競合はカフェ?食べるスープ専門店が選ばれる理由


こんにちは。ベトナム在住ライターの寺内です。

日本はまだ寒い日が続いているのでしょうか?

先日中山競馬場に雪がちらついている動画を観て、東京でも雪が降っていることを知りました。

風邪などに気をつけて、暖かく過ごしてくださいね。

暖かくなるといえばスープ。私は冬でも夏でも「スープストックトーキョー」があるとつい行きたくなりますが、みなさんはいかがですか?

昨年、離乳食の無償提供でも話題になった「スープストックトーキョー」について、今回は分析していきたいと思います!

食べるスープの専門店・スープストックトーキョー

スープストックトーキョーの歴史

「スープストックトーキョー(Soup Stock Tokyo)」は1999年から食べるスープの専門店として首都圏を中心に全国に店舗を展開しました。

スープストックトーキョーは全国から集めた選りすぐりの食材を使用し、化学調味料などに頼らず素材の特長を活かしておいしいスープを提供していることが特長です。

スープの種類は季節や週ごと、店舗ごとに変わり、スープだけでなく、カレー、ご飯、おかゆ、パン、デザートが楽しめます。

創業者、株式会社スマイルズの遠山正道さんは三菱商事在職中に「生活に身近な仕事がしたい」と、自ら手を挙げて関連会社である日本ケンタッキー・フライド・チキン株式会社に出向しました。

参考:「スープのある一日」という物語からSoup Stock Tokyoは生まれた |  PARTNER
https://partner-web.jp/article/?id=1042

そして在籍時にスープ専門店を起案し、「スープストックトーキョー」を立ち上げその翌年、社内ベンチャーとして株式会社スマイルズを設立。
2008年にオーナー社長となりました。

そこから紆余曲折あり、“エキナカ”を中心に店舗を出店し、立ち食いそば店など男性サラリーマン向けのエキナカ飲食店のイメージをスープストックの登場が大きく変えました。

現在は全国に「Soup Stock Tokyo」54店舗、家で食べるスープストックトーキョー(冷凍スープの専門店)10店舗、展開しています。

スープストックを使う人、好む人を分析

■ブランドデータ_スープストックトーキョー  認知率・好感率(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:ブランドデータ_スープストックトーキョー  認知率/好感率

■デモグラフィック分析_スープストックトーキョー 現在購買層(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:デモグラフィック分析_スープストックトーキョー 現在購買層

スープストック利用者のデモグラ構成比をみると20代後半から50代前半が多く、特に30代前半〜40代前半の利用者が多いようです。

男女比では女性が圧倒的に多いです。

■デモグラフィック分析_スープストックトーキョー(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:デモグラフィック分析_スープストックトーキョー 現在利用層/居住エリア

※絞り込み条件:現在利用層・居住エリア

また利用者の居住エリアを見てみると、関東が圧倒的に多く、次に中部・近畿・九州と利用者が多いようです。

店舗数と照らし合わせてみると東京を含む関東が最も多く、次いで近畿、中部、九州となっているので、中部は店舗数に対して利用者が比較的多いことがわかります。

中部の人の方がスープがお好きなのでしょうか。

■7 Journey_スープストックトーキョー(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:7 Journey_スープストックトーキョー

「スープストック」の7 Journeyを見てみると、未認知が多いですが、離反率が低く、一定のファンやリピーターがついていることが分かります。

■ファネル分析_スープストックトーキョー(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:ファネル分析_スープストックトーキョー

ファネル分析では認知からの購入意向も高く、また現在購買⇒リピート意向は97.8%とリピーターがとても多いです。認知が広がればどんどんファンが増えそうですね。

どんな人が好感を持っている?

■サイコグラフィック分析_スープストックトーキョー 好感あり・個人価値観
(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:サイコグラフィック分析_スープストックトーキョー 好感あり/個人価値観

■サイコグラフィック分析_スープストックトーキョー 好感あり・社会価値観
(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:サイコグラフィック分析_スープストックトーキョー 好感あり/社会価値観

■サイコグラフィック分析_スープストックトーキョー 好感あり・消費価値観
(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:サイコグラフィック分析_スープストックトーキョー 好感あり/消費価値観

サイコグラフィックを見てみると、“都会派””報われ待ち””自己愛強め”な方が多いです。

また社会価値観は“自分より家族優先”に次ぎ、“ワーカホリック””依存集中型”と、正反対のクラスターが並んでいます。さまざまな職業や環境の方に利用されているのでしょうか。

そして消費価値観は“トレンド・限定重視消費”“失敗回避型消費””ノスタルジー消費”が高いことから、人気の高い流行品や限定品を購入したい傾向と、品質や安全性、懐かしさで消費行動を起こす傾向がありそうです。

消費者の心を掴む理由は?

■ワードクラウド_スープストックトーキョー(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:ワードクラウド_スープストックトーキョー アンケート回答者全体より

※絞り込み条件:アンケート回答者全体より

「スープストック利用者」のワードクラウドを見ると“スープ””美味しい”の他に“種類””高い”の文字も目につきます。

種類が多いのは嬉しいことですが、高いのはややネガティブにも聞こえてきます。どういう意味合いなのでしょうか?

種類豊富なスープとカレー

「スープストック」といえば色んなスープが楽しめることが特長ですが、定番や季節限定商品などを含め、歴代のスープは200種類以上だそうです。

またスープづくりを通して蓄えた料理の知恵を生かして作っているのがカレーです。こちらも現在販売されていないものを含め60種類を超えているそうです。

週ごとにメニューが変わるのも、利用者を飽きさせない工夫ですね。

看板メニューの1つである「オマール海老のビスク」をスタッフが一から作る研修「オマールファクトリー」では、カナダ産のオマール海老の頭を砕くところから始まり、8時間かけてようやく一杯のスープが出来上がるそうです。

その他、お客様に売れるまでの時間よりも仕込みにかかる時間のほうが長いスープやカレーも多々あるそうです。

価格については“高い”と思われる方も多いようですが、食材の厳選から手間までを考えると、妥当、寧ろコスパがいいものなのかもしれません。

公式によると「東京ボルシチ」「オマール海老のビスク」「トマトと鶏肉のカレー」「玉葱と鶏肉のカレー」が定番の人気メニューだそうです。

食のバリアフリー化

昨年「離乳食の無償提供」を開始し話題にもなっていましたが、スープストックでは赤ちゃんに限らず、ベジタリアンやグルテンフリー対応、咀嚼配慮食サービス対応など、食の多様性の実現を図っています。

賛否両論あった「離乳食の無償提供」では企業として、理念に沿った取り組みであると毅然とした声明を出していたのも印象深いです。

スープストックのターゲットは0歳から100歳までだそう!

今後は、病院食や介護食、減塩食、非常食などについても研究や開発を進めていく予定だそうです。

ギフトにも人気

家で食べるスープストックトーキョー(冷凍スープの専門店)の店舗展開も行っており、コロナ禍に登場したレトルトカレーなど、店頭でも常温レトルトや冷凍食品が購入でき、ギフトとしても人気だそうです。

オンラインショップはもちろん、フリーズドライの商品や住所がわからなくても贈れるeギフトにも対応していて、様々な場面で利用しやすいようになっています。

利用者のワードクラウドでも“高い”という文字も大きかったですが、品質の高さもあり、誰かからもらう・誰かに贈るのにちょうどいい商品なのではないかと感じました。

また毎年元旦以降に店舗で初売りを行う「福袋・福箱」も人気だそうです。

公式アプリで貯めたポイントと引換えできる、2011年からスタートした毎年限定デザインで作っている“イヤーカップ”は、リピーターやファン層に嬉しいサービスだと思いました。

■商品・サービスへの意見_スープストックトーキョー(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:商品・サービスへの意見_スープストックトーキョー アンケート回答者全体/注目の意見

※絞り込み条件:アンケート回答者全体・注目の意見のみ

スープストック利用者の意見でも定番味に関する意見では「手軽さ」「美味しさ」以外にも季節ごとの商品に言及したものも多かったです。

■イメージ分析_スープストックトーキョー(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:イメージ分析_スープストックトーキョー

「スープストック」のイメージを見てみると、“期待感・ワクワク””リラックス・リフレッシュ””カジュアル・プチリラックス”が上位に来ています。

2010年よりアートから着想を得たスープなども登場しており、このような豊富な季節限定商品などがこの結果に繋がっているのかもしれませんね。

まとめ

「スープストック」利用者の特徴

  • 30代前半〜40代前半、女性が多い

「スープストック」に好感がある人の特徴

  • 都会派・報われ待ち・自己愛強め
  • さまざまな職業や環境の方に利用されている
  • 流行品や限定品、品質と安全性、懐かしさを元に消費行動を起こす傾向

「スープストック」のエキナカ出店は“都会派”に合っており、商品開発・企業の取り組みを見ても、“トレンド・限定重視消費””失敗回避消費”“ノスタルジー消費”など、利用者のサイコグラフィックにとてもマッチしていることがわかりました。

ちなみにスープストックは2割くらいがテイクアウトで、主体はイートインだそうです。ルミネ内の店舗など広い店舗もありますが、エキナカは小さいながら常に人が入っているイメージがあります。

私もエキナカの店舗をよく利用するのですが、ひとりでも入りやすい雰囲気で気軽に美味しいスープが食べられるのがいいなと思っています。

スープストックの競合は?

■ブランドスイッチ分析_スープストックトーキョー(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ調べ:ブランドスイッチ分析_スープストックトーキョー

ブランドスイッチ分析を見てみると、現在「スープストック」利用者が次に行く飲食店に選ぶのはカフェが多く選ばれています

スープ専門店よりも、カフェがスープストックの競合のようです。

スープチェーンでスープストックは唯一無二​​として確立しているのは、凄いことですね!

ちなみに“スープ専門店”は他にどんなところがあるのか調べてみたところ、こんな記事を見つけました。

おいしそうなお店がたくさんありますが、みなさん利用されているところはありますか?

参考:【東京】スープが飲みたい方必見!気になるスープストックも◎ / aumo
https://aumo.jp/articles/52828

消費者リサーチ