セルフ型アンケート3タイプ徹底解説|選定基準と業界別活用法


新商品企画の承認獲得や売上向上施策の立案において、データに基づいた根拠は不可欠です。インターネット上には膨大な情報が存在しますが、自社の課題に直結する具体的なデータを見つけることは容易ではありません。

このような課題を解決する有効な手段が、セルフ型アンケートです。必要なタイミングで、求める情報を効率的に収集し、業務の質向上を実現する実践的な活用法をご紹介します。

セルフ型アンケートの基本概念

セルフ型アンケートの定義

セルフ型アンケートとは、従来の調査会社への全面委託ではなく、企業が主導して実施するアンケート調査手法です。

調査の企画から実施、分析まで、自社でコントロールできる点が最大の特徴です。

企業は調査プロセス全体において主導権を握り、必要に応じて質問の追加や修正を迅速に実行できます。

従来型調査との相違点

従来型のアンケート調査では、基本的に調査会社が企画・実施・分析のすべてを担当することが多いです。一方、セルフ型では企業が調査の中心となり、必要な部分のみ外部サポートを活用します。

また従来型は調査会社の専門性を活用できる利点がありますが、コストが高く、修正や追加調査には時間を要します。セルフ型は高い柔軟性を持つ反面、基本的な調査スキルの習得が求められます。

そのため置かれている状況に合わせてどちらを使うのかを見極める必要があります。

セルフ型アンケートの優位性と留意点

主要な優位性

コスト効率性が最も顕著な利点です。従来型と比較すると、実調査費用を30〜50%程度削減できるケースが報告されています。

ほかにも大きな優位性を持つのは実施スピードです。従来型で2〜3週間要していた調査が、数日で完了することも可能です。市場環境の急激な変化に対応する際、重要になってきます。

そして調査の柔軟性も重要な特徴です。実施中の質問修正や、回答状況に応じた追加調査など、リアルタイムでの調整ができます。

つまりあまりデータ取得や分析までに時間をかけられないケースやフレキシブルに動いて進めていきたい場合にセルフ型アンケートは効果的です。

考慮すべき留意点

柔軟性に優れているセルフ型アンケートですが、考慮すべきポイントとして調査設計に関する専門知識が必要になります。適切な質問設計や、回答バイアスを排除する手法について理解が求められます。多くのサービスでサポート体制を提供していますが、基本的なスキル習得は重要になってきます。

また回答者サンプルの代表性確保にも注意が必要です。自社でのサンプリングでは、特定の属性に偏るリスクがあります。

ほかにも重要な課題になるのはデータ解釈の正確性です。データを収集した後の分析において誤った分析をしてしまうと経営判断を誤らせる可能性があるため、表面上の判断や感覚ではなく慎重な検証が不可欠です。

セルフ型アンケートの種類と選択基準

一言にセルフ型アンケートといってもそのなかでのタイプやサービス選択基準が変わってきます。ここではアンケートタイプ、企業規模、予算、スキルの4つの軸でのサービス判断基準を説明していきます。

セルフ型アンケートの3つのタイプ

セルフ型アンケートは、企業の関与度合いによって3つのタイプに分類されます。自社の状況に最適なタイプを選択することが、調査成功の重要な要素です。

  • 完全セルフ型

企画から分析まで全工程を自社で実施する形式です。最大限のコスト削減と自由度を実現できます。ただし、調査設計から統計分析まで幅広いスキルが必要になります。

  • サポート付きセルフ型

調査設計や分析において専門家のサポートを受けながら自社主導で進めます。スキル不足を補いながら、コストと品質のバランスを取ることができます。

  • ハイブリッド型

複雑な分析や専門性が必要な部分のみ調査会社に委託する形式です。重要な調査での品質確保と効率性を両立させたい場合に適しています。

企業規模別の選択指針

置かれている状況によって、求められるスピードや質も変わってきます。そういったときにわかりやすいのが企業規模です。あくまでも参考ですが、自社の規模と照らし合わせてサービスの検討をしましょう。

  • スタートアップ・中小企業の場合

限られたリソースを有効活用する必要があります。完全セルフ型またはサポート付きセルフ型が現実的な選択肢となるでしょう。初回はサポート付きで始め、ノウハウ蓄積後に完全セルフ型へ移行する企業が多く見られます。

  • 中堅企業の場合

調査頻度と品質要求のバランスを考慮する必要があります。定期的な顧客満足度調査はサポート付きセルフ型、重要な戦略判断に関わる調査はハイブリッド型を選択するケースが一般的です。

  • 大企業の場合

社内リソースと調査品質の両方を重視する傾向があります。日常的な調査は完全セルフ型、経営判断に直結する重要調査はハイブリッド型を使い分けることが推奨されます。

予算規模による判断基準

担当するブランドや商品、案件によってどのくらいの予算をかけられるのかが変わってきます。そのため企業規模のほかにも予算にあわせた判断軸も重要です。

  • 月間調査予算が10万円以下の場合

完全セルフ型が最適です。無料または低価格のツールを活用し、基本的な市場調査や顧客フィードバック収集に集中します。

  • 10万円から50万円の予算帯

サポート付きセルフ型が効果的です。専門家のアドバイスを受けながら、調査品質の向上を図ることができます。

  • 50万円以上の予算がある場合

ハイブリッド型の選択肢も広がります。重要な調査では専門機関の力を借り、日常的な調査は内製化するという戦略的使い分けが可能になります。

スキルレベル別の選択フロー

いくら予算が潤沢でなく、柔軟性が求められる環境だからと言っても経験が少ない企業での完全セルフ型を選択することはリスクが高いです。調査経験が多いのかどうかは外せない判断基準になります。

  • 調査経験が豊富な企業

完全セルフ型から開始することが可能です。統計知識や調査設計のノウハウが蓄積されている場合、最大限のコスト効率を追求できます。

  • 調査経験が限定的な企業

サポート付きセルフ型から始めることを強く推奨します。専門家の指導を受けながらスキルを習得し、段階的に自社での実施範囲を拡大していきます。

また上記以外にも初回調査の段階であれば、失敗リスクを最小限に抑えるためハイブリッド型を選択することも有効です。重要な判断材料となる調査では、品質確保を最優先に考える必要があります。

どのサービスにおいても回答者の質と規模が最重要要素です。アンケート配信の際は自社のターゲット層に適合する回答者が十分に確保されているかを確認する必要があります。

ほかにもターゲティング機能の精度も重要な判断基準です。年齢・性別等の基本属性に加え、職業・役職・企業規模など、詳細な条件での絞り込み機能を評価します。

一つの要因だけでサービスを選択するのではなく、複数の面から判断することがアンケート調査成功のカギになります。

専門家サポート付きセルフ型アンケートKnownsのカジュアルリサーチ

完全セルフ型アンケートも調査会社へ一括依頼も時間と予算と手間が合わないということもあるでしょう。初回調査もそうですが、まずはサポートしてもらいながらという形が一番安心してアンケート調査を進められるというケースも多いです。

Knownsのカジュアルリサーチは調査に慣れていないまたはあまり時間も労力もかけられないという方におすすめです。

  • 設問自由設計

目的に応じて1問から自由にカスタマイズ可能。細かなニュアンスの検証や深掘りにも対応できます。

  • スピード納品

最短1日で300件のアンケート回収が可能。即日で仮説検証〜社内共有資料に活用できます。

  • 低コスト

1問1回収あたり約5〜10円という圧倒的なコストパフォーマンス。少額から試せるため、柔軟な運用が可能

  • スピード納品

ノウンズの既存パネル(=共通データと連携可能な生活者)から回収。仮説との一貫した比較や追跡もスムーズ。

  • CSV出力

回収したデータはすぐにCSVで出力。ExcelやBIツールへの連携、社内共有にも便利です。

専門家のサポート付きで進められるので安心して調査を実施することができます。

セルフ型アンケート実施プロセス

実際にセルフ型アンケートを実施する際にどのようなステップを踏んでいくのかをみていきましょう。

  • 調査目的の明確化

まずは調査で取得したい情報と、その活用方法を具体的に定義します。つまり「顧客満足度の把握」ではなく、「新クラウドサービスの機能要望を把握し、開発優先順位を決定する」といった明確な目的設定が重要です。

  • ターゲット設定と質問構築

回答者の属性を明確にし、調査目的に適合した質問を構築します。IT部門管理職、人事担当者など、具体的なターゲット像を設定します。

質問数は回答負荷を考慮し、10〜15問程度に抑制することが推奨されます。

  • 調査実施・モニタリング

設定した条件に適合する対象者にアンケートを配信し、回答状況をリアルタイムでモニタリングします。回答率が低い場合は、配信方法の調整を実施します。

  • データ収集・品質管理

収集したデータを整理し、異常値や不正回答を除外します。この品質管理プロセスは、分析精度の確保において重要な工程です。

  • 分析・レポート作成

データを分析し、当初の調査目的に対する明確な結論を導き出します。視覚的な表現を活用し、ステークホルダーにとって理解しやすい形式でレポートを作成します。

セルフ型アンケートの活用事例紹介

実際にどのようにセルフ型アンケートを活用しているのか実際にKnownsカジュアルリサーチを使っている事例を踏まえて紹介していきます。

代理店・大日本印刷株式会社

セルフ型アンケートであるカジュアルリサーチを使うシーンとしては、クライアントからオリエンテーションを受けたあとのクリエイティブコミュニケーションを提案する場面です。

クライアントとしては魅力をすべて伝えたいという要望に対して、代理店として訴求ポイントを整理したうえでマーケティング効果を最大化する施策提案をするためにカジュアルリサーチを活用しています。

訴求ポイントの整理やその中での優先順位付けに時間がかかることが多く意見もまとまらないことも多いなか、カジュアルリサーチによって消費者の声をダイレクトに入手することでターゲットに刺さる訴求の見極めができるようになったという変化がありました。

他にもスピード感をもってデータ回収ができたり、企画書の説得力向上により案件勝率が上がったなどの効果を感じてもらっています。

代理店の場合、このようにスピード感や提案の質を求められるシーンですぐにデータが手に入るという点はサービス活用の重要項目になってくるでしょう。

詳しい導入事例詳細はこちらからもご覧いただけます。


参考:導入事例 マーケティングにおける「Who」を迅速に理解するためのツール


メーカー・株式会社ピエトロ

自社の顧客ではなく、潜在顧客について知りたいときにセルフ型アンケートカジュアルリサーチを活用しています。

商品未購入層に対してアンケート配信をし、同じ内容を自社顧客にも配信することでそれぞれの特徴を比較できると改めて各層の違いを顕在化されました。

顧客の意見や営業の経験や勘で行っていた流通への提案にさらにデータというエビデンスが加わることで営業でも自信をもって提案できるようになってきたと感じてもらっています。

メーカーでは、既存顧客や今までの経験という積み重ねに追加で接点をこれから見つけたい潜在顧客層に関するデータをもつことで自分自身の提案を強化させて自信をもって進められるという部分がサービス活用の利点になってきそうです。

特に普段データを使い慣れていないといったときにはシンプルな操作方法やサポートがついているサポート付きセルフ型アンケートは重要なポイントです。

詳しい導入事例詳細はこちらからもご覧いただけます。


参考:導入事例 Knowns 消費者リサーチからしか分からない潜在顧客のデータを重宝


これらはあくまでも活用事例です。自社の置かれている状況に合わせて他にもサービス選定の基準やポイントが見つかるはずです。

まずはどこが足りないのか、強化すべきなのかといった現状を確認したうえでサービスの選定をしていくことをお勧めします。

効果測定と継続改善の仕組み

効果測定のためのKPI設定

セルフ型アンケートの効果測定には、明確なKPI(重要業績評価指標)の設定が不可欠です。測定可能な指標を設定することで、調査の価値を定量的に評価できます。

調査の評価をしていくためにみておきたい指標をいくつか挙げていきます。

まずは調査品質指標です。指標の具体的な数値としては回答率、完答率、回答時間を設定します。回答率30%以上、完答率80%以上が一般的な目標値とされています。回答時間が設定時間を大幅に超える場合は、質問設計の見直しが必要です。

またビジネス成果指標として、調査結果を活用した施策の成果を測定します。新商品開発なら売上目標達成率、顧客満足度調査なら解約率改善などが該当します。

ほかにもコスト効率指標をみます。数値としては従来型調査との費用比較、1回答あたりのコスト、ROI(投資対効果)を算出します。

これらの指標により、セルフ型アンケート導入の経済効果を明確化できます。

継続改善のPDCAサイクル

効果的な改善には、体系的なPDCAサイクルの構築が重要です。アンケート調査におけるPDCAを具体的に説明します。

  • Plan(計画)

前回調査の課題を踏まえた改善点を明確化します。

  • Do(実行)

改善した調査設計で実際にアンケートを実施します。この際、変更点を記録し、後の効果検証に備えることが重要です。

  • Check(評価)

設定したKPIに基づいて結果を評価します。回答率、データ品質、ビジネス成果への貢献度を多角的に分析します。

  • Action(改善)

評価結果を基に次回調査への改善案を策定します。このサイクルを繰り返すことで、調査品質の継続的向上を実現できます。

A/Bテストを活用した最適化

KPIの設定やPDCAサイクルの他にもアンケート調査では質問文、選択肢、調査時期などの要素をA/Bテストで最適化することが可能です。

同一の調査対象を2つのグループに分け、異なる条件で調査を実施します。

質問文のA/Bテストでは、表現の違いが回答率や回答内容に与える影響を測定します。「満足していますか?」と「どの程度満足していますか?」では、得られる回答の質が大きく異なる場合があります。

配信タイミングのテストも効果的です。平日と休日、午前と午後など、異なる時間帯での配信効果を比較できます。

テスト結果は統計的有意性を確認し、サンプルサイズが十分であることを確認してから判断を行います。感覚的な判断ではなく、データに基づいた最適化が重要です。

長期的な改善戦略の構築

短期間のA/BテストやPDCAサイクルの他にも四半期ごとの定期レビューにより、調査手法の改善点を体系的に整理します。単発的な改善ではなく、中長期的な視点での品質向上を目指します。

ベンチマーキングとして、業界平均や競合他社の調査手法と比較することも有効です。外部の調査結果や業界レポートを参考に、自社の調査レベルを客観評価します。

ほかにもスキル開発計画では、社内の調査スキル向上のための研修計画を策定します。統計分析、質問設計、データ可視化など、必要なスキルを段階的に習得していきます。

継続的な改善により、セルフ型アンケートは単なるコスト削減手段から、競合優位性を生み出す戦略的ツールへと進化させることができます。

アンケート調査成功のポイントとよくある失敗

調査成功のためのポイント

質問設計では、回答者の視点での検証が不可欠です。専門用語を避け、明確で理解しやすい表現を使用します。

また所要時間の明示は回答率向上に効果的です。忙しいビジネスパーソンにとって、時間の目安は重要な判断材料となります。

より回答率を上げるためには適切なインセンティブ設定も検討すべき要素ですが、その際はインセンティブ目的の品質の低い回答を防ぐ仕組みも同時に必要です。

回避すべき失敗パターン

質問数の過多は最も頻繁に発生する失敗です。一般的な目安として20問を超える場合、離脱率が急激に上昇します。

また誘導的な質問表現も避けるべき要素です。仮説段階でほしい回答があったとしても、あくまでも客観的で中立的な質問設計をすることが正確な回答取得には不可欠です。

ほかにも選択肢設計も気を付ける必要があります。たとえば選択肢に「その他」の選択率が高い場合は、選択肢の再検討が必要です。

他の調査手法との戦略的組み合わせ

セルフ型アンケートは定量的データの収集に適していますが、深層的な動機や背景の把握には限界があります。そのためインタビューやグループディスカッションとの組み合わせが効果的です。

まずアンケートで全体傾向を把握し、特筆すべき結果について定性調査で深掘りする手法により、定量データと質的洞察の両方を獲得できます。

Knownsで効率的にアンケート配信

Knownsでは欲しいブランドデータをその場で取得することや独自に欲しいアンケート設計をして配信することもできます。

アンケート設計をしたことがなくてもスタッフのサポートもあるので安心です。

状況に合わせて欲しいデータを手に入れることができます。

サービス詳細は是非資料からもご確認ください。


参考:アンケートアプリに関するサイトはこちら

参考:取得したデータをダッシュボード化してみるKnowns 消費者リサーチはこちら


まとめ

セルフ型アンケートは、限られたリソースで効率的な情報収集を実現する戦略的ツールです。適切な活用により、競合他社に対する情報面での優位性を構築できます。

継続的な改善を通じて、セルフ型アンケートを重要な経営ツールとして活用し、データドリブンな意思決定を実現していくことが重要です。