シャンプー業界の市場分析をしてみた
みなさんシャンプーはどのブランドを一番利用していますか?
最近ドラッグストアだけでもたくさんの種類のヘアケアブランドが並んでおり、価格・香り・悩みなど色んな理由で購入している消費者も増えています。
そんなバラエティに富んでいるシャンプー業界はいまどんなブランドが注目されているのか、市場全体からブランドをピックアップしてKnowns 消費者リサーチで分析していきます。
マーケターさんやメーカーさんのお役に立てると嬉しいので最後まで読んでみてください。
シャンプー業界紹介
シャンプー市場は単なるヘアケア領域にとどまらず、美容やライフスタイル全体に影響を与える存在へと進化しています。
特に「高価格帯」のシャンプー・コンディショナー市場は、機能面、ブランドストーリー、自然由来原料、サステナビリティなど、様々な価値訴求が求められる状況となっています。
消費者は「髪を洗う」以上の価値 -例えば髪質改善、エシカルな購買行動、ブランド体験、嗜好性に合わせた香り・テクスチャーを求めており、その傾向は多くのデータからも読み取ることができます。
本記事では、市場データから得られたポジショニングマップを活用し、ブランド別の市場内ポジションを分析。
認知度・好感度・購入経験、さらにはブランドの持つイメージ特性(話題性・ワクワク感、定番感・カッコ良さ)など、多角的に切り込むことで、最新のシャンプー業界動向を明らかにしていきます。
ポジショニングマップ
以下では、各種ポジショニングマップを通じて、高価格帯シャンプーのブランドがどのように消費者から位置付けられているかを分析します。
認知度ポジショニングマップ
好感率×認知率
■好感率×認知率のポジショニングマップ シャンプー・コンディショナー

このマップは、縦軸を「認知度」、横軸を「好感率」とし、各ブランドがどの程度一般消費者に知られ、かつ好まれているかを示しています。
右上象限(高認知度・高好感率):「ジョンマスターオーガニック(john masters organics)」や「ロレアル ケラスターゼ(kerastase)」、そして「ラサーナ(La Sana)」などのブランドは、市場で確固たるブランド力と肯定的なイメージを確立しています。これらのブランドは既に高い認知度を背景に安定したファンベースを持ち、マーケティング上の大きなアドバンテージがあると仮定できそうです。
購入経験者層×ロイヤル層
■ロイヤル層×購入経験層のポジショニングマップ シャンプー・コンディショナー

こちらのマップは、単純な認知や好感度から一歩踏み込み、実際の「購入経験」と「ロイヤルティ」を軸に分析しています。
右上象限(高購入経験・高ロイヤルティ):「ラサーナ(La Sana)」や「ケラスターゼ(kerastase)」、さらには「ジョンマスターオーガニック」などは、リピート顧客が多く、ブランドとしての地位が確立していると言えます。購入後の満足度が高く、リピート購入・継続的利用をする顧客が多いブランドは、顧客満足度・ブランド信頼性に優れた商品設計・ブランド価値提供ができていると考えられます。
イメージポジショニングマップ
期待感・ワクワク×話題の・流行っている
■期待感・ワクワク×話題の・流行っているのイメージポジショニングマップ

このマップは消費者がブランドに抱く「感性」をマッピングしております。横軸の「期待感・ワクワク」は、商品使用前から感じる前向きな予測(香りや使用感の高級感、成分への期待など)を示し、縦軸の「話題性・トレンド感」はSNSや口コミでの注目度、メディア露出、業界の関心などを表します。
右上象限(高ワクワク・高話題性):トレンドに敏感で、使う前から「一度試してみたい」と思わせるブランドが集中します。「ウカ(uka)」や「インナ―センス(Innersense)」、「ジョンマスターオーガニック」などは新しいライフスタイル提案や自然派成分訴求などで消費者の好奇心をくすぐり、市場での話題性を獲得しています。
ベーシック・定番的×かっこいい・イケてる
■ベーシック・定番的×かっこいい・イケてるのイメージポジショニングマップ

最後のマップは、ブランドのイメージを「定番感」と「スタイリッシュさ」の2軸で捉えます。
右上象限(定番+かっこいい):機能性・品質の高さが広く認知され定番商品となっている、なおかつ「洗練されていてクール」という印象を与えるブランドが含まれます。こうしたブランドは高価格帯シャンプーとしてのブランドステータスを確立しているため、消費者は「外せない定番」として購入を続け、同時に「持っていること自体がステータス」と感じられる傾向があります。
ジョンマスターオーガニックのブランド認知度
ここまでは、シャンプー業界とそのなかのブランドのイメージについてみてきました。ここからは、ひとつのブランドについてふかぼってみましょう。
今回は、これまでの分析で複数回出てきた「ジョンマスターオーガニック」について調査の上調査を進めてみたいと思います。
ブランド認知調査
■ジョンマスターオーガニックの7 Journey

ジョンマスターオーガニックは、自然由来・オーガニック志向のヘアケアブランドとして、近年市場で着実に存在感を高めています。認知度データによると、全体認知率はまだ大きくはないものの、特定の顧客層で「名前は聞いたことがある」という層が多いと考えられます。
この認知分布を分解してみると、84.8%の消費者が同ブランドを「未認知」の状態に留まっています。一方、すでに購入経験がある層の中には、一定のロイヤルユーザーが育ちつつあることが確認できます。まだマス層への広範な浸透度は低いものの、コアファン層が形成され、そのロイヤルユーザーの割合は決して小さくありません。
ブランドロイヤルティ調査
■ジョンマスターオーガニックの7 JourneyTable

Knowns 消費者リサーチの7Journey Tableをみてみると、「積極ロイヤル」および「消極ロイヤル」と呼ばれる方には、25~39歳の層に多く、一度他のブランドを試したけど、このジョンマスターオーガニックに対して好感を持っている層が多いということの現れです。
この世代へのアプローチは工夫ができそうですね!
価格や入手性だけでなく、ブランド理念や有機成分、使用感といったプロダクトエクスペリエンスが強く作用している可能性が高いでしょう。
リピート購入する顧客は価格メリットや知名度だけでなく、「髪質改善」や「香り」「ブランドがもつストーリー」など感性・品質面での満足度が要因となっていると考えられます。
ブランドイメージを深掘り
どんなイメージを持っていて、そのイメージはどう変わっているのか?
■ジョンマスターオーガニックのイメージ時系列分析

ブランドイメージのトレンドを示すデータを見ると、ジョンマスターオーガニックに対しては、初期段階で「安心・安全」や「リラックス・リフレッシュ」、「期待感・ワクワク」が比較的高い割合を占めていました。
これは、オーガニックコスメや自然派志向が高まる中で、「髪と環境への優しさ」や「使う前からの楽しみ・期待」をイメージするブランドとして認知されていたことを意味します。
しかし、時系列の変化を追うと、期間を経るごとに「上品・優雅」といったキーワードが増減を繰り返しており、市場環境やユーザーの関心軸の変化に応じてブランドに求められる価値観も揺らぎを見せています。
どんな言葉を使ってブランドを表現しているのか?
■ジョンマスターオーガニックの消費者の声

顧客から寄せられる生の声には、「ハンドソープの香りがよくリピートしている」、「オーガニックなので肌にも髪にも優しい」といった意見が散見されます。
これらの表現からは、「香りの良さ」、「自然派」、「繰り返し使いたいという満足感」がキーワードとして浮かび上がります。
また「有名でおしゃれなコスメブランド」というイメージも含まれ、単なる機能性や成分以外にも、「ブランドそのものがスタイリッシュであること」が購入モチベーションに作用していると考えられます。
マーケの可能性を探る
そのブランドを買ったことがある人は、他にどんな商品を買っているのか?
■ジョンマスターオーガニックの相関分析 ロイヤル層×現在購入ブランド×スキンケア

購入経験者が他に手を伸ばしているブランド・商品を見てみると、ザ・ボディショップやハウスオブローゼ、セタフィルなど、自然派・スキンケア全般で評判の高いブランドが上位に挙がっています。
ジョンマスターオーガニックの購入者層が、単にヘアケアにとどまらず、ボディケアやスキンケア全般でナチュラル志向のアイテムを求めていることがわかるデータです。
この点から、ブランド側としては自社商品同士のクロスセルだけでなく、自然派・オーガニックコスメ市場全体を見据えたブランド連携や、ユーザーのライフスタイル提案が効果的かもしれません。
たとえば、同じオーガニック系スキンケアブランドとの共同キャンペーンや、ライフスタイルメディア・インフルエンサーとのコラボを通じて「トータルビューティー」体験を訴求することで、ブランドロイヤルティ拡大が期待できます。
ユーザーは、どんなSNSを見ている?
■ジョンマスターオーガニックのSNS利用状況 購入経験層

ジョンマスターオーガニックの購入経験者は、Instagramの利用者が平均よりも200%高いことがデータでわかります。
SNSのなかでもPinterest、YouTubeなど「ビジュアル・ストーリー性」が重視されるプラットフォームに注目しやすい傾向がありそうです。
商品の使用感やテクスチャーを直感的に訴求できるショート動画コンテンツや、美しい世界観を写真で演出するブランド公式Instagramなどは、引き続きブランドイメージ醸成に有効となる可能性があります。
さらに、使用成分やサステナビリティに関するストーリーを伝えるブログやインスタライブ、インフルエンサーによるレビュー動画などがあれば、ブランドの考え方を分かりやすく発信しファン獲得につながることが考えられます。
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シャンプー業界の市場分析と、「ジョンマスターオーガニック」について認知度〜イメージ調査まで見てきました。
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Knowns 消費者リサーチ