エボークドセットとは?マーケティングにおける調査・活用方法を解説
エボークドセットは、消費者がどのように商品・サービスを選んでいるのか明確化するために利用されます。
消費者は購入する際に、特定のブランドをいくつか頭の中でイメージしていることが多いです。
自社商品・サービスを消費者に選んでもらうためには、
エボークドセットの中に入らないと検討や比較されるまでにならないのです。
当記事では、エボークドセットの詳細からマーケティングにおける調査・活用方法を詳しく解説します。
エボークドセットとは
エボークドセットとは、購入検討の対象として頭の中で思い浮かべるブランドの集合体です。
例えば「コンビニへいきたい」と考えた場合、消費者の頭の中では「セブンイレブン」や「ローソン」、「ファミリーマート」などが思い浮かぶと思います。
このように消費者にはそれぞれ頭の中で思い浮かべるブランドがあり、そのリストの中から購入・利用するのです。
つまり、頭の中で思い浮かばないブランドは購入されません。
そのため、企業はマーケティングを通じて消費者に変化を与えなくてはいけません。
エボークドセットは常に固定のリストではなく、
何らかのタイミングでブランドの順位が変動したり入れ替えが発生します。
エボークドセットを調査し、消費者が認知しているブランドを分析することで参入できる施策を考えられるようになるでしょう。
エボークドセットが注目される背景
自社ブランドの売上が上昇傾向にあったとしても、エボークトセットに入り続けなければ長期的な売上を作ることは難しくなります。
自社ブランドと競合ブランドを比較し、エボークトセットに入っているのか調査・分析することで、
ブランドやマーケティングの課題を特定しながら改善策を考えられるようになります。
自社に優位性のあるカテゴリーで消費者が想起する接点を作るためにも、エボークドセットの調査・分析は非常に重要となっているのです。
レコメンドセットとの関係性
レコメンドセットとは、おすすめする要素のことです。
ネオマーケティングと早稲田大学恩蔵教授が実施したプロジェクトでは、
エボークドセットはレコメンドセットを含めて測定することが重要とされています。
家族や友人、知人以外の誰かに商品・サービスを勧める行為について、SNSの普及から不特定多数の人が対象となると考えられています。
SNSの影響力は増しているため、レコメンドセットはエボークドセットにおいて重要なマーケティング指標となっているのです。
エボークドセットの必要性
エボークドセットは以下のような点があるため必要とされています。
- 購買行動の複雑化
- 購買・利用の参照点
- 選択理由の特定
- レコメンド機能の需要増加
購買行動の複雑化
SNSやインターネットの普及により、消費者の購買行動は複雑化しています。
企業は消費者がどのようなイメージを元に商品を選ぶのかを把握することが必要になってきました。
消費者はブランドの付加価値や商品・サービスから得られる体験を重要視していることから、
企業はエボークドセットを意識するべきと言われています。
購買・利用の参照点
消費者に商品やサービスを購買・利用してもらうためには、
ブランド認知から理解、エボークトセットへと入り、選択されるブランドとなることが必要です。
消費者はエボークトセットを通じて商材を第1選択のブランドとし、購入や利用へとつながるのです。
選択理由の特定
消費者がなぜその商品・サービスを選んだのかを特定するためにも、
エボークドセットは重要な役割があります。
例えば、自販機でコーヒーを購入したいと思った場合、
消費者の頭の中にはBOSSやUCCなどのブランドが浮かぶはずです。
レコメンド機能の需要増加
Eコマース(ECサイト)が購買チャネルとして重要になっている現代において、レコメンド機能の需要が高くなってきています。
レコメンド機能は、ウェブサイトへのアクセス履歴などの膨大な情報を取集しながら、利用者がまだ見ていない商品を表示させる機能です。
消費者に新たな気づきを与えられるため、新たな商品の購買へとつなげられます。
エボークドセットを調査することで、レコメンド機能の精度を高めて利益向上を期待できるようになります。
エボークドセットに入るためのマーケティング戦略
エボークドセットに入るためには、以下のようなマーケティング戦略が必要となってきます。
- ブランド認知を高め継続的に想起させる
- 試供品の提供や店頭体験イベントを通じて良い印象を持ってもらう
- 強い想起ポイントを作り出す(カテゴリーエントリーポイントの活用)
- 一貫したブランドメッセージで想起を強化する
ブランド認知を高め継続的に想起させる
消費者のブランド認知を高めながら、自社ブランドを継続的に想起させる取り組みを行いましょう。
売上トップブランドが必ずしも想起集合でトップというわけではありません。
宣伝やキャンペーンを行うことで、自社ブランドを消費者のエボークドセットに入れることができます。
ブランド認知度の分析には専用ツールがおすすめ
Knowns 消費者リサーチでは、独自フレームワークである7Journeyを使用することで消費者のブランド認知度を分析できます。
認知あり・認知なしからブランドを分類でき、どのような状態に含まれているのかをチェックできます。
自社が提供している商品・サービスにおける消費者の認知度を把握できるため、
エボークドセット調査後の課程でデータと比較しながら正確な分析が可能です。
各セグメント内での男女比や世代構成、価値観などを分析できるため、ぜひ利用をおすすめします。
試供品の提供や店頭体験イベントを通じて良い印象を持ってもらう
試供品の提供や店頭体験イベントを通じて良い印象を持ってもらうこともきっかけになります。
実際に自社商品・サービスを体験できる機会を消費者に与えることで、商材に対して前向きな理解を得られるようになります。
例えば、商材に関するキャンペーンやイベントを実施したり、お試しの利用期間を用意することで顧客に実際に体験していただけます。
ポジティブなブランド印象や顧客体験を提供する際には、
企業側から一方的なアプローチをかけるのではなく消費者に寄り添ったメリットのある提案が必要です。
消費者が自分で体験し、良いかどうかを判断できる時間を与えることで良い印象を持ってもらえるようになります。
結果として消費者のエボークドセットに自社ブランドが入るようになり、長期的な購買や利用へとつながっていきます。
強い想起ポイントを作り出す(カテゴリーエントリーポイントの活用)
エボークドセットに入るためには、強い想起ポイントを作り出すことが有効です。
何かを購入・利用しようと思った時にブランドを想起するきっかけやヒントのことを「カテゴリーエントリーポイント」といいます。
例えば、ポップコーンを食べたいなと思う時は、どのような時でしょうか?
多くの人が映画館で鑑賞する際と答えると思います。この手に取るシーンこそがカテゴリーエントリーポイントとなります。
時間や場所、ターゲット、シチュエーションなどブランドと紐付いたイメージがカテゴリーエントリーポイントとなり、エボークトセットに大きな影響を与えます。
エボークドセットに入るためには、商材に関連する強い想起ポイントを作り出すことを意識しましょう。
一貫したブランドメッセージで想起を強化する
自社ブランドの一貫したメッセージを伝えることで、消費者に想起してもらいやすくなります。
ブランドメッセージは企業が消費者に伝えるべき最も重要な価値や理念なので、広告や製品デザイン、対話など一貫して使用されるべきものです。
ブランドメッセージは企業の方向性を示すものなので、一貫性を持たせることを意識することが大切です。
エボークドセットの調査方法
消費者の認知度を知るためには、エボークドセットの調査が必要です。
エボークドセットを調査するには、はじめに目的を明確化しておきましょう。
ブランディング強化や商材の売上向上など、企業によってエボークドセットを調査する目的は異なります。
最終的なゴール地点を設定することで、目的が達成しやすくなります。
エボークトセットの調査では、以下のような流れで進めていきます。
- ・スクリーニング調査
- ・市場全体のカテゴリーの購買層・利用者層を把握
- ・分析する消費者の人数を設定
- ・認知・興味・検討・推奨などの工程に分類して調査を実施
ただし、エボークドセットの調査には膨大な資料データが必要になるケースも多いです。
そのため調査の負担を軽減しながら効率良く進めるなら、専用の分析ツールを導入するようにしましょう。
エボークドセットの調査はKnowns 消費者リサーチがおすすめ
間違った情報や自社の都合に合わせた調査を行うと、求める成果を得られない原因となります。
「Knowns 消費者リサーチ」は、たった1分で顧客分析ができるマーケティングツールです。
顧客構造から売上につながる消費者を見つけられる「ファネル分析」や認知あり・なしを把握できる「7 Journey分析」などのフレームワークが用意されています。
7 Journeyはノウンズ独自の分析フレームワークとなっており、認知や購入経験、直近の購入経験、購入意向などを分析できます。
ブランド名を入力すれば消費者の好感も分析できるので、エボークドセットに含まれる要素を把握できます。
そのためエボークドセット調査に役立つ情報を分析するときは、ぜひKnowns 消費者リサーチを導入してください。
エボークドセットで知るべき4つのポイント
エボークドセットで知るべきポイントとして、以下のような4点があります。
- ・競合の少ない領域を見つける
- ・ターゲットを絞る
- ・カテゴリーエントリーポイントを軸とした広告作成
- ・ブランドの印象を意識する
効率良く成果へとつなげるためにも、上記ポイントをチェックしておきましょう。
1.競合の少ない領域を見つける
幅広い業界で多くの商品・サービスが展開されている現代では、競合他社の多いカテゴリーでエボークトセットの上位に入ることは難しいです。
競合の少ないニッチなカテゴリーを見つけることで、商材の認知が広まり効率良く消費者を獲得できるようになります。
競争の激しい市場を狙う場合、サブカテゴリーを強化してマーケティング拡大を目指しましょう。
2.ターゲットを絞る
自社ブランドや商材と親和性の高いターゲットを絞ることで、エボークドセットに入るチャンスがあります。
消費者の生活習慣を想定し、どのようなシーンで自社ブランドが想起されるのかを明確化していきます。
一般層ではない顧客ニーズを考慮した商品・サービスを展開すれば、特定層からエボークドセットに選ばれる可能性が高いです。
3.カテゴリーエントリーポイントを軸としたマーケティング
カテゴリーエントリーポイントを軸とした戦略的なマーケティングを行うことで、高い成果を期待できます。
カテゴリーエントリーポイントを訴求しながら消費者に印象を植え付ければ、自社ブランドや商材を想起するポイントが増えていきます。
マーケティングの際には施策のPDCAサイクルを回しながらパフォーマンスを向上させることで、エボークドセットに入ることが可能です。
4.ブランドの印象を意識する
消費者が自社ブランドにどのような印象を持っているのか意識すれば、改善点が見つかりエボークドセットに含まれるようになります。
例えば化粧水を販売している場合、価格や効果などが重要なポイントとなります。
ターゲットとなる消費者が良い印象を持ってもらえれば、自然と商材はエボークドセットに入ることが可能です。
消費者からアンケートを集めることで改善点を見つけられるようになるため、
自社ブランドの印象を良くするノウハウを得ることができるでしょう。
エボークドセットの活用方法
消費者に自社商品・サービスを選んでもらうためには、エボークドセットの上位に入れるかが大事なポイント。
エボークトセットで上位を獲得するためのマーケティング活動には、テレビCMやWeb広告、看板、イベントの開催など幅広い方法があります。
インターネットから情報を取り入れることが多い現代では、SNSからプロモーション活動を行うことも重要です。
エボークトセット指標が重要なKPIとして設定されることで、ブランドを基準にしたマーケティング活動を行えるようになっていくでしょう。
まとめ
エボークドセットの詳細からマーケティングにおける調査・活用方法を詳しく解説しました。
消費者が商材を選ぶ際には、頭の中で思い浮かんだブランドをもとに購入や利用へとつながるケースが多いです。
企業は、ターゲットとなる消費者のエボークドセットに自社商材を含めるマーケティング施策が必要になります。
ぜひ当記事で紹介した調査・活用方法を参考にしながら、消費者のエボークドセット上位に入るための施策を考えてください。