二日酔いだけじゃない?忘年会で助かるあの心強い「味方たち」を比較


こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。

気付けば12月、飲み会が増えてくる季節になりましたね。

私は年々お酒が弱くなっているな、と感じているのですがみなさんはいかがですか?

二日酔いや悪酔い対策といえば、肝臓の働きをサポートする「栄養ドリンク」が思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。

“飲み会前 ドリンク”で検索すると上位に上がってくるのが、「ヘパリーゼ」と「ウコンの力」。  

今回はKnowns 消費者リサーチを用いて、今月大活躍するであろう?「ヘパリーゼ」と「ウコンの力」について分析してみたいと思います。

ゼリア新薬 ヘパリーゼ

1968年にゼリア新薬から肝臓障害治療薬として、錠剤で発売された「ヘパリーゼ」。

その後、滋養強壮剤・肝臓⽔解物配合を配合のものが発売され、1994年には内服液・ドリンクが発売されました。

その後さまざまな成分やシーンに合わせた商品が増え、現在は錠剤(サプリ)とドリンク剤で医薬品からコンビニで手軽に買えるタイプまで、様々なラインナップが登場しています。

「ヘパリーゼ」は肝臓や胃腸などに働き、滋養強壮効果を発揮する肝臓水解物と、新陳代謝機能を活発にするビタミンや生薬を配合した医薬品の栄養剤です。

肝臓水解物とは天然の新鮮な豚のレバーに消化酵素を加えて加水分解し、アミノ酸やペプチドの形にしたもので、必須アミノ酸をはじめとする合計18種類ものアミノ酸のほか、細胞が作られるときに必要な「核酸前駆物質」が含まれているため、肝臓の細胞の生まれ変わりを効率よくサポートするそうです。

パッケージが肝臓のイラストなのはこの効果のアピールでしょうか。

利用者層分析

■ブランドデータ_ヘパリーゼ 認知率・好感率(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:ブランドデータ_ヘパリーゼ 認知率/好感率

■デモグラフィック分析_ヘパリーゼ 現在利用層(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:デモグラフィック分析_ヘパリーゼ 現在利用層

「ヘパリーゼ」利用者のデモグラ構成比をみると20代後半~50代前半が多く、特に30代の割合が高く出ています。

男女比では女性が多いです。

実際公式サイトにも女性向けのページが設置されています。

■7 Journey ヘパリーゼ(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:7 Journey ヘパリーゼ

「ヘパリーゼ」の7 Journeyを見てみると、離反が1.9%と低いので、一定の人が気に入って購入していることがわかります。

また、チャンスや認知はしているが利用していない層(きっかけ待ち)が多いので、知っているけれどお酒飲まないから使わないのか、お酒以外に胃腸の調子が悪い時の手段・候補にはあがらないのかもしれません。

潜在顧客(チャンス+きっかけ待ち)の引き寄せと未認知層へのアプローチをするとさらに利用者が増えるのではないでしょうか。

どんな人に選ばれる?

■サイコグラフィック分析_ヘパリーゼ 積極ロイヤル層・個人価値観(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:サイコグラフィック分析_ヘパリーゼ 積極ロイヤル層/個人価値観

■サイコグラフィック分析_ヘパリーゼ 積極ロイヤル層・社会価値観(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:サイコグラフィック分析_ヘパリーゼ 積極ロイヤル層/社会価値観

■サイコグラフィック分析_ヘパリーゼ 積極ロイヤル層・消費価値観(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:サイコグラフィック分析_ヘパリーゼ 積極ロイヤル層/消費価値観

サイコグラフィックを見てみると、個人価値観は“アウトドア派””結果至上主義””倹約家”な方が多いです。

社会価値観は周囲の人との関わりを大切にする“トライブ重視”の他、“ワーカホリック””出世優先”と、人付き合いの多いビジネスパーソンに多く利用されているようです。

消費価値観は“リターン期待型消費””ブランド消費””ステータス消費”が高いことから、コスパや独自の価値を元に消費行動を起こす傾向がありそうです。

ハウス ウコンの力

ハウスウェルネスフーズ より2004年に発売した「ウコンの力」。

カレースパイスメーカーとして、100年以上スパイス研究に力を入れていたハウス食品は、“お客さまに健康とおいしさを発信できる企業を目指したい”という想いから、長寿の多い沖縄県の食文化でありカレーの原料でもあるウコンに着目したそうです。

ウコンは土臭くて苦味が強いことから、“おいしさ”へこだわる食品メーカーとしては開発に大変苦労したそう。ドリンク化にピッタリなウコン原料の探索から何百もの試作検討と嗜好調査を行い、「ウコンの力」は誕生しました。

参考:開発ストーリー 第2弾「ウコンの力開発秘話」【「ウコンの力」開発担当者が語る】4週連続コラム/ ハウス食品

「ウコンの力」はハウス食品が厳選した秋ウコンのクルクミン(秋ウコン色素成分)と秋ウコン由来の健康成分ビサクロンが配合されています。

ドリンク剤から顆粒タイプと粒タイプも販売されており、飲み方やシーンに合わせたラインナップも豊富です。

参考:ウコンの力 公式ブランドサイト / ハウス食品

利用者層分析

■ブランドデータ_ウコンの力 認知率・好感率(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:ブランドデータ_ウコンの力 認知率/好感率

■デモグラフィック分析_ウコンの力 現在利用層(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:デモグラフィック分析_ウコンの力 現在利用層

「ウコンの力」利用者のデモグラ構成比をみると20代後半~50代前半が多く、「ヘパリーゼ」と同じく、特に30代の割合が高く出ています。

男女比では女性が多く、デモグラでは全体的にヘパリーゼと似たような結果が出ていますね。

■7 Journey_ウコンの力(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:7 Journey_ウコンの力

「ウコンの力」の7 Journeyを見てみると、「ヘパリーゼ」よりも認知率が高いことがわかります。

「ヘパリーゼ」と同様、潜在顧客の層が多いようですが、一方で現在購入していないものの購入意欲がある層(巻き戻し)の層も高く出ています。

R&C株式会社が行った20~50代の社会人男女1,000人に飲み会に参加する頻度や費用などについてアンケート結果によると、​​飲み会への参加機会の有無は、職場の飲み会で50.6%、プライベートの飲み会は54.5%「ある」という回答だったそうです。

さらにコロナ禍以前と比べた飲み会の状況としては、職場の飲み会は48.8%、プライベートの飲み会は50.9%ほどの人が「コロナ禍以前よりも減った」と答えているそうです。コロナ禍の影響も巻き戻し層が高いことに繋がるのかもしれません。

参考:20代は40~50代よりも飲み会好き!R&Cマガジン「飲み会事情」/ livedoor News

どんな人に選ばれる?

■サイコグラフィック分析_ウコンの力 積極ロイヤル層・個人価値観(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:サイコグラフィック分析_ウコンの力 積極ロイヤル層/個人価値観

■サイコグラフィック分析_ウコンの力 積極ロイヤル層・社会価値観(Knowns 消費者リサーチ調べ)

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■サイコグラフィック分析_ウコンの力 積極ロイヤル層・消費価値観(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:サイコグラフィック分析_ウコンの力 積極ロイヤル層/消費価値観

サイコグラフィックを見てみると、個人価値観は“アウトドア派””倹約家””八方美人”な方が多いです。

また社会価値観は“ワーカホリック””トライブ重視”に次ぎ、“おりこうさん”と仕事を真面目に頑張りつつ、人との繋がりを重視する方に多く利用されているようです。

消費価値観は“リターン期待型消費””ノスタルジー消費”に次ぎ、懐かしいものに消費行動を起こす“ステータス消費​​”が上位にきています。

「ヘパリーゼ」同様、ステータス消費が上位に来ているので、気に入って購入している方が多いようですね。

ヘパリーゼとウコンの力の違い

商品区分の違い

まず「ヘパリーゼ」は商品によって医薬品・医薬部外品、清涼飲料水・栄養補助食品に分けて販売されています。

コンビニなどで目にする「ヘパリーゼW」は清涼飲料水・栄養補助食品です。

■商品・サービスへの意見_ヘパリーゼ(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:商品・サービスへの意見_ヘパリーゼ

実際に利用者の声を見てみると、「ヘパリーゼ」は“ドラックストアで薬剤師さんに勧められた”という購入きっかけの方が多くいました。

一方、「ウコンの力」は清涼飲料水のカテゴリーとなっています。

「ヘパリーゼ」の主成分「肝臓水解物」は前述したように動物性由来の成分であり、医薬品から健康食品に使われますが、一方「ウコンの力」の「ウコン」も抗酸化作用、抗炎症作用、肝臓のサポートなど、さまざまな健康効果を持ち、料理にも使えるため、比較的日常生活に取り入れやすい食品です。

参考:商品ラインアップ ウコンの力 公式ブランドサイト / ハウス食品

効果の違い

「ヘパリーゼ」も「ウコンの力」も“二日酔い対策”のイメージがありますが、成分も違う分、効果にも違いがあるそうです。

「ヘパリーゼ」の主成分・肝臓水解物は18種類程のアミノ酸を含んでおり、肝機能の回復を助けると言われています。

肝臓はアルコールの分解だけでなく、解毒や代謝などの機能も持っているため、肝機能のサポートや回復により、疲労感やだるさの軽減にも効果的だそうです。

一方「ウコンの力」の主成分・ウコン(クルクミン)は胆汁の分泌を促進し、アセトアルデヒドの分解を早める効果があります。

また、胃のぜん動運動を助けて胃液の分泌を促進させ、消化吸収をサポートするのでアルコールの分解速度を早める効果があるそうです。

そしてハウスウェルネスフーズ​​ではお酒を飲む方以外に向けた秋ウコンを使った機能性表示食品も開発・販売されています。

クルクミンとビサクロンが健康な人の肝機能酵素値の改善に役立つ「クルビサ」と、秋ウコンエキスが、肌の水分保持に役立ち、肌の乾燥を緩和する「ゴールデンヴェール」は配合調整や溶出試験など年単位での研究を重ねてできた商品だそうです!

さすがスパイス研究の要ですね!

参考:開発ストーリー 「秋ウコン」の意外なチカラとは?!人気製品の開発秘話インタビュー! / ハウス食品

どちらもラインナップがすごい!

双方の現在発売されているラインナップをみると、どちらも種類豊富で驚きました。

「ヘパリーゼ」は“飲み会用”というよりも、“溜まった疲れ”“日々のだるさに”という文言で売り出している商品が多いです。

製薬会社から出ている商品ならではなのかもしれません。

公式サイトでも風邪の引き始めや女性のための有効成分などが紹介されており、飲酒よりも日々の健康補助のイメージが強くなりました。

参考:ヘパリーゼ医薬品 製品情報 / ゼリア新薬

一方「ウコンの力」も様々な有効成分のものがラインナップになっていますが、カロリーが控えめなもの、味わいに拘ったもの、“ここぞの飲み会用”などがある中でもメインテーマは“毎日の元気をサポート”といったワードから、ヘパリーゼよりも気軽に飲めるように感じました。

味にこだわったものがあるのはさすが食品会社の商品ですね。

また、「ウコンの力」公式サイトでは「飲み会幹事用ツール」やオリジナルパッケージが作れる「ウコンの力make」など、”飲み会”や結婚式、何かのお祝い、パーティーなどで使えるツールがありました。

やはり「ウコンの力」は飲み会文化を応援している商品なのかも知れません。

参考:ウコンの力make ウコンの力 公式ブランドサイト / ハウス食品

みんなの二日酔い対策って?

株式会社エムエスディ​​​​が30代~50代のお酒を飲むことのある女性に​​行った飲酒や二日酔いに関するアンケートによると、62.1%​​の方がお酒を飲むことが「好き」と答えていました。

二日酔い経験者の二日酔い対策方法の項目をみると、お酒を飲む”前”の予防より飲んだ”後”の対策の方が行われる傾向があるようです。

といっても44.0%と過半数以下の人しか対策を行っていないようです。

二日酔い対策を世代別に見てみると、若い世代の方が対策にお金をかける傾向にあるようです。

参考:二日酔い経験がある女性の6割は二日酔いのまま仕事に行っている?! 30代~50代女性のお酒との付き合い方に関する調査 / 株式会社エムエスディ / PRTIMES

また日経Womanによると二日酔い対策として、ドリンク剤以外に乳製品やシジミ(オルニチン)、柑橘類で対策しているという人も多くいるようです。

参考:働き女子が実践している「私の二日酔い対策」知って損なし! お酒を楽しく飲むために、みんなはどうしているの? / 日経Woman

まとめ

ヘパリーゼ利用者の特徴

・製薬会社による医薬品・医薬部外品、清涼飲料水・栄養補助食品​​

・アウトドア派・結果至上主義・倹約家

・人との関わり重視しつつも仕事優先

・リターン期待型消費、ブランド消費、ステータス消費

・飲酒だけでなく日々の疲れやだるさにも特化

ウコンの力利用者の特徴

・食品会社の出す清涼飲料水​​

・メインの成分が植物由来

・20代後半~50代前半・女性から人気

・アウトドア派・倹約家・八方美人

・仕事や人との繋がりを重視・真面目

・リターン期待型消費、ステータス消費、ノスタルジー消費

どちらも20代後半~50代前半・女性に人気が高く、ビジネスパーソンで人付き合いが多い方に選ばれているという共通点がありましたが、互いに製薬会社・食品会社としての強みを活かし、それぞれのポジショニング戦略を行なっているように感じました。

ちなみに「ヘパリーゼ」も「ウコンの力」も飲酒前や飲酒直後​​に飲むのが効果的だそうです。

そして二日酔いには特効薬はないですが、飲んだ後にできることとして、

・不足している栄養素を補う

・水分を摂る

・入浴を控える

・吐きたくなったら吐く

ことだそうです。

今後さらに地位を確立するには、顧客がもつイメージの差別化が鍵になってくるかも知れません。