IPマーケティングの効果はどう測る?感情イメージから購買意向までを実データで紐解く
はじめに
IPマーケティングに携わるなかで、以下のような悩みを抱えていませんか。
- IPコラボの成果を「売上」だけで評価され、施策の価値を伝えきれない
- 「なぜこのIPを選んだのか」をデータで説明できていない
- 成功・失敗が感覚論になりがちで、再現性ある判断軸がない
IPマーケティングは「効果が見えにくい」と言われがちですが、それはIPの価値を正しく測る指標が定義されていないだけかもしれません。
本記事では、
IPが生み出す”感情イメージ”が購買意向までどうつながるのかを、少年ジャンプの消費者意識データを用いたファネル分析で解説します。
なお、分析の結果、 「想起されやすい感情」と「実際に購買・継続を動かす感情」にはズレがあることが分かりました。
このような「感情 × ファネル」の分析を、自社IPや検討中のIPで確認したい方は、
ノウンズの消費者リサーチ資料をご覧ください!
なぜIPマーケティングは「売上」だけでは評価できないのか
IPマーケティングの効果は、売上の”前段階”に現れます。
IPを活用した施策は、消費者の心理や態度に働きかける性質を持っています。認知の想起、好意・共感の形成、話題化といった効果は「売上」に直接表れませんが、売上につながる重要なプロセスです。
たとえるなら、IPマーケティングは「種まき」。種をまいた直後に収穫量を測っても正しい評価になりません。評価軸をファネルで分解する視点が重要です。
IPマーケティング効果測定の4つのファネル指標
【実データ分析】少年ジャンプが生み出す感情イメージ
少年ジャンプの消費者意識データを用いて、IPが生み出す感情イメージを見ていきましょう。
- 調査期間:2025年10月1日〜12月31日
- サンプル数:n=275
- 調査元:ノウンズ消費者リサーチ
| 順位 | 感情イメージ | 想起率 |
|---|---|---|
| 1 | 期待感・ワクワク | 64.3% |
| 2 | 利便性 | 62.9% |
| 3 | 信頼・信用 | 62.2% |
| 4 | 安心・安全 | 56.8% |
| 5 | カジュアル | 56.3% |
また、「信頼・信用」が上位に入っている点も特徴的です。 50年以上続くブランドとして、長年の積み重ねによる信頼感がしっかりと醸成されていることがうかがえます。
感情イメージは購買行動につながるのか?
消費者調査データを分析すると、ポジティブな感情イメージを持つ層ほど購買意向が高いという傾向があります。
| 感情イメージ | 購買意向 | リピート意向 |
|---|---|---|
| 話題・流行り | 92.6% | 45.5% |
| 意外性・驚き | 92.0% | 45.6% |
| ノスタルジー・懐かしい | 91.9% | 42.7% |
| 親近感 | 89.4% | 39.7% |
| 期待感・ワクワク | 84.1% | 39.5% |
「話題・流行り」を感じている層の購買意向は92.6%。「ノスタルジー」層も91.9%と高水準。「期待感・ワクワク」は最も多く想起される感情ですが、 実際の購買意向を見ると、「話題・流行り」「ノスタルジー」を感じている層のほうが、より強く購買行動に結びついていることが分かります。
積極ロイヤル層は何を感じているか
積極ロイヤル層(継続購入+推奨意向が高い層)の感情イメージも重要です。
| 感情イメージ | 積極ロイヤル層の想起率 |
|---|---|
| 信頼・信用 | 86.6% |
| 期待感・ワクワク | 83.6% |
| 個性的 | 82.4% |
積極ロイヤル層では「信頼・信用」が86.6%で最も高い。IPマーケティングの成功は、一時的な「ワクワク」だけでなく、長期的な「信頼」の構築にあることがデータから読み取れます。
重要なのは、多くのIP施策が「話題づくり」で止まってしまい、「信頼を積み上げる設計」まで踏み込めていない点です。
この二層構造を理解することで、IP施策やブランド施策における効果の積み上がりを整理して説明しやすくなり、ROIの納得感を高めることができます。
IP効果が高い施策・低い施策の違い
離反層と積極ロイヤル層の感情イメージ比較
| 感情イメージ | 離反層 | 積極ロイヤル層 | 差分 |
|---|---|---|---|
| 意外性・驚き | 0% | 69.7% | +69.7pt |
| 期待感・ワクワク | 33.3% | 83.6% | +50.3pt |
| 親近感 | 22.7% | 73.1% | +50.4pt |
離反層では「意外性・驚き」の想起がほぼゼロ。積極ロイヤル層では69.7%が感じています。この差は、他の感情指標と比べても突出しており、「予想を超える体験を提供できたかどうか」が、 継続・離反を分ける決定打になっていることを示しています。
効果が弱まる要因はIPとブランドの世界観の不一致。感情イメージは喚起されても購買意向に転換されません。世界観が合致している場合、感情→態度変容→購買→リピートがスムーズに連鎖します。

読者体験の中心にある価値観とブランドの情緒が重なることで、単なるコラボにとどまらず、感情移入を伴うブランド体験を生み出しやすくなります。
IPマーケティングの効果測定ができると何が変わるのか

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① |
売上が出る前に成否の兆しがわかる
「話題・流行り」層の購買意向は92.6%。
施策実施中に指標をモニタリングすることで、
売上が立つ前から成功確率を早期に予測できます。
|
| ② |
IPコラボの失敗リスクを事前に下げられる
IP選定段階でデータを活用することで、
「世界観の不一致」による失敗を未然に防げます。
|
| ③ |
ROI説明がしやすくなり社内合意が取りやすくなる
「感情イメージスコアが○%向上」と
数値で説明でき、上司への説明が格段にしやすくなります。
|
この分析はどのIP・ブランドでも再現可能
今回紹介した分析は、特定のIPに依存するものではありません。
一方で、実務の現場では同様の分析を再現できていないケースがほとんどです。
その理由は、
・IPファンを十分なサンプル数で捉えられていない
・感情イメージをファネル構造で分解できていない
・「離反層」と「積極ロイヤル層」を横断比較できていない
といった制約があるためです。
ノウンズでは、
IPカテゴリ(アニメ・ゲームなど)× ファン属性 × 感情イメージ × ブランドカテゴリを横断的に分析することで、
「どの感情が、どの段階で効いているか/外れているか」まで可視化できます。
そのため、
・IP選定時の相性検証
・施策中のモニタリング
・施策後の成功・失敗要因分析
といった各フェーズで、再現性のある判断が可能になります。
このような「感情 × ファネル」の分析を、自社IPや検討中のIPで確認したい方は、
ノウンズの消費者リサーチ資料をご覧ください!
よくある質問(Q&A)
Q1. IPマーケティングの効果測定は、いつ行うべきですか?
A. 基本は「施策前・施策中・施策後」の3タイミングで行うのがおすすめです。
| 測定タイミング | 主な確認内容 |
|---|---|
| 施策前 | IP活用前の認知・感情イメージ・購買意向を把握し、 効果測定のベースラインを作る |
| 施策中 | 話題化・好意度・興味関心の変化をモニタリングし、 成功の兆しを早期に確認する |
| 施策後 | 購買意向やリピート意向への影響を検証し、 次回施策への示唆を得る |
IPマーケティングの効果測定では、「売上が出る前の変化」を捉えることが重要です。
Q2. IPマーケティングにおける「感情イメージ」は、どのように測定するのですか?
A. 消費者アンケート調査を用いて、感情イメージを定量的に測定します。
具体的には、
- ワクワク感
- 親近感
- 信頼・信用
- 話題性
- 懐かしさ
といった感情項目を設け、IP接触前後でスコアを比較することで効果を可視化します。
この方法により、「なぜ購買意向が高まったのか」「なぜリピートにつながったのか」といった売上の背景にある心理変化を説明できます。
Q3. 売上が出ていない場合でも、IPマーケティングは成功と言えるのでしょうか?
A. 短期的な売上が出ていなくても、成功しているケースはあります。
IPマーケティングは、
- 認知の想起
- 好意・共感の形成
- 話題化・検討意向の向上
といった中間指標に先行して効果が現れる施策です。
これらの指標が改善している場合、中長期的には購買・リピートにつながる可能性が高く、
施策の方向性としては「成功」と判断できるケースも少なくありません。
Q4. IPマーケティングの効果測定は、どのIPでも同じ方法で行えますか?
A. はい、基本的な考え方はどのIPでも共通です。
IPの種類(アニメ・ゲーム・キャラクターなど)に関わらず、
- 感情イメージ
- 態度変容
- 購買意向
- 継続意向
というファネル構造で評価することで、再現性のある効果測定が可能になります。
そのうえで、IPカテゴリやファン属性に応じて設問や分析軸を調整することが重要です。
まとめ
IPマーケティングの効果測定について、少年ジャンプの実データをもとに解説しました。
| ・IPの効果は、 感情イメージ → 態度変容 → 購買意向 → リピート意向 のファネル全体で評価すべき |
| ・少年ジャンプでは 「期待感・ワクワク」想起率が64.3% と最も高く、 「話題・流行り」層の購買意向は92.6% |
| ・積極ロイヤル層は「信頼・信用」を最も強く感じている (86.6%) |
| ・ロイヤル層と離反層の差は、 「意外性・驚き」イメージに顕著 |
| ・効果測定により、 売上前の手応え把握/失敗リスク低減/ROI説明の容易化 が実現できる |
まずは「このIPは消費者にどんな感情を抱かせるか」という視点から始めてみてください。
多くのIP施策は、「何が効いたのか」を知らないまま終わります。Knowns消費者リサーチのデータは、どの感情が、どの段階で外れたのかまで可視化できる点が最大の違いです。IP施策の効果を可視化したい方はお気軽にご相談ください。
1分で終わる消費者調査 Knowns 消費者リサーチ

しかし実際には、好意度やブランドイメージが向上していたにもかかわらず、それを測定していなかっただけというケースが多く見受けられます。売上だけで判断してしまうと、施策の本来の価値を見落としてしまう可能性があります。