ふるさと納税サイト業界の市場分析をしてみた


毎年この時期になると目にする「ふるさと納税」。

ご当地の名産品とかが手に入るんだろう、手続きが面倒くさいかもしれない。

そんなあと一歩踏み出せていない人ライトな人がもまだまだ多いのではないでしょうか。

ふるさと納税の手続きが簡単にできるふるさと納税サイト。

よくCMでもみる「さとふる」や「ふるなび」を利用している方も多いです。

実際どこが有名どころで、今伸びているのかそういった市場全体のことは知らなかったりしませんか。

今回は市場全体から注目のブランドをピックアップして、ノウンズビズで分析をしてみようと思います。

ふるさと納税サイトの特徴について詳しく知りたいという方、市場について関心がある事業者の方々の参考になりましたら幸いです。

ふるさと納税サイト業界紹介

まず前提となるふるさと納税ですが、元々はどういう成り立ちの制度なのでしょうか。

簡単にいうと生まれ育ったふるさとに自分の意思で納税をできるようにする制度です。

人にもよるかと思いますが、生まれた自治体と今住んでいる自治体が違うという方々が生まれ育った地域の自治体に対して寄付のような形で納税することができます。

もちろん最初の成り立ちは生まれ故郷ですが、実際にはどの自治体にするかは選択可能です。

そのため好きな返礼品を選定しながら選ぶ方も多いでしょうし、自治体側も色々な返礼品を用意しているケースもよく見られますよね。


参考:総務省サイトより よくわかる!ふるさと納税https://www.soumu.go.jp/mainsosiki/jichizeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/about/


ふるさと納税の調査に関しては別の記事でも紹介していますのでこちらも合わせてご覧ください。


関連記事:ふるさと納税がいま話題に!市場分析から見るトレンドや重要ポイント


もちろん各自治体から手続きも可能ですが、返礼品や複数自治体をまとめて比較検討するのに便利なのがポータルサイトです。

代表的なものは以下があります。

  • さとふる
  • ふるなび
  • ふるさとチョイス

などなど…

今回はこちらのふるさと納税サイトの市場を掘り下げていきます。

ふるさと納税サイトのポジショニングマップ

まずは各ブランド市場内でどのようなポジションを取っているのかを認知度からイメージまでグラフで見ていきます。

ふるさと納税サイトの認知・満足・好感・セグメント別ポジショニングマップ

最初に認知×満足と、特定のセグメントに注目しつつポジショニングを確認していきます。

満足率×認知率

■満足率×認知率のポジショニングマップ

よく知られている、かつ利用者からの満足率が高いのはさとふるでした。

認知率 満足率
さとふる 74.7% 11.3%

特に認知率2番手のふるなび(認知率:56.8%)との差は、約15%もあります。

CM含め認知率をあげるための施策が効果的なのかもしれません。

一方で市場全体に言えますが、満足率が全体的にまだまだ低めです。

自治体や返礼品の数の問題なのか、またはサイトの使いやすさなのか要因を突き詰めて改善すればどのブランドにおいても伸びる余地がありそうです。

購入経験層×好感率

では実際に使った経験がある層から好感が高いブランドはどこなのか。

要は実際に利用した経験がある層も多く、未利用者も含めて好感が高いブランドです。

■購入経験層×好感率のポジショニングマップ

やはり認知率が高いのと同様にさとふるが上位に出ていました。

購入経験層 好感層
さとふる 14.1% 24.1%
  • 購入経験層:認知しているかつ今までに利用経験がある
  • 好感層:利用の有無関係なく、ブランドに対して好感を持っている

どちらかというと好感率のほうがほかのブランドとの差が出ているようです。

好感は利用していない層も含まれてくるので、利用していない層をいかに利用層に転換させるかがカギになってきそうですね。

ちなみに次点の好感率2番手はふるなびと楽天ふるさと納税が拮抗してました。

購入経験層の割合での差がありますが、ここは認知での差もあったブランドなので楽天ふるさと納税の認知率があがればポジショニングがかわってくるかもしれません。

ふるさと納税サイトのイメージポジショニングマップ

次にブランドに対するイメージをグラフで分布をみていきます。ふるさと納税ポータル全体に対するイメージの上位項目に加え、特徴的な項目もピックアップしてご紹介します。

利便・合理性×期待感・ワクワク

まずふるさと納税サイト全体のイメージランキングで上位項目に上がっていた利便・合理性と期待感・ワクワクを軸にポジショニングを見ていきます。

■利便・合理性×期待感ワクワクのイメージポジショニングマップ

ここまでの市場全体の認知率や好感率でいくと、さとふるが抜き出ていましたが、意外にも項目ごとで違う結果になりました。

利便・合理性 期待感・ワクワク
楽天ふるさと納税 36.3% 25.6%
さとふる 30.1% 28.0%

特に注目なのが利便・合理性では楽天ふるさと納税が約6ポイントほどの差をつけていることです。平均をみてみるとどちらの項目も平均をクリアしているバランスが良いのは楽天ふるさと納税ということがいえそうです。

そう考えると認知・利用経験がない層が楽天ふるさと納税の課題になりそうですね。

逆にさとふるについては、認知・利用経験は業界としてはキープしつつも、利便・合理性につながる部分をより強化することで他のブランドとの差を拡げられそうです。

利便・合理性×コスパ・経済的

ふるさと納税については、元々は自分自身のふるさとへの還元といった意味がありますが、最終的な選択は個人が選ぶものなので、人によってはいかにうまく活用するかといったことを気にしている利用者も多いのではないでしょうか。

そういった面に注目して、次に利便・合理性の点は変えず、 コスパ・経済的の項目も一緒にみていきます。

■利便・合理性×コスパ・経済的のイメージポジショニングマップ

コスパ・経済的をみると頭抜けて、楽天ふるさと納税が右上に出てくるようになりました。

全体をみると平均のあたりに集中している数ブランドとは一線を画しているように見えます。

これが楽天ふるさと納税のポジショニングなのかもしれませんね。

もちろんもっと違うセグメントや角度でみるともっと別の特徴が見えてくるかもしれません。

ということで今回は楽天ふるさと納税について掘り下げていきましょう。

楽天ふるさと納税のブランド認知度

ではここからは楽天ふるさと納税に焦点を絞り、ポジショニングマップ以外の側面から分析していきます。

ブランド認知調査

Knowns 消費者リサーチでは、独自のフレームワークである7 Journeyにて顧客のセグメントマップを見ることができます。認知・購入・現在購買・購入意向の有無などがわかります。

自社で持っているデータだと購入履歴からの消費者データなので購入前段階の消費者を知ることができる点がポイントです。

■楽天ふるさと納税の7 Journey

7 Journeyをみてみるとやはり認知率がまだ50%以下となっていて、伸びしろがありそうです。

ほかのブランドであるさとふるやふるなびの認知率が楽天ふるさと納税よりも高いということもあるのでその点は施策を考えるのもアリですね。

楽天はほかのサービスとのポイント還元サービスが充実しているのでまずは楽天ユーザーをターゲットに認知・利用者を広げていくことができるのが強みかもしません。

ただ認知率や購入経験(利用経験)に関しては本当に必要としていない層まで届ける必要があるかは考えるべきなので低いからそこだけ注力しないといけないということではないのでその点は注意が必要です。

楽天ふるさと納税のブランドロイヤルティ調査

■楽天ふるさと納税の7 Journey

認知層の中での割合を見ていくと、ロイヤル層が比較的高いです。

そして全体の上段にある購入意向がある比較的ポジティブな項目がそれぞれ高くなっている部分が印象的です。

このフレームワークでは売上向上のためには右上をどんどん厚くしていくことが大事なので先ほどの認知へのアプローチに加えて、チャンス層へのアプローチ、そしてロイヤルの割合をキープしていくといった部分が今後のキーポイントになりそうですね。

もちろん他の要因や状況によってその優先順位は変わってくるのでしっかりと見定める必要があります。

楽天ふるさと納税のブランドイメージを調査

次は楽天ふるさと納税のブランドイメージをみていきます。

時系列や実際の声をみていくことで、消費者からどのような印象を持たれているのかがわかります。

時系列でみたイメージの変化

■楽天ふるさと納税の時系列イメージ分析

※2024年10月~2025年3月は集計中の為変動の可能性があります。

楽天ふるさと納税のイメージ上位をみると、イメージポジショニングと同様に利便・合理性が1位になっています。

ただ時系列で見ていった場合、利便・合理性の数値が高いのは1年前の2023年4月~9月頃であり、その時期と比較すると現在はやや下降気味です。

この1年でどうして変化があったのか、どのような要因が考えられるか深ぼると何か見えてきそうです。

今回は半年単位で時系列グラフを表示していますが、Knowns 消費者リサーチでは1週間~3ヵ月単位まで細かく見ることも可能です。

気になるイメージ変化があった場合、該当する期間の詳細を確認することで施策やキャンペーンの影響も測定するといった活用もできます。

ちなみに楽天ふるさと納税のイメージで伸びてきているのは以下でした。

■楽天ふるさと納税の時系列イメージ分析 チャレンジ・応援

※2024年10月~2025年3月は集計中の為変動の可能性があります。

■楽天ふるさと納税の時系列イメージ分析 絆・親近感

※2024年10月~2025年3月は集計中の為変動の可能性があります。

チャレンジ・応援と絆・親近感が利便・合理性とは逆に右肩上がりで伸びてきている項目です。

2023年4月〜9月 2024年4月〜9月
チャレンジ・応援 20.9% 28.8%
絆・親近感 約21.0% 約27.0%

どちらも「ふるさと」という言葉と関連付けるととても温かみのあるイメージではないでしょうか。

もしかしたら楽天ふるさと納税のサイト内にあるコンテンツや楽天の他のサービスからの印象が関係しているのかもしれません。

ふるさと納税は冒頭に説明した通り、生まれ故郷へ寄付することを目的とした制度なのでこういったイメージがプラスに働くといいですよね。

そうすることで他のサービスと比較して選択する理由の一つになっていく可能性もあります。

どんな言葉を使って楽天ふるさと納税が表現されるのか?

今度はより具体的に消費者の一つ一つの声に焦点を当てていきます。

■楽天ふるさと納税の消費者の声

Knowns 消費者リサーチでは一人一人の声を見ていくことができます。

楽天ふるさと納税に対する消費者の声は、やはりというべきかポイント還元率や他の楽天サービスを利用しているために使っているという声が強いです。

ただ楽天を使っていないユーザーや今後ポイント還元サービスが廃止になっていくことを考えるとそれ以外でユーザーを満足させる、リピートさせる施策を検討していきたいところですね。

ほかにも多くの声が収集できるのでポイント以外の点での意見があれば、それをきっかけにして施策検討の準備をしていくこともできます。

楽天ふるさと納税のマーケの可能性を探る

それではここからは基本的な分析より少し別の角度から楽天ふるさと納税の今後の施策のヒントになりそうなポイントを探していきます。

ここではイメージ分析の続きから他のサイトとの比較やSNSでのデータをみていきます。

イメージ分析・価値観からヒントを得る

例えば、ポイントのほかに以下の消費者の声からはレビュー機能への評価が高いです。

■楽天ふるさと納税の消費者の声

ほかにもショッピングサイトをやっている楽天ならではの評価ともいえそうです。

また先ほどの時系列イメージ分析で伸びてきている項目を見ていくと評価されている「チャレンジ・応援」「絆・親近感」が何に結びついているのかを掘り下げることで見えてくる部分もありそうです。

楽天ふるさと納税のサイトを見てみると返礼品特集のほかに、各自治体や生産者からの動画ドキュメンタリーなどのコンテンツもあります。

ふるさと納税の自治体を選ぶにあたり、寄付先をしっかりとイメージしたい。

かつ返礼品のレビューもこだわりたいような層に向けた施策検討余地がありそうです。

ちなみに楽天ふるさと納税の潜在顧客層がもっている消費に対する価値観は以下の通りです。

■楽天ふるさと納税 サイコグラフィック分析

※絞り込み条件:潜在顧客層・消費価値観

比較的高い数値を示す項目には以下の項目が上がっています。

  • 良いもの良い価格消費商品にあるこだわりがあり、多くの情報を集めて気に入ったものを適正価格で買う
  • ノスタルジー消費原体験からくる懐かしいものを好む消費

このデータをみると先述の層をターゲットに想定してもあながち遠いターゲットではないかもしれません。

普段どんな商品を買っているのか

ふるさと納税の返礼品ラインナップは食料品から家電まで様々あり、実際に買った層の情報であれば利用者情報から遡ることも可能ですね。

また楽天のようにほかのサービスとしてネットショッピングを使う利用者であれば普段どのような購買傾向があるかも分析しやすいのではないでしょうか。

一方で潜在層である、まだ使ったことがないけれど楽天ふるさと納税を利用したいと考えている人々について調査・分析するのは情報収集が必要です。

Knowns 消費者リサーチでは以下のように調べたい条件で利用者の購買傾向と相関分析をすることができます。

■楽天ふるさと納税 相関分析

※絞り込み条件:チャンス層・リピート意向

上記グラフは以下の条件で出しています。

  • 楽天ふるさと納税のチャンス層がリピート意向があるブランドランキング
  • 年齢:25歳以上
  • 表示するジャンル:ビール・ウイスキー・チューハイや梅酒

チャンス層は潜在層の中でも楽天ふるさと納税に購入意向がある顧客なので、その顧客がリピートしたいと考えている酒類はなにかというのを見ることができます。

上位10位については圧倒的にビールが多く、ビールを返礼品として充実させることは重要になりそうです。

一方で他のサイトと比較してみてチャンス層の嗜好の差があればそこをポイントとして施策を検討することも出来そうです。

今回は年齢と酒類で絞りましたが、他のジャンルやデモグラフィックデータで表示させることも可能です。

ターゲットとして狙いたい潜在層がどういった特徴があるのか、自社として力を入れたい方向性はどういったジャンルなのかという面でも調べていくことができます。

消費者は、どんなSNSを見ている?

次は楽天ふるさと納税の消費者は普段どのようにSNSを利用しているのか、その目的や利用傾向をみていきます。

このデータを見ていくことで認知へのアプローチや購買意欲のきっかけを生み出すヒントを探すこともできます。

■楽天ふるさと納税 SNS利用状況

※左:楽天ふるさと納税 購買・利用・観戦経験なしと回答した層
 右:楽天ふるさと納税についてアンケート回答をした層

今回はサービスを知っているけれど利用したことがない層に絞ってSNS利用状況をみてみます。

SNSの利用目的を見てみると、情報収集をしている層が多く、右のグラフと比較してもやや割合が多いです。またSNS未使用層も次に多くSNSは抑えておくべきものの、それ以外の方面での接点・アプローチも必要そうです。

上記は一部抜粋したもので、ほかにもそれぞれのSNSの利用傾向や投稿・閲覧傾向などをみることも可能です。

今後SNSの接点を検討しようと思っているターゲット層はどのSNSを見ていることが多いのか、どういった利用方法をしている人が多いのか施策検討の助けになるでしょう。

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Knowns 消費者リサーチでは、この記事でご覧いただいた機能の他にもさまざまな角度からブランドデータが分析できます。

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