アンケート調査の作り方を解説!コツやポイントも紹介


今回はデータ収集や消費者の声をヒアリングするときに活躍するアンケート調査の作り方について解説します。

「自社のサービスや商品をどんな人が買っているのか」「どんな評価を得ているのか」

そんな疑問や課題を感じたときにアンケート調査を実施することもあるかと思います。

実際にアンケート調査をしてみるとぶつかるポイントや初めてトライするときに何を気を付けたほうがいいのか、そういったコツやポイントを交えて紹介していきます。

アンケート調査の目的を明確にする

アンケート調査を作るうえで重要になってくるのが、アンケート調査の目的をはっきりさせることです。

目的が曖昧なまま調査を進めると、求めているデータと回答との間に乖離が生じていまい、質の高い調査結果は得られません。

アンケート調査を作成する前に「いつまでに」「誰に」「何を」「どのように」という計画を立てることを強くおすすめします。

アンケート調査対象を決める

調査の目的が明確になったら、次は調査対象を決めます。

例えば「リピートユーザーの声を聞く」「認知のある人はどんな印象を持っているか」などのように、”誰”に対して調査を行うのかを定める必要があります。

調査目的や調査対象を明確にしておくことで、質問作成や調査結果の分析をスムーズに行うことが可能になります。

アンケート調査結果をどのように活用するのかを考える

アンケート調査の作成時に結果の活用方法を考えるのは難しいかもしれません。

しかし”仮説”を立てることで、活用方法が浮かび上がってきます。

例えば「物価高の影響で外食する頻度が低下しているのでは?」という仮説を立てた場合、「物価高による消費者行動の変化」という方向性で調査の目的が定まります。

調査結果を分析する際にこの仮説を立てていれば、課題や問題点、改善点などの発見を容易にします。

アンケートの調査結果はうまく活用することで、商品やサービスの改善、顧客満足度の向上に繋げることができます。だからこそアンケート調査の検討段階が大きなカギを握っていると言っても過言ではありません。

■調査と仮説

仮説を立てることで調査目的は明確になることを示した図

 質問の基本の作り方

質問の作成で最も重要なことは、回答者にストレスを与えないよう心掛けることです。

質の高い調査結果を得るためにも、以下4つのポイントを意識しましょう。

1,質問文作成時の注意点

・専門用語は避け、具体的で分かりやすい言葉を使う

より質の高い回答を求めるのであれば、選択肢はできるだけシンプルなものにするべきです。また前提知識や専門的な知識が必要な質問、難しい表現は極力減らしましょう。

できるだけシンプルで短い一文の質問が理想的です。

1つの質問に対して1つの回答を求める

選択肢が複雑だったり多段階な仕組みにすると、回答者の考える時間が増えることに繋がり、質の低い回答の増加やユーザーが離れる原因になります。

質問内容が重複しないように意識する

例えば「当店の商品・サービスの品質に満足していますか?」の項目の他に、

「当店の商品・サービスの品質は高いと思いますか?」といった質問を設けると、聞きたいことの焦点が重複しているので、回答者に混乱を招く可能性があります。

2,選択式と記述式。回答の使い分け

質問の回答にはいくつか形式が存在します。

・単一選択型(シングルアンサー)

「はい・いいえ」「男・女」など回答が1つに限られる質問のこと。回答者の思考にかかる負担が最も少なく、回答率が非常に高い形式。回答者が最も重視していることや、当てはまることを知る場合に適しています。

・複数回答型(マルチアンサー)

例えば「次の選択肢の中から当てはまるものをすべて選択してください」のような、複数の選択肢から複数の回答を選ぶ回答形式です。回答者の実態に即した結果を得ることができます。

・段階評定型

例えば「非常に満足、やや満足、どちらともいえない、やや不満、非常に不満」といった顧客満足度調査によく用いられる回答方式です。回答者の認識や程度を定量的に知る場合に最適な方法です。

・順位回答型

例えば「以下の選択肢から好きと思うものを1位から3位まで選んでください」のような、選択肢に順位をつけてもらう回答形式のことです。回答者の優先順位や重視する順位を明らかにしたい場合に最適な方法です。

・自由記述型(フリーアンサー)

回答者に文章や単語などを自由に記述してもらう方法のことです。選択式よりも具体的な意見やデータを得ることが可能で、自社が想定していなかった情報を得る可能性があります。

回答方法は他にもありますが、基本的には質問の内容や集めたいデータの性質によって使い分けるべきです。

しかし記述式が多すぎると回答の質が落ちたり、ユーザーが離れる原因に繋がるので注意が必要です。

3,回答しやすい質問数・順番

質問の数は必要最小限に抑え、項目はできる限り削りましょう。

もし質問数が多いと後半になればなるほど「早く終わりたい」「面倒になってきた」など、回答者への負担が大きくなり調査結果の質や回答数に影響してしまいます。

またテーマごとに設問が続く形で、回答しやすくすることも重要です。

例として”飲食店”をテーマにしてみます。質問の順番としては、

■飲食店の場合 アンケート設計時に意識する分類と流れ

飲食店の場合、アンケート調査時に設計する質問の順番

このように少しずつ分類や範囲を狭くしていくことで、回答者も少しずつ具体的な内容に集中できるのでスムーズに回答することができます。

また「はい・いいえ」の質問やポジティブな質問など、答えやすい設問を冒頭に置くことで序盤の離脱を防ぐこともポイントの1つです。

4,バイアスを避ける質問の作り方

アンケート調査における”バイアス”とは、回答の精度を低下させたり、アンケート結果を誤解させたりする要因のことです。

バイアスが入ることで正しいデータが得られず、調査結果が歪んでしまう可能性があるので、バイアスを避ける質問作りが必要です。

まずはバイアスが発生する要因を挙げてみます。

・設問が誘導的である

例えば「大幅なコスト削減を可能にする注文や支払いのデジタル化は、飲食店にもっと導入すべきだと思うか?」のように、ほとんどの人が「はい」もしくは「そう思う」と答えるような質問はNGです。

この質問では回答者にデジタル化の重要性というのを刷り込ませているため、バイアスの発生する要因になります。

・同意を誘う質問になっている

例えば「飲食チェーンブランドのドライブスルーをもっと増やしてほしいと思いませんか?」のように、同意を誘うような質問文ではほとんどの回答者が「はい」と答えてしまうため、質の低いデータとなってしまいます。

・曖昧な記憶について質問する

例えば「このブランドを利用し始めたきっかけはなんでしたか?」のように、曖昧な過去の記憶を用いた回答は正確さの欠けた結果を生んでしまいます。

・論点が複数含まれる質問内容にしない

例えば「居酒屋を探すときは、コスパが良くてメニューの種類が豊富な点を重視しますか?」

のように、「コスパの良さ」と「メニューの種類の豊富さ」の2つを問うような質問は、どちらの焦点に反応しているのか分からず、求めているデータとズレが生じてしまいます。

アンケート調査ツールおすすめ3選

ここからはアンケート調査を行う上で、「回答率を高めたい」「より高度な分析を行いたい」といった場合にオススメできるアンケートツールをご紹介します。

1,Cuenote Survey(ユミルリンク株式会社)

直感的な操作画面で誰でも簡単にwebアンケートや問い合わせフォームを作成できるクラウド型(ASP・SaaS)サービスです。

スマートフォンにも対応しており、顧客満足度調査や分岐機能を活用した研修の理解度テストをはじめとする様々なアンケート調査が実施可能です。

リアルタイムで回答・集計結果が確認でき、メールでの通知や管理画面上での一覧表示、集計データのCSVデータダウンロードにも対応しています。

また日本語の他にも、英語、韓国語、中国語(簡体・繁体)での表示も可能で、セキュリティ対策も万全のサービスです。


ユミルリンク株式会社より 「Cuenote Survey」


2.Tayori(株式会社PR TIMES)

「フォーム・受信箱」「FAQ」「アンケート」「有人チャット」「AIチャットボット」の5つの機能を提供するカスタマーサポートツールです。

初期費用は無料で、導入したその日から顧客対応や社内業務に活用できるほど簡単に使えるのが特徴です。

顧客満足度、イベント、マーケティングなど、豊富なテンプレートから用途に合わせて利用方法を選べるので、最低限のコストかつ理想のアンケート調査の作成を実現しています。


株式会社PR TIMESより 「Tayori」


3.Knowns 消費者リサーチ(ノウンズ株式会社)

サービスの特徴としては、認知や購入経験の有無など自社の課題に応じてすぐにターゲットが分かる機能や、行動習慣や購買思考など、顧客理解から競合の状況までを簡単に知れるダッシュボードが豊富に揃っています。

またブランド購入者の好きなタレントやアニメなどの相関を幅広く把握することも容易で、「ターゲットの認知×好感」の相関なども知ることができます。

そしてリサーチ分析業務の時間短縮を実現し、低コストかつ簡単にビッグデータを分析できる魅力があります。


ノウンズ株式会社より「Knowns 消費者リサーチ」


アンケート回答率を高めるためのポイント

アンケート調査においてより正確なデータを求めるのであれば、回答率を高めるのも重要になってきます。

どれだけ質の良いアンケート調査が完成しても、回答率が低ければ正確性の低いデータとなるため、あまり意味がありません。

回答率を少しでも高めるために、アンケート調査の配信方法や回答時間を工夫する必要があります。

ターゲットに合わせた配信方法

より高い回答率を得るため、調査目的や調査対象に合わせた適切な配信方法を選択します。

配信方法としてよく取り上げられるのがSNSです。主にLINEやX(旧Twitter)、Instagramなどが挙げられます。

SNSは頻繁に利用するユーザーが多く、目に留まりやすいという利点から高い回答率が期待できます。また若者の利用率が高いことも特徴の1つです。

他にもWebサイトやメール、SMSなどで配信する方法もあるので、ターゲットごとに柔軟に対応しましょう。

またスマホやタブレットからの回答も容易にすることで、さらに高い回答率を目指すことができます。

アンケート回答時間の短縮

回答率を高めるコツとして回答時間を短くすることも1つです。

先程も軽く触れましたが質問数が多かったり、記述式を増やすなど、回答に時間がかかってしまうアンケート調査を作成すると、途中で飽きて離脱する回答者が、回答時間が長いほど増えていきます。

また回答に必要な時間の目安を明示しておくのもポイントです。回答にどの程度の時間を要するのかを冒頭で明示しておくことで、途中で回答を辞める人も大幅に減ります。

BtoB,BtoCアンケート調査例

【BtoB】広告代理店の場合

広告代理店の場合、アンケート調査を実施することで広告の企画アイデアを発見するきっかけを作ることができます。

例えば「認知度を上げたい」「利用者を増やしたい」などのニーズがあれば、企画・制作のアイデアを生み出すヒントを得ることができます。

そこで今回はKnowns 消費者リサーチの”カジュアルリサーチ”というサービスと併せて調査例を紹介していきます。


参考:カジュアルリサーチとは


今回のクライアントの情報と相談内容は以下の通りです。

・クライアント:SNSやインフルエンサーマーケティングを展開し、グローバルに顧客を獲得しているアパレルブランド

・依頼内容:web広告動画の施策を打ちたい

さらに依頼内容を掘り下げるとクライアントのニーズは以下の点がありました。

・市場規模の大きい日本ではプレゼンスが弱く、認知度向上が必要と感じていた。

・なるべく早く打ち手を考えたく、プロである広告代理店に相談した。

またこれを踏まえた代理店担当者としての悩みとしては

・短い期間で企画プレゼンを用意する必要がある。

・企画費用が少なく、あまりお金をかけられない。

・クライアントから提供されたデータが内容的に不十分だった。

といったものがありました。

こんな時に前述したカジュアルリサーチを利用することで
<早く・リーズナブルに・必要なデータ>を収集することができます。

■カジュアルリサーチの要件例

カジュアルリサーチを実施する際の要件を示した図

上図のように「意図・目的」「設問内容」「配信条件・設問数」などを設定し、今回収集したいデータを集めるためにアンケート調査・カジュアルリサーチを実施します。

■若年層がブランドに対するイメージ

若年層がブランドに対するイメージをグラフにした図

回収したデータからブランドに対するイメージをみてみると、華やか・大人~若いといったイメージが多くもたれていることがわかりました。広告表現につながるヒントになりそうです。

他にも購買意向率やブランド選好理由など多くのポイントを発見し、より良いweb広告動画制作へと繋がりました。

より具体的なデータや分析内容をご紹介していますので、気になる場合はぜひ合わせてこちらの資料もご覧ください。


【サービス活用事例】セルフリサーチで動画広告の企画ヒントを見つける方法


【BtoC】菓子メーカーの場合

ここではメーカーの中でも菓子業界やその業界の企業ブランドがアンケート調査をするケースについて紹介します。

アンケート調査を実施することでメーカーが自社ブランドについて、消費者がどういった点を重要視しているかが見えてきます。

もちろん調査目的の明確化や調査設計の質が低ければ、調査の意味がなくなるので注意が必要です。

アンケート調査で収集した結果、菓子業界に対する主要KPIの相関を年代別に分析し、企業ブランド別に優先度の高いイメージを導出することで企業ブランドにとってなにが重要かを、視覚的に判断できるようになります。

例えば菓子Aの現在購入層の特徴を性別・年代別に分類し、分類別に分けた購入者の主な性格を導出することで、菓子Aブランドでなにが注目されやすいかが把握できます。

■年代別ブランドの認知分布・イメージ相関分析例

年代別ブランドの認知分布図とブランドに対するイメージ相関分析パターンの図

Knowns 消費者リサーチでは収集したデータをクロス分析することや親和性・重要性のあるデータをピックアップすることが容易であるため、データを見るのが苦手な人でも簡単に理解することができます。

さらに”菓子ごとの業界”に限定し調査・分析を行うと、企業・ブランド価値をより理解できることに繋がります。

他にもより具体的なデータや分析内容をご紹介していますので気になる場合は是非合わせてご覧ください。


【企業分析】食品メーカーAを軸とした菓子業界の分析サンプルレポート


アンケート調査結果の活用の流れ

データの整理とクリーニング

調査結果を分析する前に、データの整理とクリーニングを行う必要があります。アンケート調査における”クリーニング”とは、回答結果の中に回答の誤りや矛盾、正確さが疑わしいものなど不適切な回答がないか点検し、正しく修正する作業のことです。

このクリーニングをせずに進めてしまうと、不備や不適切な回答を見つけるたびに修正作業が発生し、スムーズに分析を行うことが難しくなってしまいます。

またクリーニングを行うことで、より質の高いデータを作り上げることができるのも利点の1つです。

集計とグラフ化

調査結果をよりスムーズに分析するためには集計やグラフ化など、データを見やすくすることも重要になってきます。

選択式のアンケート調査結果の集計方法は主に2つに分けられます。

1,単純集計

データの基本的な情報をまとめ、全体の傾向を把握するのに用いられる集計方法です。

2,クロス集計

複数の変数間の関係性やパターンを明示するために利用される集計方法です。

■単純集計・クロス集計例

単純集計・クロス集計のグラフ例を円グラフ、棒ブラフで示した図

単純集計はデータの全体像を把握することが可能ですが、詳細な部分までは見えてきません。そのため細部まで知るためにはクロス集計を併用する必要があります。

しかし、クロス集計では適切な変数選択が重要です。

もし不適切な組み合わせを選択すると、意味のない結果が導出されるので注意が必要です。

またグラフやチャートで可視化することによって、分析を容易にすることも重要です。

円グラフや棒グラフなど様々な形でグラフ化することができるので、目的やデータに適切なグラフを用いましょう。

データ結果の活用

先程も述べたようにアンケートの調査結果はうまく活用することで、商品やサービスの改善、顧客満足度の向上に繋げることができます。

商品やサービスの改善に繋げるには、問題点を見つけることが重要になります。

例えばサービスの顧客満足度調査の結果を分析する場合、どの点に不満が集まっているかを特定します。この問題点に対して、具体的な改善案を策定・実行し満足度向上に繋げていきます。

こういった「アンケート調査→改善・実行」を繰り返すことで、長期的に顧客満足度の向上を実現し、持続的な成長を生み出すことができます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

アンケート調査の作り方には多くのコツや注意点が存在し、柔軟に対応することで理想の調査結果を得ることができます。

またアンケート調査の作成や結果の分析をサポートするツールはたくさんあります。

作成や分析が困難な場合は利用してみるのもおすすめです。

Knowns 消費者リサーチ