認知度が高いものの、ファネルで見た際に購入への転換が進まない課題もありました。
まずはその商品がどのような商品と競合しているかを特定し、次にファネル分析なども活用して認知から購入に至るプロセスを詳細に分析しました。これにより、消費者が認知しているにもかかわらず購入に至らない原因や購入のハードルを特定しました。
さらに、ABテストの軸を設定する際にも活用しました。例えば、「節約志向層」と、「利便性重視層」といった用途やニーズの違いに基づいて訴求の提案を行いました。
また、「Knowns」のデータは、顧客が持つ既存の認知率の認識と 「Knowns」のデータとの比較を通じて、顧客がターゲット層をより広くとらえ直し、コミュニケーション戦略を再考するきっかけとなりました。
これにより議論が深化し、納得度の高い提案が実現しました。
ー弊社カスタマーサクセスの導入支援についてはどう感じていますか?
CSのお二人は、人柄がとても良いです(笑)。特に内田さんとは、CSというよりも、「お客様にどのような価値を提供すべきか」という観点から壁打ち相手になっていただいており、非常に助かっています。千田さんには、それに対してどのような機能があるかを具体的に橋渡ししていただいているので、観点と具体性の両面でCSとしてうまく機能していただいていると感じます。
「Knowns」は機能が多いため、他社のツールに比べて使う難易度が高いと認識していますが、CSのサポートがあるため、現状で十分活用できていると感じています。今後は、「未来志向」のアイデアや、より深い活用方法について、どんどんアイデアをいただけると嬉しいです。
ー「Knowns」の導入後の成果はいかがですか?
弊社ソリューションの場合はお客様の納得感が大事で、もし納得感が低いとミニマムな利用額から始めることになります。そのためには提案の合理性や蓋然性を上げる必要があり、そういった点でノウンズの導入の良い影響を感じています。案件によっては100に対して130%増のインパクトが出ています。また、定量調査の工数は一人当たり2〜3時間削減できています。
ー導入前に予想していなかった効果や発見はありましたか?
工数削減や提案精度向上に加え、「施策成功のための提案アプローチ」が変わった点が大きな発見です。ただ数値的裏付けを示すだけでなく、「次に何を提案すべきか」をより深く考えるようになりました。
ー最後に、「Knowns」 消費者リサーチの導入を検討されている方々へのメッセージをお願いします。
「Knowns」を単なるデータのプラットフォームとしてではなく、営業活動やお客様の施策を成功させるための「有効な手段」だと捉えています。データ活用はもちろんのこと、営業生産性の向上、そしてお客様にとっての新たな価値を創造していく上での観点としても非常に有効なツールと考えています。
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