女性の次はどの層狙い?長年愛されるあのカップ麺を分析
こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。
先日ミスタードーナツが「飲茶」シリーズの30周年を記念し、初のカップ麺「家で食べるミスドの汁そば」を期間限定で発売したというニュースを見ました。
老舗食品会社から有名飲食店など、どんどん新製品が発売されているカップ麺。
■ブランドデータ_日清カップヌードル 認知率・好感率(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチでカップ麺(ラーメン)について調べたところ、認知率・好感率ともに上位に君臨しているのが「日清カップヌードル」でした。
今回は「日清カップヌードル」について分析していきたいと思います!
日清カップヌードル
カップヌードルの歴史
1971年に発売された「カップヌードル」は、日清食品の創業者・安藤百福氏が「チキンラーメン」を世界に広めようと考え、1966年に欧米へ視察旅行へ行ったのがきっかけだったそうです。
現地で訪れたスーパーの担当者たちが「チキンラーメン」を小さく割って紙コップに入れ、お湯を注ぎフォークで食べる姿を見た安藤氏は、アメリカにはどんぶりも箸もない、つまりインスタントラーメンを世界食にするためのカギは食習慣の違いにある、と気づきました。
この経験をヒントに、麺をカップに入れてフォークで食べる新製品の開発に取りかかり、容器のフタや具材、麺の揚げ方などさまざまな知恵や工夫が詰め込まれた「カップヌードル」が誕生しました。
「カップヌードル」は、袋麺が25円の時代に1食100円と高価で、また立ったまま食べるのは良風美俗に反するという意見も飛び出し、なかなか店頭に並べてもらえませんでした。
しかし安藤氏は、お湯の出る自動販売機の開発・設置や銀座の歩行者天国での試食販売の実施など、それまでにない宣伝や販売促進を行い、自ら新しい販売ルートを開拓していきました。
「カップヌードル」は1973年にアメリカ進出を果たし、その後もブラジル、シンガポール、香港、インド、オランダ、ドイツ、タイなどに次々と拠点を設立。
日本の味をそのまま輸出するのではなく、それぞれの国や地域の人が好むスープや具などを商品作りに反映させることで、「カップヌードル」は日本生まれの世界食となりました。
購入者分析
■デモグラフィック分析_日清カップヌードル 現在購入層(Knowns 消費者リサーチ調べ)

カップヌードル購入者のデモグラ構成比をみると、全体的には30代・性別では女性が多く出ています。性別×年代で見ると男性は30代~50代、女性は20代〜30代が多いです。
■7 Journey_日清カップヌードル(Knowns 消費者リサーチ調べ)

7Journeyを見てみると認知率や≪購入経験あり×購入意向あり(チャンス+巻き戻し+ロイヤル)≫は高めです。
≪現在購入層+過去購入(1年以上前に購買経験あり)≫の層も多く、知っているだけではなく実際に食べたことのある人が全体の9割ほどということがわかります。
どんな人が購入している?
では、どのような人が「カップヌードル」を購入しているのかサイコグラフィックを見てみましょう。
■サイコグラフィック分析_日清カップヌードル 現在購入層・個人価値観
(Knowns 消費者リサーチ調べ)

■サイコグラフィック分析_日清カップヌードル 現在購入層・社会価値観
(Knowns 消費者リサーチ調べ)

■サイコグラフィック分析_日清カップヌードル 現在購入層・消費価値観
(Knowns 消費者リサーチ調べ)

サイコグラフィックを見てみると、個人価値観は“柔軟姿勢””倹約家””理論重視”な方が多いようです。
柔軟姿勢と理論重視という正反対のクラスターが並んでいるのは、幅広い年齢や職業の方に購入されているからかもしれません。
また社会価値観は“自分より家族優先””トライブ重視”な方が多く、家族や身近の人との繋がりを大切にする方が多いようです。
消費価値観は“リピート消費””リターン期待型消費”が上位にあり、商品を選ぶ際には自分が気に入ったものをよりお得に購入したい方、また、“ノスタルジー消費”も高いので、懐かしさから消費行動を起こす傾向もありそうです。
■商品・サービスへの意見_日清カップヌードル(Knowns 消費者リサーチ調べ)

消費者の声を見てみると「長年食べている」「カップラーメンの定番」との声が多かったです。
商品の愛されてきた歴史が“ノスタルジー消費”につながっているのかもしれません。他にはさまざまなフレーバーや期間限定商品に関するもの、パッケージや商品名にインパクトがあるなどの声もありました。
カップヌードルの味
何味が好き?
現在カップヌードルシリーズの定番の8種はカップヌードル(レギュラー)、カップヌードル カレー、カップヌードル シーフードヌードル、カップヌードル チリトマトヌードル、カップヌードル ねぎ塩、カップヌードル 欧風チーズカレー、カップヌードル 味噌、カップヌードル 担担だそうです。
参考:カップヌードル 定番8種詰め合わせセット / 日清食品グループ
その他にも特上カップヌードルや、世界のカップヌードルシリーズなど様々なシリーズのラインナップが販売されています。
ちなみに多様なラインナップの中でも人気なのは、カップヌードル(レギュラー)、シーフードヌードル、カレーの順に人気のようです。
参考:カップのギモン|カップヌードル|CUPNOODLE / 日清食品グループ
またラインナップが揃っているということは、それぞれの世代や好みに合わせた製品の開発を行なってきていることが伺えます。
サイズもミニ・レギュラー・ビッグと展開しており、ガッツリ食べたい時や他の食品のプラスアルファとして食べるにも便利ですね。
ちなみに現在は生産終了していますが、以前販売していた“カップヌードルライト”も“世界のカップヌードルシリーズ”同様、女性向けとして販売されていた商品でした。
参考:「女性向けカップヌードル」が成功した理由 /日経Gooday
過去の記事からもわかるように、日清の開発のベースには「食べ物は機能から入ることはない」と言うことと、“女性は理屈や左脳ではなく、右脳をまず働かせる”とあり、美味しさ・美味しそうに見えるか・目新しいもの、を重視しているということが世界のカップラーメンシリーズにも通じるのかもしれません。
■商品・サービスへの意見_カップヌードル 現在購買層・注目のご意見
(Knowns 消費者リサーチ調べ)

消費者の声の”注目の意見”でも女性からの意見が多く、味だけでなく見た目や豊富なシリーズに関するコメントが多かったです。
アレンジレシピも!
カップヌードルはアレンジレシピも公開されています。通常の食べ方だけでなく、残り汁を活用したレシピもあり、最後まで商品を楽しむことができます。
日清カップヌードルのブランディング
カップニャードル
現在Xなどで話題になっているのが、カップヌードルを買ってスマホでフタ裏ネコを飼える「カップニャードルキャンペーン」。
対象商品のフタ表の二次元バーコードを読み込んで、フタ裏のニャードルの顔をカメラで撮ることでこのオリジナルゲームに参加することができます。
※キャンペーン期間2023年9月1日〜12月31日
フタ裏猫って?
「カップヌードル」は2021年6月から”フタ止めシール” を廃止し、代わりにフタの開け口を2つに増やした “Wタブ” を採用し、順次販売を開始しました。
その際に、2つの開け口の形がネコの耳に似ていたことから、フタ裏にネコのイラストをデザインした商品を発売。その後約半年ほどでフタの裏は無地に戻りましたが、復活を望む声を多数受け、今回のオリジナルゲームに進化し、復活を遂げたそうです。
猫だけでなく”チベットスナギツネ”などレアキャラもいるそうです。面白いですね!
“フタ裏ネコの育成”がゲームになっているのも、家族や身近の人との繋がりを大切にする方が多いという消費者の社会価値観にも合っているのではないでしょうか。
■デモグラフィック分析_スマホ用ゲームアプリ 現在利用層(Knowns 消費者リサーチ調べ)

スマホ用ゲームアプリ利用者のデモグラを見てみると、カップヌードル購入者のデモグラ構成比と同様、全体的には30代・性別では女性が多く出ています。
性別×年代で見ると男性は30代~50代、女性は20代〜30代が多いです。
「カップヌードル」購入者の7 Journeyでもロイヤル層が多く出ていましたが、世代や好みに応じた商品開発だけでなく、”フタ裏ネコ復活”を望む消費者の声に応じ、購入者に向けてのコミュニケーションや販促を行なっていることがわかります。
次世代ロイヤルユーザー(若年層)の獲得
カップヌードルと言えば話題性のある独特なCMのイメージが強いですが、それは「次世代ロイヤルユーザー(若年層)の獲得」を狙った戦略が関係しているそうです。
カップヌードルをスマホと同じぐらい「絶対にないと困る存在」=彼らの「マインドシェア(ターゲット層の脳内にある興味・関心の占有率)を上げる」ため、下記3つのブランド戦略を行なっているそうです。
参考:安藤徳隆・日清食品社長が語る「モノが売れる広告を追求すると、現代アートに近づいていく理由!」ブランド・コミュニケーション戦略の裏側 / ダイヤモンドオンライン
- テレビCMを中心とした宣伝活動による「空中戦」
- 営業を中心に店頭での露出を高める「地上戦」
- 空中戦と地上戦をSNSマーケティングでつなぐ「サイバー戦」
人の心をかき乱すくらいのCMでないと、他社のCMに埋没してしまうし、トガったところがないとマインドシェアは上がらない、という安藤徳隆社長のポリシーから展開されています。
■イメージ分析_カップヌードル 10代後半~20代前半(Knowns 消費者リサーチ調べ)

若者層のイメージ分析を見てみると、“家庭的・安堵感”、”ベーシック・定番的”が上位にきています。“ハマる・依存する”も比較的上位にきていますし、マインドシェアの戦略の影響もあるのでしょうか。
現在放映中のCMは公式サイトで紹介されていますが、解散した漫才コンビが再共演(しかもフィギュア化)をしているなど、若者に限らずですが、確かにとても印象に残るCMづくりをされていることが伺えます!
今後の新作も気になりますね。
まとめ
カップヌードル購入者の特徴
- 20代〜30代の年齢層、女性が多い
- 幅広い年齢や職業の方に選ばれる
- 自分より家族優先・トライブ重視の社会価値観
- リピート消費・リターン期待型消費・ノスタルジー消費の傾向
カップヌードルと言えば“謎肉”
カップヌードル(レギュラー)と言えば“謎肉”。
“謎肉まみれ”の商品も発売されたりなど度々話題になっています。
“謎肉”の正式名称は”味付豚ミンチ”で、豚肉と大豆由来の原料に野菜などを混ぜてミンチ状にし、フリーズドライ加工したものです。
インターネットを中心に”謎肉”の愛称で親しまれるようになり、今ではカップヌードル公式もその愛称を使用し、カップヌードルを代表する具材となりました。
海外では味が違う
日本だけでなく、世界100カ国で販売される「カップヌードル」。
発売50周年となる2021年には、世界累計販売500億食を達成したそうです。
ブランドは世界中で統一していますが、それぞれの国や地域で親しまれる味や食感を反映し、現地の消費者の好みに沿って開発した商品を、現地で製造・販売しています。
世界各地のカップヌードルは「カップヌードルミュージアム」(大阪府池田市、神奈川県横浜市)にて展示されているので、興味のある方は行ってみてくださいね。
YouTuberヒカキン監修の「みそきん」
前述のようにミスタードーナッツがカップ麺を発売し話題となっていましたが、カップ麺で話題と言えば有名Youtuber・HIKAKIN(ヒカキン)さんがプロデュースしたのカップ麺「みそきん」も記憶に新しいのではないでしょうか。
こちらの商品も日清食品が開発協力したそうです。
発売から売り切れ続出後、8月10日より順次再販されたそうですが、今後再度販売されるのか気になりますね。
また王道のサッポロ一番からも有名店オーナーシェフ監修のものや、各コンビニも名店限定コラボの商品など、数多くの商品が発売されていて驚きました!
みなさんの最近のお気に入りはありますか?
Knowns 消費者リサーチ