冬に新作続々の理由は?満足度No1のご褒美アイスを分析
こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。
今回は世界中にファンを持つ「ハーゲンダッツ」について、Knowns 消費者リサーチを用いて分析していきたいと思います!
世界で愛されるハーゲンダッツ
ハーゲンダッツの歴史
1961年に「ハーゲンダッツ」はルーベン・マタス氏によりニューヨークで誕生しました。
ルーベン・マタス氏は荷馬車のアイスクリーム店を経営する母親のもとに生まれました。
1930年代から50年代までは家族での経営が続きましたが、新しく子ども向けのおやつとしてのアイスクリームではなく、大人も満足できる高品質なアイスクリームを作りたい、と妻のローズ氏とともに設立したのが「ハーゲンダッツ」です。
厳選した素材だけを使ったプレミアムアイスクリームのうわさは、すぐに全米中へと広がり、ハリウッドセレブが自家用ジェット機でニューヨークまで駆けつけるほどだったそうです。
そして1982年にカナダ、1983年にシンガポールと香港、1984年に日本、1987年にドイツ、1990年にはイギリスとフランスへと渡りました。その後も中国、ロシアなど世界中に広がり続け、今では100以上の国々で愛されるブランドへと成長を遂げました。
製法や素材へのこだわり
まず、アイスクリームのなめらかな口当たりを出すために大切なのが、空気の量だそうです。
ハーゲンダッツでは空気含有量を20〜30%と低く抑え、小さくてもずっしりと重く、食べ応えのある味わいをつくり出しています。
参考:Why Häagen-Dazs? 食べたくなる7つの理由 / ハーゲンダッツ
またハーゲンダッツアイスクリームはクリーム部分に安定剤や乳化剤を使用していないため、製造直後からお客様の手に届くまで、配送業者や卸、小売店の協力を得ながら温度管理を徹底しているそうです。
アイスクリームのおいしさの生命線であるミルクに関しては、日本上陸時に数ある酪農地域へ足を運び、その中で選ばれたのが浜中町を中心とした北海道東部根釧エリアのミルクでした。
1頭1頭行き届いた飼育方法、飼料だけでなく牧草や土壌にまでこだわる徹底した管理体制が、ハーゲンダッツアイスクリームのおいしさを支えているそうです。
各フレーバーに使用する素材に関してもコク深く濃厚な味わいのミルクに負けない副原料を世界中から厳選していいます。
データでみるハーゲンダッツ
ハーゲンダッツを買う年代は?どんな消費者がいるの?
■ブランドデータ_ハーゲンダッツ 認知率・好感率(Knowns 消費者リサーチ調べ)

■ポジショニング分析MAP_アイスクリーム(氷菓を含む) 満足率×認知率
(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチでアイスクリーム(氷菓を含む)の満足率×認知率を見ると、ハーゲンダッツの各種アイスクリームが90%以上の満足度であることがわかります。
■デモグラフィック分析_ハーゲンダッツ 現在購入層(Knowns 消費者リサーチ調べ)

ハーゲンダッツ消費者のデモグラ構成比をみると40代〜50代前半と60代後半が多く出ています。
男女比では女性が圧倒的に多いです。
■7 Journey_ハーゲンダッツ(Knowns 消費者リサーチ調べ)

「ハーゲンダッツ」の7 Journeyを見てみると、認知率が高く、ロイヤル層の顧客もとても多いことが分かります。
■ファネル分析_ハーゲンダッツ(Knowns 消費者リサーチ調べ)

ファネル分析では認知からの購入意向も高く、現在購買⇒リピート意向は98.5%とリピーターがとても多いです。
一方その中でやや好意的ではありますが最近購入していない巻き戻し層も高めです。
好感を持っているのはどんな人たち?
■サイコグラフィック分析_ハーゲンダッツ 好感あり・個人価値観(Knowns 消費者リサーチ調べ)

■サイコグラフィック分析_ハーゲンダッツ 好感あり・社会価値観(Knowns 消費者リサーチ調べ)

■サイコグラフィック分析_ハーゲンダッツ 好感あり・消費価値観(Knowns 消費者リサーチ調べ)

ハーゲンダッツに好感がある層のサイコグラフィックを見てみると、“アウトドア派”に次ぎ“都会派””健康志向”な方が多いです。
また社会価値観は“自分より家族優先””トライブ重視””ワーカホリック”と、と、正反対のクラスターが並んでいます。
認知率も高かったですし、決まった価値観を持つ人々だけではなく、さまざまな職業や環境の方から好感を得ているのでしょうか。
そして消費価値観は“レビュー熟考消費”と“トレンド・限定重視消費”が高いことから、人気の高い流行や限定品を購入したい傾向がありそうです。
ご褒美・たまの贅沢に食べるアイス
■ワードクラウド_ハーゲンダッツ アンケート回答者全体(Knowns 消費者リサーチ調べ)

「ハーゲンダッツ」のワードクラウドを見ると“美味しい”“高い”の他に“褒美”贅沢”“限定”の文字も目につきます。
■商品・サービスへの意見_ハーゲンダッツ(Knowns 消費者リサーチ調べ)

※絞り込み条件:アンケート回答者全体・注目の意見
ワードクラウドでも大きく出ていた“褒美”“贅沢”ですが、注目の意見でも「ご褒美として買う」「たまの贅沢に買う」という意見がとても多かったです。
長年愛される・リピーターが多い商品であり、特別な時に食べる人が多いようです。
フレーバーの多さや限定商品についても「どれを食べても美味しい」とプラスな意見が多かったです。
公式サイトのCMギャラリーを見ても、“ご褒美”“贅沢”など普段とは少し違う、特別な時た自分を労りたい時に、というCMが多く見受けられます。
何故冬に売れるのか?
年末年始、自分へのご褒美やイベントでの需要
ワードクラウドや意見にも出ていましたが、ハーゲンダッツは一般的なアイスに比べると価格が高く、ご褒美需要が高いようです。
日本で発売を始めた当時から12月が最も売れており、年末の人が集まる機会での利用や、仕事帰りに立ち寄れるコンビニで買う贅沢品として選ばれているのではないかとのことです。
参考:ハーゲンダッツが12月に最も売れる納得の理由 / 東洋経済オンライン
またハーゲンダッツは発売当時から大人の男女がアイスクリームを一緒に食べるシーンが大胆かつ官能的に表現されたCMで、ハーゲンダッツを“大人の贅沢な品”として定着させました。
また時代と共にテレビ離れが進むと、「Facebook」「Twitter」「LINE」「インスタグラム」をメインにSNS運用にも力を入れています。
2021年3月からは、ブランドメッセージに「ハローしあわせ。」を掲げ、現在もCMやSNSなどのコミュニケーションを展開しています。
■イメージ分析_ハーゲンダッツ(Knowns 消費者リサーチ調べ)

「ハーゲンダッツ」のイメージを見てみると、“上品・優雅””ラグジュアリー・贅沢””期待感・ワクワク”が上位に来ています。
他のアイスクリームのイメージ平均(赤丸)に比べ、“上品・優雅”“ラグジュアリー・贅沢”が上位にきているのはハーゲンダッツの特徴で、長年愛されている高級アイスクリームブランドであることが伺えます。
期間限定品も冬に多い
ハーゲンダッツのニュースリリースを見ると、期間限定品の発売は秋から冬にかけてが多いことがわかります。
発売当初から冬の売上が高いことからそれに合わせてなのでしょうか。
冬に合わせてのキャンペーンも行われており、サイコグラフィックの“トレンド・限定重視消費”にも合った取り組みだと思います。
また日本人の嗜好に合わせ、抹茶、小豆、スイートポテト、ユニークなフレーバーも多く、季節限定および限定フレーバーでは日本の祝祭日や旬の食材にちなんだ商品も発売されているのも特徴です。
日本では冬には“バニラ味”が売れる?
前回の「雪見だいふく」の分析の中でも好きなアイスクリームのフレーバーの1位はバニラでしたが、ハーゲンダッツの商品の中でも通年人気の商品はバニラだそうです。
参考:アイスクリーム白書2021 / 日本アイスクリーム協会
ハーゲンダッツのバニラが選ばれる理由には、日本では『アイス=バニラ』がアイスクリームの標準になっており、特に年配者の方は指名買いをされるそうです。
シンプルな味を好む文化が根強く、バニラが他の素材と組み合わせやすいのもあり、日本ではバニラ味がダントツで販売数量1位なのではないかと予想されています。
参考:「ハーゲンダッツのバニラ味」が万年1位なワケ / PRESIDENTオンライン
他にはどんなアイスが好き?
■ブランドスイッチ分析_ハーゲンダッツ(Knowns 消費者リサーチ調べ)

ブランドスイッチ分析を見てみると、現在「ハーゲンダッツ」を購入している方が購入したいと考えている他のアイスは上記のラインナップです!
サーティーワンやグリコ アイスの実など数値が高いですね。(選択条件の回答率を参照)
その中でも注目したいのは「Pâtiré(パティレ)」です。
メイトー「パティレ」はパティシエが監修した“毎日のご褒美アイス”です。
現在販売中のラインナップが「誘惑のレーズン」「誘惑のナッツ」「誘惑のクッキー&バニラ」となっています。
ハーゲンダッツと同じく“ご褒美”を謳っているアイスですが、“毎日”がついているだけあり、値段はハーゲンダッツの約半分なので、普段は「パティレ」、特別なご褒美やさらに贅沢したい日は「ハーゲンダッツ」と使い分けで購入検討する人もいるのかもしれませんね。
まとめ
「ハーゲンダッツ」を買う人の特徴
- 40代〜50代前半と60代後半、女性が多い
「ハーゲンダッツ」に好感を持つ人の特徴
- アウトドア派・都会派・健康志向
- さまざまな職業や環境の方に利用されている
- レビュー熟考消費、トレンド・限定重視消費の傾向
高級だからこそ、ご褒美やたまの贅沢に「ハーゲンダッツ」は確立された存在であることがわかりました。
ハーゲンダッツ内の人気ランキング
また2023年下半期発売ハーゲンダッツフレーバー総選挙では、1位ミニカップ『苺のトリュフ』、第2位『熟成バニラ 芳醇な香り』、第3位クリスピーサンド『木苺とバニラのパフェ』がランクインしています。
参考:2023年下半期発売 ハーゲンダッツ フレーバー総選挙 ミニカップ『苺のトリュフ』が人気! ハーゲンダッツファンが選ぶ人気商品ランキングを発表! / PRTIMES
それぞれの“食べたい”と思った理由では、ミニカップ『苺のトリュフ』は、苺とチョコの組み合わせに惹かれているようです。
『熟成バニラ 芳醇な香り』では、ハーゲンダッツが期間限定でお届けした特別なバニラであることに関心が寄せられていました。
また、クリスピーサンド『木苺とバニラのパフェ』は、木苺の味わいに興味を抱いた方から支持を集めているそうです。
■ブランド一覧_ハーゲンダッツ 認知率・好感率(Knowns 消費者リサーチ調べ)

ちなみにKnowns 消費者リサーチでハーゲンダッツの各ラインナップの認知率・好感率を調べると、ミニカップの認知率・好感率が高かったです。
ミニカップは蓋を開けた時に現れる“ハーゲンハート”でも話題になっていました。
ベトナムでは現在もハーゲンダッツの路面店があるのですが、日本では2013年に全店閉店しているそうです。
ハーゲンダッツの他に海外から日本に上陸したアイスクリームチェーンでは「サーティーワン」や「コールドストーン」などがありますが、現在も店舗数を維持できているのは「サーティーワン」のみだそうです!
参考:サーティワン、日本上陸50周年 貫く「アイスクリーム専門店」としての姿勢、“半世紀一強”の勝因とは / ORICON NEWS
ハーゲンダッツ×日本酒のペアリング
日本酒で有名な「久保田」では“もっと大人な贅沢”として、ハーゲンダッツと日本酒のペアリングもお勧めしています。
ハーゲンダッツはアイスクリームの中でも特に日本酒とマッチするそうです!
またアイスクリームに合わせる日本酒を選ぶときのポイントは「甘味」がある日本酒を選ぶことだそう。
アイスクリームの甘味と絶妙にマッチして日本酒の風味が引き立ち、マイルドな味わいになるとか。
私はお酒も好きなので、是非試してみたいペアリングです!
参考:もっと大人な贅沢アイスクリーム!ハーゲンダッツ×日本酒のペアリングを検証してみた / 朝日酒造
またライフスタイルブランドDIESELが手がける「グロリアスチェーンカフェ」とコラボメニューを出していたり、日本に限らず香港のハーゲンダッツでは世界的に著名なフランス人パティシエ「ピエールエルメ」とのコラボも行っていました。
世界的に高級感のあるブランドとのコラボは、ハーゲンダッツのブランド力に対する信頼からだと思います!
消費者リサーチ