ふるさと納税がいま話題に!市場分析から見るトレンドや重要ポイント


みなさんは”ふるさと納税”がいまどれほど盛り上がっているかご存知でしょうか。

「よく聞くけどあまり知らない」「知りたいけど機会がない」といった方も少なからずいるかと思います。

本記事ではそんな疑問を解決できるような記事となっています。

マーケターや事業者さんのお役に立てると嬉しいので最後まで読んでみてください。

ふるさと納税市場の紹介

ふるさと納税とは応援したい自治体を選択し、寄付による支援をすることで税金の還付や控除を受けられ、さらに特産品などの返礼品がもらえる制度のことです。

この制度は2008年から開始されており、現在では約1000万人が利用するほどいま大きな話題を集めています。

今回はそのふるさと納税市場の現状と課題、今後の市場成長に役立つヒントなどをKnowns 消費者リサーチから分析したいと思います。

ふるさと納税市場の変化と推移

まずはふるさと納税市場がなぜいま話題となっているかを、市場規模や利用者数から見てみます。

■ふるさと納税の受け入れ額・受け入れ件数の推移

全国のふるさと納税の受け入れ額と受け入れ件数の推移を表したグラフ

参考資料: 総務省 ふるさと納税に関する現況調査結果

ふるさと納税市場の規模は年々、大きな成長を遂げています。

2008年から始まったふるさと納税制度は、2013年まで大きな市場規模の変化はありませんでしたが、2014年以降は大きな飛躍を遂げています。

■ふるさと納税の控除適用者数の推移

ふるさと納税の控除適用者数の推移を表した図

参考資料: 総務省 ふるさと納税に関する現況調査結果

控除適用者数では2014年以降から増加傾向であり、新型コロナウイルス感染症の流行以降は年間100万人の増加を記録し続けています。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって将来への投資や貯蓄への意識が高まり、ふるさと納税への注目も高まったと考えられます。

また2014年から市場規模の増加傾向にある背景として、ワンストップ特例制度が開始されたことが挙げられます。

■ワンストップ特例制度のイメージ

ワンストップ特例制度を表した図

ワンストップ特例制度とは確定申告を行わずに、必要な書類を自治体に提出するだけで手続きを完了することができる制度のことです。

確定申告が不要になったことで手軽に制度を利用できるようになったことが規模拡大の大きな要因となっています。

データから見るふるさと納税

ここからはKnowns 消費者リサーチのデータを基に、ふるさと納税についてご紹介します。

まずはふるさと納税を利用している人の特徴を探るべく、現在購入層に限定して分析します。

デモグラフィック

■ふるさと納税 デモグラフィック分析

※絞り込み条件:現在購入層

ふるさと納税を現在利用している人は男性の方が多く、45〜49歳を中心に30代40代が多い割合となっています。

■ふるさと納税 デモグラフィック分析

※絞り込み条件:現在購入層

また大学卒業既婚の割合が高いことも特徴の1つになっています。

ふるさと納税は基本的に年収や家庭の扶養人数が多いほど、控除上限額が増加します。

例としていくつかのパターンをご紹介します。

■ふるさと納税 控除額試算イメージ

ふるさと納税の控除額を試算した表

参考資料: さとふる公式HP 控除上限額シミュレーター

このように収入や家庭によって控除上限額は大きく異なるため、大学卒業や既婚の回答が多くなっていると推測されます。

サイコグラフィック

■ふるさと納税 サイコグラフィック分析

※絞り込み条件:現在購入層

現在購入者は倹約家コツコツ貯蓄タイプの人が多いようです。

ふるさと納税制度の魅力でもある住民控除を通じた節税や、実用的な返礼品を選ぶこともできる点が大きな要因となっているようです。

他にも人情派おりこうさんの割合も高く、自治体への寄付による地域貢献を目的に制度を利用している人も多くいることが分かります。

■ふるさと納税 サイコグラフィック分析

※絞り込み条件:現在購入層

またワーカホリックも非常に高く、仕事への熱意や意欲が高い人が多い結果となっています。

さらにリターン期待型消費の割合が多いことから、制度を利用することで大きなリターンを得られると感じている人が多いと考えられます。

イメージ分析

■ふるさと納税 イメージ分析

※絞り込み条件:現在購入層

イメージ分析では利便・合理性が一番高い結果となりました。

考えられる要因として、ワンストップ特例制度が大きく関係しているのではないでしょうか。

確定申告を行わずに住民税控除を受けられることから、簡単に制度を利用できることが利便性の良さというイメージに繋がっていると推測されます。

また返礼品の充実、節税や地域貢献など多くのメリットがあることも大きな要因と考えられます。

さらに期待感・ワクワクチャレンジ・応援などから、地域貢献や返礼品への期待などが感じられます。

ポジショニング分析

認知率×好感率マップ

■ふるさと納税 ポジショニング分析 認知率×好感率

ポジショニング分析では認知率・好感率ともにさとふるが一位となりました。

認知率74.5%、好感率24.8%ということでふるさと納税市場を代表するブランドといっても過言ではないです。

認知率が高い要因としては、積極的な広告戦略が考えられます。

さとふるのCMを見たことがある人は、「さとふるのキャストと言えば…」と想像すると間違いなく東京03の方々が頭に浮かぶと思います。


参考:さとふるCMギャラリー


実際にさとふるのCMにはすべて東京03の方々が出演しており、大きな印象となっています。

■東京03 イメージ分析

※絞り込み条件:好感あり

東京03に好感がある人は、「面白い」「演技力がある」「センスが良い」などのイメージを持っており、CMにも大きなインパクトを与えているのではないでしょうか。

わたしもCMをいくつか拝見しましたが、宣伝しつつも笑いを誘うようなネタが多く、とても好印象でした。

せっかくなのでさとふるのCMを1つピックアップして簡単に分析してみます。

■さとふる CM分析 「ぶどうと桃」篇

現在公開されているCMの中で最も好感率の高かったものは「ぶどうと桃」篇となっており、75.0%を記録しています。

また「CMを見たことがありますか?」という質問に対しては、「見たことがある・見たような気がする」が約67%を記録するなど、多くの人々の印象に残る作品となっているようです。

気になる方はぜひ以下のリンクからご覧ください!


参考:「ぶどうと桃」篇


イメージポジショニングマップ

■ふるさと納税 イメージポジショニングMAP 利便・合理性×期待感・ワクワク

ふるさと納税のイメージ分析で最も強いイメージだった利便・合理性は「楽天ふるさと納税」がもっとも高い数値となりました。

また上位の項目であった期待感・ワクワクは「さとふる」が最も高い数値でした。

楽天ふるさと納税に対する「利便・合理性」のイメージが強いのは、楽天経済圏が大きく関係していると考えられます。

楽天経済圏とは生活の様々なシーンを楽天グループのサービスの利用に寄せることで、楽天ポイントを効率的に貯めたり、運用したりするサイクルのことです。


参考:楽天経済圏とは


つまり楽天ふるさと納税を利用することで、寄付金額×楽天会員ランクサービスに応じて楽天ポイントが付与されます。

付与されたポイントは別の楽天グループのサービスで活用できるため、節約おトクを重視する人にはかなり人気のブランドとなっています。 

次にふるさと納税を扱うブランドを1つピックアップして分析してみます。

今回は認知率・好感率の最も高かった「さとふる」に焦点を当てていきます。

さとふるのブランド分析

さとふるとは、2014年7月に設立したソフトバンクグループが運営するふるさと納税ポータルサイトです。
ふるさと納税ポータルサイトの特徴は、各自治体の返礼品がサイトに集約されていることです。
つまり各自治体のwebサイトを1つ1つ回って返礼品や申し込み手続きを調べる手間を省くことができます。
また5つの自治体から始まったさとふるは今年で10周年を迎え、現在では1379自治体(2024年8月末時点)と連携して地域活性化に大きく貢献しており、今後も成長が期待できるブランドです。


イメージ分析
まずはさとふるの利用者がどんなブランドイメージをもって利用しているのか探るべく、現在購入層に限定して分析してみます。

■さとふる イメージ分析



※絞り込み条件:現在購入層

さとふるに対する一番のイメージは利便・合理性でした。
そして平均を大きく上回ったのは期待感・ワクワク家庭的・安堵感となりました。
ふるさと納税全体のイメージのランキングに大きな違いはありませんが、ふるさと納税全体の「利便・合理性」は40%、「期待感・ワクワク」は32.8%だったため、数値で見ると全体的に低い結果となっています。

7 Journey分析(ファネル分析)

■さとふる 7 Journey分析




■さとふる ファネル分析




次に7 Journey分析(ファネル分析)行った結果、大きな特徴を発見しました。
それはチャンスきっかけ待ちの割合が非常に高いということです。
認知率はふるさと納税ブランドの中でも非常に高い数値となっていましたが、現在利用しているのは8.9%にとどまっていることが分かりました。
ファネル分析を見ても分かるように、「認知から現在購入」への転換率は11.9%、「購入意向から現在購入」への転換率は18.7%と高い数値とは言えません。

■ふるさと納税 ポジショニングMAP 潜在顧客層×現在購入層



また他のブランドも決して現在購入層の割合が高いわけではないため、この転換率を改善すれば、ブランド成長や市場の成長に繋がることも間違いありません。
ですのでこの転換率を改善するヒントを見つけるべく、さらに深堀りしていきたいと思います。

マーケティングの可能性を探る
先ほどもご紹介した7Journey分析やファネル分析で、潜在顧客層が圧倒的に多いことが分かりました。
ここからは潜在顧客層を購入者へと繋げるべく、現在購入層と比較し、ターゲットの特徴や施策のヒントなどを見つけていこうと思います。

デモグラフィック、サイコグラフィック

■さとふる デモグラフィック分析

※絞り込み条件:現在購入層

■さとふる デモグラフィック分析

※絞り込み条件:潜在顧客層

それぞれの特徴として挙げられるのは、現在購入層は男性の割合が非常に高く、45〜49歳を中心に30代40代が多く占めています。

対して潜在顧客層は女性の割合がやや高く、45〜49歳を中心に40代から60代が多く占めています。

■さとふる デモグラフィック分析 学歴・婚姻有無

※絞り込み条件:現在購入層

■さとふる デモグラフィック分析 学歴・婚姻有無

※絞り込み条件:潜在顧客層

他にも大きな特徴として注目するべきは、最終学歴と婚姻です。

現在購入層は大学卒業既婚の割合が高いのに対して、

潜在顧客層は高校卒業が多く、既婚の割合も高くはありません。

次にサイコグラフィックです。ここでは潜在顧客層を主観にして、特徴のあった結果をピックアップしていきます。

■さとふる サイコグラフィック分析

※絞り込み条件:潜在顧客層

■さとふる サイコグラフィック分析

※絞り込み条件:現在購入層

潜在顧客層はインドア派対人ストレス過多現状満足が多いのに対して、

現在購入層はアウトドア派が多く、人情派出世優先の割合が高いため、

両者では行動嗜好、他者意識、キャリア志向に大きな違いがあると言えます。

■さとふる サイコグラフィック分析

※絞り込み条件:潜在顧客層

■さとふる サイコグラフィック分析

※絞り込み条件:現在購入層

また潜在顧客層はお得新品消費が少なく、お得感重視消費が多いことも特徴といえるのではないでしょうか。

どんなSNSを使っている?

次に両者のSNSの利用状況を見てみます。

■さとふる SNS利用状況

※絞り込み条件:現在購買・利用・観戦あり

■さとふる SNS利用状況

※絞り込み条件:購買・利用・観戦経験なし

SNSの利用率はさとふるの購買・利用経験がある方が高い結果でした。

また最も閲覧しているSNSを見ると、現在購買・利用経験ありはLINEInstagramが多いのに対して、購買・利用経験なしはTwitterやSNS未利用が多いことが分かります。

■さとふる SNS利用状況

※絞り込み条件:購買・利用・観戦経験なし

■さとふる SNS利用状況

※絞り込み条件:現在購買・利用・観戦あり

また各SNSの利用有無を見てみると、

購買・利用経験なしはどのSNSにおいても閲覧だけしている、利用していないと回答する人が多く、

現在購買・利用経験ありは閲覧しているに加えて投稿もしている人の割合も非常に高い傾向にありました。

まとめ

今回は”ふるさと納税”について市場分析からブランド分析まで幅広くまとめてみました。

ふるさと納税市場は規模が大きくなる中で、ブランド間の競争も激しさを増しています。

本記事ではさとふるについて分析してみましたが、ブランドが成長する可能性は大いに秘めていることが分かりました。

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