ポテトチップス業界の市場分析をしてみた
「小腹がすいたからお菓子を買いに行こう」
そんな時にみなさんはどんなお菓子を思い浮かべますか?
チョコレートやグミ、スナック菓子など様々な選択肢が出てくるかと思います。
今回はそんな数あるお菓子の中でも”ポテトチップス”に焦点を合わせて、Knowns 消費者リサーチを用いた市場分析やブランド分析を行っていこうと思います。
マーケターや事業者さんのお役に立てると嬉しいので最後まで読んでみてください。
ポテトチップス業界の紹介
ポテトチップスといえば、カルビーや湖池屋などの企業名や、堅あげポテトやチップスターなどのブランド名など多くのワードが連想されるかと思います。
実際に駄菓子屋やスーパーのお菓子コーナーに行くと、数えきれないほどのポテトチップスが並んでいますよね。
また昨年のポテトチップス(スライス)の出荷量は99,035トン、約1,316億円と発表されています。
出荷実績を見てもその市場規模はかなり大きいことが予測できますよね。
参考資料:日本スナック・シリアルフーズ協会よりスナック菓子の出荷実績の推移
https://www.jasca.jp/data/
ポジショニングマップ
まずはポテトチップス業界に属する、各ブランドの認知率や満足率などのポジショニングを確認してみます。
認知度ポジショニングマップ
■認知率×好感率

認知率×好感率ではカルビーポテトチップスが1位となりました。
認知率93.6%・好感率82.4%と、市場を牽引するブランドであることが分かります。
「うすしお味」「コンソメパンチ味」「のりしお味」など、一度は見たこと・食べたことあるフレーバーがたくさんありますよね。
つぎに満足率×巻き戻しです。
■満足率×巻き戻し

満足率の1位は同様にカルビーポテトチップス(80.1%)、
巻き戻しはプリングルズ(29.0%)という結果でした。
巻き戻しは「過去の購入経験があり、購入意向がある」ことを表すので、プリングルズの顧客の変化を見てみると興味深い結果が得られるかもしれませんね。
イメージポジショニング
次に各ブランドのイメージについても分析してみます。
消費者からどんなイメージを持たれているのか、各ブランドの大きな印象はどういった点にあるのかを理解することができます。
ポジショニングする前に”ポテトチップス”に対するイメージを簡単に確認しておきたいと思います。
今回はポテトチップスを高頻度で購入している人はどういったイメージを持っているのか探りたいので、「ロイヤル層」に限定して分析してみます。
■イメージ分析

ポテトチップスに対する最も強いイメージはハマる・依存するでした。
やみつきになる美味しさですし、1位のイメージになるのも納得ですよね。
またベーシック・定番的、家庭的・安堵感も上位にランクインしており、”お菓子といえば”でポテトチップスが浮かびあがる人も多いのかもしれません。
この結果をもとにポジショニングしていこうと思います。
ハマる・依存する×ベーシック・定番的
まずはイメージ1位×イメージ2位のポジショニングです。
■ハマる・依存する×ベーシック・定番的

<ハマる・依存する>
1位 カルビーポテトチップス 40.4%
2位 ブルダック 39.4%
3位 カルビーピザポテト 38.3%
<ベーシック・定番的>
1位 カルビーポテトチップス 43.6%
2位 ヤマザキビスケットチップスター 37.9%
3位 湖池屋コイケヤポテトチップス 37.1%
ハマる・依存する、ベーシック・定番的どちらもカルビーポテトチップスが最も高い数値となりました。
カルビーや湖池屋などの企業が開発したブランドが上位に多くランクインしている中、ブルダックがランクインしているのは興味深いですね。
カジュアル・プチリラックス×コスパ・経済性
次にイメージ分析で上位にあがっていた項目の中から、個人的に興味深かったものを2つピックアップしてみました。
■カジュアル・プチリラックス×コスパ・経済性

<カジュアル・プチリラックス>
1位 カルビークリスプ 32.9%
2位 プチポテト 32.8%
3位 カルビーポテトチップス 30.8%
<コスパ・経済性>
1位 プチポテト 34.8%
2位 カルビーポテトチップス 26.3%
3位 湖池屋コイケヤポテトチップス 24.5%
カジュアル・プチリラックス×コスパ・経済性では、プチポテトが高い数値を叩き出しています。
プチポテトは細長いパッケージの中に、一口サイズのポテトチップスが入っています。
一般的なポテトチップスに比べてサイズが小さく、食べやすい設計となっており、家族や友人とシェアしやすいのが特徴となっています。
また種類も非常に多く、飽きないのも魅力になっていると考えられます。
商品情報 プチシリーズ/ブルボンより
https://www.bourbon.co.jp/petit/product/
またコスパ・経済性は2位のカルビーポテトチップスと大差をつけており、かなりコスパが良い商品のようですね。
またカジュアル・プチリラックスではカルビークリスプが1位となっていました。
各項目でカルビーポテトチップスが上位にランクインしていますが、各ブランドによって魅力や特徴がそれぞれにあるようですね。
次にポテトチップス業界のブランドを1つピックアップして分析していきます。
今回は巻き戻しで一番高い数値であったプリングルズを分析してみます。
巻き戻しにはどんな特徴があるのかを探り、そこにマーケティングの可能性があるのかを探ってみます。
プリングルズのブランド分析
プリングルズとは、アメリカのP&Gによって開発された世界的に大人気のポテトチップスブランドです。
日本では1994年から正式に販売が開始され、現在ではコンビニやスーパーなど様々なところで見かけるようになりました。
現在では日本ケロッグが国内での運営を行っており、ポテトチップスの定番商品の1つになっています。
7 Journey調査
まずは7 Journey分析を用いてロイヤル層や購入経験の有無などを数値化して見ていきます。
■プリングルズ 7 Journey分析

項目の中で最も高い数値だったのは巻き戻しでした。
先程のポジショニング分析でも、巻き戻しでは一番高いブランドとなっていました。
また積極ロイヤルも20%を超えており、5人に1人は購入意向が非常に高いことが分かります。
■積極的ロイヤル×消極的ロイヤル

積極ロイヤル×消極ロイヤルでポジショニングしてみても、プリングルズはかなり上位のブランドであることが見て取れます。
巻き戻しの割合が高いため、過去の人気ブランドなのかとも考えられましたが、ポジショニングを見る限り業界の中でもかなり人気のブランドです。
時系列ブランド認知調査
つぎに先程の7 Journey分析を時系列に見ていきます。
■プリングルズ 7 Journey時系列分析

大きな特徴としては巻き戻しの割合が大きく減少していることです。
ポテトチップス業界の中で最も巻き戻しの割合が高かったプリングルズですが、実はその割合も少しずつ下がっています。
対して上昇傾向にあるのが積極ロイヤルと未認知という結果でした。
巻き戻しが減少し、積極ロイヤルが増加している結果をプラスに捉えるならば、再び「購入したい」と強く思い始めた人が増加したと考えることができます。
しかし未認知の増加を考慮すると、高頻度で食べる人とまったく食べない人で2極化しているという考え方もできます。
デモグラフィック・サイコグラフィック
ここではロイヤル層にどういった特徴があるかより理解するために、ポテトチップスブランドの中で一番ロイヤル層の割合が高かったカルビーポテトチップスと比較してみます。
■プリングルズ デモグラフィック分析 ロイヤル層

■カルビーポテトチップス デモグラフィック ロイヤル層

デモグラフィックでは大きな特徴が見られず、カルビーポテトチップスの方がやや高齢者にも人気なのかなという印象でした。
■プリングルズ サイコグラフィック分析 ロイヤル層

■カルビーポテトチップス サイコグラフィック分析 ロイヤル層

しかしサイコグラフィックでは「消費価値観」に大きな違いがありました。
プリングルズはネタ消費やステータス消費、リターン期待型消費の人が多かったです。
最近プリングルズは韓国限定だった「プリングルズ バターキャラメル味」を期間限定で、日本での販売開始しました。
韓国では非常に人気商品だったらしく、販売以前から「早く日本で販売してほしい」という声も多数見受けられました。
ですので今回のバターキャラメル味が日本での販売を開始したことで、ネタ消費やリターン期待型消費はさらに上昇するのではないかとも考えられます。
「プリングルズ バターキャラメル味」についての詳細が気になる方は、ぜひ調べてみてください!
ブランドイメージ
次にブランドイメージについて分析してみます。
イメージ分析や消費者の声など、多様な視点から新しい発見をしてみます。
ブランドイメージも同様にリピート消費者はプリングルズに対して、どのようなイメージを持って購入しているのかを知るために、ロイヤル層に限定して分析してきます。
■プリングルズ イメージ分析 ロイヤル層

最も強いイメージはハマる・依存するとなっており、平均を上回っています。
またベーシック・定番的、カジュアル・プチリラックスは上位かつ平均を上回っています。
さらにユーモアがある、かっこいい・イケてる、カリスマ性があるなどは、平均より高い数値でした。
この結果を踏まえて時系列やワードクラウドなど、イメージ分析とは少し違った角度からブランドイメージを分析してみます。
ブランドに対するイメージの変容
次にブランドイメージを時系列の視点で分析し、変化を見てみます。
■プリングルズ 時系列イメージ分析 ロイヤル層

ハマる・依存するは常に1位のイメージとなっています。
カジュアル・プチリラックスは時間とともに数値は下がっています。
プリングルズへの価値は時間とともに大きく変化しているのかもしれません。
どんな言葉を使ってブランドを表現しているのか?
■プリングルズ ワードクラウド ロイヤル層

消費者はプリングルズに対して「サワークリームオニオン」や「サワークリーム」などのフレーバーに対するフレーズを多用していました。
また「美味しい」「好き」など、ブランドへの好印象な声も多いようです。
■プリングルズ 消費者の声 ロイヤル層

実際に消費者の声ではフレーバーに対して美味しいという意見が多く、サワークリームオニオン味がブランドの看板メニューになっているようですね。
他にもハイチーズ味やうましお味、地域限定のフレーバーも存在し、豊富な種類を取り揃えています。
詳しくは公式HPをご覧ください!
PRODUCTS/プリングルズ公式HP
https://www.pringles.com/jp/products.html
マーケの可能性を探る
ここまでの分析をふまえて、プリングルズがロイヤル層をさらに獲得するヒントを簡単に模索してみます。
転換率と巻き戻し
①転換率
まずは「転換率」に焦点を当ててみます。
ここでもプリングルズのデータをより理解するため、先程と同様にカルビーポテトチップスを比較対象として用いてみます。
■プリングルズ ファネル分析

■カルビーポテトチップス ファネル分析

両ブランドを見比べてみると「購入意向→現在購入」や「認知→現在購入」の転換率に大きな差があります。
しかしプリングルズは先程のイメージ分析(時系列)でもあったように、巻き戻しの割合が減少し、積極ロイヤルが増加しているのも確認しています。
ですので転換率は以前より良くなったと考えられます。
では「認知・購入意向」と「現在購入・リピート意向」にはどんな違いがあるのか見てみます。
■プリングルズ ファネル分析(Table)

「認知・現在購入」は女性の方がやや多く、10代が全体よりも低い割合となっています。
「現在購入・リピート意向」は男性の方がやや多く、10代から40代まで幅広い年齢層で全体を上回っています。
また「未認知」は10代や20〜24歳が全体を大きく上回っており、若い年齢層に焦点を当てると興味深い結果になるかもしれません。
➁巻き戻し
つぎにポテトチップスのポジショニング分析でも1位の割合だった「巻き戻し」です。
■プリングルズ 7 Journey分析(Table)

巻き戻しは女性の方がやや多く、年齢では25〜59歳で全体の数値を上回っています。
対して10代や20〜24歳は低い数値となっています。
また10代や20〜24歳は未認知の割合も高く、先程の7 Journey(時系列)分析における未認知の増加の要因とも考えられます。
つまり未認知の若者を誘致することができれば、さらなる購買者の増加が見込めるのかもしれません。
■プリングルズ 消費者の声 巻き戻し 25~59歳

実際に消費者の声を見ると、「味が濃い」「後半食べにくい」「前よりコスパが悪くなった」など味や利便性、コスパ面など様々な意見が見受けられました。
ユーザはどんなSNSを見ている?
次に簡単にSNSの利用状況を確認してみます。
■プリングルズ SNS利用状況 現在購買・利用・経験あり

現在購買している人は、InstagramやTikTokの閲覧が多い結果となりました。
しかしSNS利用状況には大きな特徴は見受けられず、SNS以外の接点や販売ルートなどを模索する選択肢も効果があるのかもしれません。
また若者の認知度を上げるためにも、SNSを積極的に活用するとまた違った変化もありそうです。
この分析結果からプリングルズはまだまだ大きなブランドになる期待が持てますよね。
お試し活用してください
今回はポテトチップス業界の市場分析と、「プリングルズ」について認知度〜イメージ調査まで見てきました。
ノウンズでは、この記事でご覧頂けた機能の他にもさまざまな角度からブランドデータが分析できます。
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Knowns 消費者リサーチ