ポジショニング分析で成功する!マーケティング戦略の立て方
市場における自社商品・サービスの優位性を見つけるためには、ポジショニング分析の実施がおすすめです。
市場には自社製品と類似する商品・サービスが幅広く展開されているため、ポジショニング分析によって独自の強みを見つければ顧客に最適なアプローチができるようになります。
しかし、マーケティング担当者の方のなかには「ポジショニング分析をどのように実施すればいいのかわからない」という悩みもあるでしょう。
当記事では、ポジショニング分析の詳細からマーケティングの効果的な設定方法まで詳しく解説します。
設定するコツや注意点についても説明するので、ぜひ最後までご覧ください。
ポジショニング分析とは
ポジショニング分析とは、市場における自社商品と競合商品の相対的なポジションを明確にするための分析手法です。
消費者や顧客が想像する市場に自社製品がどのように位置づけられているのかを把握することで、独自の強みや弱みを見つけていきます。
■ポジショニング分析でできること

例えば消費者が市販のチョコレートを想像した場合、明治や森永、グリコなどの商品が頭に浮かびます。
市場における自社のポジションを分析しながら明確にすることで、顧客や消費者に認知してもらうための施策を考えることが可能です。
ブランド認知の向上や競合他社との差別化を図るためにも、ポジショニング分析は重要な分析手法となっています。
ポジショニング分析の必要性
現在では、あらゆる市場で顧客や消費者の企業間競争が激化しており、優位なポジションを確率することが困難になっています。
例えばAmazonや楽天からバッテリー充電器を検索した場合、性能や機能が類似する商品が多く紹介されます。
一般的な消費者は安全性や信頼性を重視するため、多数の人が代表的なメーカーから製品を購入する流れが多いです。
競合他社の製品よりも優位なポジションを狙うには、分析をしながら独自の強みや弱みを見つけることが大切です。
ほかにはない自社ならではの強みを顧客や消費者にアピールできれば、認知度が向上して売上アップを期待できます。
そのためポジショニング分析は、マーケティング戦略において非常に重要な役割があるのです。
ポジショニングマップについて
ポジショニングマップとは、市場における自社商品・サービスのポジションを競合他社と比較しながら視覚的に示した図のことです。
■ポジショニングマップ

ポジショニングマップを作成することで、自社製品の優位性や差別化ポイントを明確化できます。
ターゲット顧客に訴求するマーケティング施策を立てやすくなるため、競合他社よりも優位なポジションを確率することが可能です。
ポジショニングマップを作成するときは、ターゲット顧客にとって価値のあるKBF(購買決定要因)や差別化できるポイントを軸として設定します。
そのためには競合製品とのKBFの比較が必要になるので、比較表の作成が必要です。
当社が提供しているKnowns 消費者リサーチのツールを活用すれば、イメージポジショニングMAP機能によってブランドジャンルにおける自社製品のポジションを明確にできます。
ジャンルを利用した人にデータを絞り込むこともできるので、ポジショニングマップの作成を実施するときはぜひ利用を検討してください。
ポジショニング分析の具体例
ポジショニング分析は、幅広い業界・業種で活用できる分析手法です。
■ポジショニング分析例

例えば当社のKnowns 消費者リサーチからビールのポジショニング分析を行った場合、横軸を「利便・合理性」、縦軸を「期待感・ワクワク」にするとサントリー生ビールやキリン一番絞り糖質ゼロなどの製品が期待感とワクワクが高いことがわかります。
一方で利便・合理性の高い製品にはよなよなエールやインドの青鬼といった製品が高い位置にあり、それぞれの特徴から優位なポジションに立っているのかを把握できます。
このように自社が展開する商品やサービスが競合他社と差別化できるポイントがあるのか検討することで、独自の強みを見つけることが可能です。
ポジショニングマップで設定する縦軸と横軸は、顧客によって価値のあるKBF(購買決定要因)や差別化できるポイントを設定するようにしましょう。
ポジショニング分析の設定方法
ポジショニング分析を設定するときは、以下のようなポイントをおさえてください。
■ポジショニング分析の手順

- セグメンテーション・ターゲットを設定
- 商材の決定要因を選択
- 軸の作成
- 他社を軸に反映
- 軸の関係性を離す
それでは順番に説明します。
1.セグメンテーション・ターゲットを設定
はじめに、セグメンテーションとターゲットを設定します。
セグメンテーションとは、市場にいる不特定多数の顧客を様々な切り口で分類しながら特定の属性ごとにグループを作成することです。
自社商品・サービスがどのような層に意味があるのかを明確にできるため、限られた経営資源で有効な販売戦略を考えられます。
市場の細分化する変数には、以下のような項目が挙げられます。
- 地理的変数(世界の地域、日本の地域・地方、気候など)
- 人口動態変数(年齢・年代、性別、職業、所得など)
- 心理的変数(消費者の性格・価値観・ライフスタイル・趣味など)
- 行動変数(消費者の購買歴や製品に関する知識など)
次にターゲティングでは、適性を判断するために以下のような項目が挙げられます。
- 有効な市場規模
- 成長性
- 顧客の優先順位と波及効果
- 到達可能性
- 競合状況
- 反応の測定可能性
セグメンテーションとターゲットを設定し、自社の製品を訴求する層を明確にしましょう。
2.商材の決定要因を選択
続いて、ポジショニング分析の軸になる商材の決定要因を選択します。
消費者や顧客が考えている市場を考慮しながら、強い要因となる軸を2つ選択してください。
例えば代表的な商品選択の決定要因として、価格や性能、デザインなどがあります。
自社製品と他社製品を比較する要素を軸にすると失敗する原因になるため、あくまでも消費者や顧客に重点を置いたかたちで設定するようにしましょう。
3.軸の作成
ポジショニングマップに反映する軸には、縦と横の2つの軸を決定する必要があります。
なぜ2つの軸にするのかというと、複数の軸があると顧客に対して効果的にアピールする要素を見つけづらくなるからです。
また、軸を1つに絞ってしまうと、他社との差別化を図ることが難しくなります。
軸を作成する際には、消費者や顧客の購買決定要因や選択要因になっているかどうかを見極める必要があります。
例えば自社が服を展開していておしゃれに関心がある顧客をターゲットとする場合、デザイン性や機能性を軸に設定するとニーズを満たせなくなる可能性が高いです。
そのためポジショニングマップの軸を作成するときは、差別化を図れる点だけでなく顧客のニーズも考慮するようにしましょう。
4.他社を軸に反映
ポジショニングマップの2つの軸を作成後、自社と他社の製品を反映します。
適切な反映ができれば、ターゲット市場における競合との位置関係や状況が把握できるようになります。
ポジショニングマップの空白部分を見つければ、自社製品の有利なポジションを選択可能です。
ポジショニングマップの空白部分は競合他社が着手していないため、差別化できる要素を見つけて顧客に独自の価値を提供できるようになるでしょう。
5.軸の関係性を離す
ポジショニング分析の設定で重要なことは、2つの軸の関係性を離すようにしましょう。
例えば「品質」と「値段」は軸の関係性が高いため、独自の強みを見つけることが難しくなります。
ポジショニングマップの軸を設定するときは、事前に検討している2つの軸の相関性を調査しておくことが大切です。
どのような軸を設定すればいいのかわからないときは、品質や価格、デザインなど大きな枠から考えると良いでしょう。
ポジショニング分析を設定するコツ
ポジショニング分析を設定するには、以下のようなコツがあります。
- 顧客のニーズを把握する
- 相関性の低い軸を設定する
- 一貫性の取れたポジションを考える
- 検証を実施する
- SWOT分析を活用する
- KBFではない軸を使ってポジショニングしない
それでは詳しく解説します。
顧客のニーズを把握する
ポジショニングは競合他社との差別化を図るだけでなく、顧客に対して自社製品の価値を提供することに意味があります。
ポジショニングマップを作成する際に顧客のニーズを正確に把握できていなければ、顧客が製品の購入を決定する要素ではない軸を設定する可能性が高いです。
顧客が製品を購入する要素を把握することで、アプローチすべきポイントが見つかります。
そのためポジショニング分析を設定するときは、差別化できる要素だけでなく顧客のニーズを満たすための軸を見つけるようにしましょう。
相関性の低い軸を設定する
相関性が低いとは、2つの要素間の関係性が低いことを指します。
ポジショニングマップで相関性が高い軸を2つ設定した場合、競合他社と差別化できるポジションを見つけづらくなります。
■相関性とポジショニング分析

例えば価格と性能は相関性が高い傾向にあるため、ポジショニングマップの設定には不向きです。
相関性が高い軸を設定すると、自社製品と競合製品が上下に並ぶだけになってしまいます。
もし価格と品質を軸とする場合、自社製品が他社製品よりも低価格で高品質な状態を実現する必要があります。
そのためポジショニング分析の設定では、相関性の低い軸を2つ設定するようにしましょう。
一貫性の取れたポジションを考える
ポジショニング分析の設定は、一貫性の取れたポジションを考えることが大切です。
顧客に安価な製品を提供することを企業理念とする場合、高価格帯の市場でポジショニングを設定すると一貫性がなくなります。
結果として企業の目標達成や顧客からの印象に悪影響を及ぼしてしまいます。
ポジショニング分析は顧客のニーズや差別化ポイントを意識することも重要ですが、企業理念や戦略との一貫性が取れていなければトラブルが発生することを理解しておきましょう。
検証を実施する
ポジショニングマップの作成後、ポジショニングの検証を実施しましょう。
ポジショニングの検証を行うことで、顧客のニーズや差別化できる軸を設定できているか把握できるようになります。
■ポジショニング分析の検証プロセス

検証プロセスでは市場データの比較や顧客フィードバックの収集、パフォーマンス指標の分析、調整、改善などが必要です。
検証では市場の状況を調査し、顧客のニーズに合わせながらポジショニングを更新することが大切です。
PDCAを繰り返すことで、最適なポジショニング戦略によって市場の競争力を強化できるようになるでしょう。
SWOT分析を活用する
SWOT分析とは、Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4要素から分析するフレームワークです。
自社製品の強みや弱み、市場や競合、法律などの機会、脅威を分析することで、どのような機会を活かせるのか把握できるようになります。
また、脅威からの影響を最小限に抑える手段を考えることもできるので、ポジショニングマップの設定に役立ちます。
細かい点まで競合他社と比較するためにも、ポジショニングマップにSWOT分析を活用しましょう。
KBFではない軸を使ってポジショニングしない
ポジショニングマップを作成するときは、ターゲット顧客のKBF(購買決定要因)ではない軸を使わないようにしましょう。
例えばパソコンのCPU速度を軸とした場合を仮定すると、現在ではCPUの高速化が進んだことから顧客の多くは速度に注目していません。
CPU速度よりも消費電力低下を重視するユーザーが増える傾向にあるため、KBFとしては不向きであることがわかります。
このようにターゲット顧客のKBFではない軸を使うと戦略の報告性がブレるので、市場や顧客のニーズを把握しながら検討するようにしましょう。
ターゲットに合わないポジショニングを使わない
ポジショニングマップを作成する工程では、ターゲットに合わないポジショニングを使わないようにしましょう。
例えばモバイルバッテリーの場合、屋外の活動が多い営業パーソンと屋内で作業するデザイナーではKBFが大きく異なります。
また、営業パーソンも地域によってKBFは異なり、都心部と地方では変化があります。
このようにターゲット顧客の特徴によって設定すべき軸は異なるため、ポジショニングマップを作成するときは細かなターゲティングを行うようにしましょう。
ポジショニング分析の事例紹介
ポジショニング分析を実施するときは、わかりやすい事例を知ることも大切です。
当社が展開するKnowns 消費者リサーチを使い、全国のコンビニエンスストアのポジショニング分析をした事例について紹介します。
記事はこちら>コンビニ業界の市場分析をしてみた
コンビニといえば何かが必要な時にさっと利用できたり、商品の品ぞろえを考えたときにいつでも必要なものがあると嬉しいですよね。
そういうイメージに近い2つの軸でみてみると大手コンビニのローソン、ファミリーマートなどが右上に出てきます。
店舗数や立地も考えると納得の結果ですね。ただその中に駅コンビニであるkioskも入ってきている部分が気になるところです。
■必要・ないと困る×利便・合理性 イメージポジショニングマップ

一方でコンビニの中で定番・安心するといったブランドイメージをポジショニングマップでみてみると、右上は一気に大手だけに絞られます。
図を比較するとなにをどういった項目を置くかで分布が変わってくることがわかります。
■ベーシック・定番的×安心・安全 イメージポジショニングマップ

このようにポジショニング分析を行えば、自社が展開するジャンルやブランドの具体的な位置を把握することが可能です。
独自の強みを見つけるためにも、どのような軸を設定するかの選定から十分に意識していきましょう。
まとめ
今回は、ポジショニング分析の詳細からマーケティングの効果的な設定方法、設定するコツ、注意点まで詳しく解説しました。
ポジショニング分析は市場における自社商品と競合商品の相対的なポジションを明確にするための分析手法であり、実施することで顧客や消費者に認知してもらうための施策を考えられます。
現在は市場で顧客や消費者の企業間競争が激化しているため、自社の優位なポジションを見つけるためにもポジショニング分析が重要な役割を持ちます。
当社が展開するKnowns 消費者リサーチでは、ポジショニングマップを作成して満足率や好感率、認知率の散布図をみることができます。
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