顧客インサイト分析入門|調査から活用までをわかりやすく解説


顧客に対して商品やサービスを提供するには、行動や心理状況を把握しておくことが大切です。

誰がいつどのように商品を必要とするのかを理解すれば、購買意欲を刺激するマーケティング戦略を考えられるようになります。

そこで潜在的なニーズを分析するために、顧客インサイトを分析する手法があります。

しかし、マーケティング担当者の方のなかには「顧客インサイトがどのようなものかわからない」という悩みもあるでしょう。

当記事では、顧客インサイトの詳細から調査・分析方法、成功事例まで詳しく解説します。

顧客インサイトの理解を深めながらマーケティング戦略に活かせるので、ぜひ参考にご覧ください。

顧客インサイトとは

顧客インサイトとは、顧客の潜在的な本音や直感を指しています。

インサイトは洞察や発見などの意味があり、マーケティングでは顧客の本質を見抜くときに使われています。

■顧客インサイトと意識の深さ

顧客インサイトと意識の深さを示した図

例えば女性がクレンジングや化粧水、乳液などの日用品を購入する場合、普段から使い慣れたものを選ぶことが多いです。

顧客に商品を選んだ理由を聞くと、大半は「使い慣れているから」、「品質が良いから」といった回答が返ってきます。

このような返答の背景には顧客が自覚していないインサイトが存在するため、分析を行うことで購買意欲を刺激するマーケティング活用を実施できるようになるのです。

顧客インサイトとニーズの違い

顧客インサイトと類似する意味として、ニーズがあります。

ニーズとは、顧客の欲求や需要、要求などの意味です。

ニーズには「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の2種類があり、以下のような違いがあります。

  • 顕在ニーズ:顧客が自覚している欲求
  • 潜在ニーズ:顧客が自覚していない欲求

顕在ニーズは、すでに顧客が求める商品・サービスを自覚している状態で購入を検討している状態です。

例えばドライヤーの購入を考えていて「多機能な製品が欲しい」と自覚している状態は顕在ニーズとなります。

一方潜在ニーズは商品・サービスに対して欲求はありますが、顧客が悩みに気付いていない状態です。

顧客に対して質問や提案を行うことで、自覚していない欲求を見つけ出します。

顧客インサイトは潜在ニーズと似ていますが、さらに奥の深層心理に訴求する点に違いがあります。

顧客の潜在的な悩みを見つけ、顧客インサイトによって製品の開発やマーケティング活動を進めることで求める効果を得られるようになるでしょう。

顧客インサイトを活用するメリット

顧客インサイトを活用すれば、企業によって多くのメリットがあります。

顧客の潜在的な本音や直感を把握することで、商品やサービスを最適化しながら求められるものを提供できるようになります。

また、顧客の購買意欲を刺激するマーケティング活動が実施できるようになり、集客力の拡大を期待できる点も大きなメリットです。

結果として自社の売上拡大や競争力の強化につながるため、顧客インサイトの活用はメリットとなるでしょう。

顧客インサイトが必要な3つの理由

顧客インサイトが必要な理由として、以下のような3点が挙げられます。

  1. 競合との差別化を図るため
  2. 顧客の購入根拠を理解するため
  3. 市場の認知度向上を目指すため

それでは順番に説明します。

1.競合との差別化を図るため

現代では多くの企業が商品・サービスを展開しているため、市場には類似する製品が幅広くあります。

顧客インサイトを分析することで競合と差別化できるポイントを見つけられるようになり、商品やサービスを改善しながら提供できます。

市場において独自のポジションを確立できるようになれば、顧客に認められたブランドとして安定した売上を得られるようになるでしょう。

2.顧客の購入根拠を理解するため

顧客が商品やサービスを購入するには、潜在的なインサイトが大きく関係しています。

顕在ニーズのように顧客が自覚している欲求は企業がアプローチをかけやすいですが、競合他社との価格競争に巻き込まれる可能性が高いです。

顧客インサイトから無意識化で選ばれる購入根拠を把握すれば、競合他社との差別化を図りながら最適なアプローチをかけられるようになるでしょう。

3.市場の認知度向上を目指すため

顧客インサイトをおさえながら商品・サービスを提供すれば、市場の認知度向上につながります。

顧客の潜在的な本音や直感にアプローチすることで、口コミが広がり企業にとってプラス効果を得られるようになります。

特定の市場において自社ブランド名が出る確率を「純粋想起率」と呼び、顧客インサイトを意識すれば純粋想起率の向上によって長期的な売上拡大を期待できるでしょう。

顧客インサイトを調査・分析する方法

顧客インサイトを調査・分析するには、幅広い方法があります。

自社が取り扱う商材の特徴を考慮することで、最適な方法を実施できるようになります。

データ収集

はじめに、顧客の意見を集めるために様々な媒体からデータ収集を行います。

■顧客インサイトのデータ収集方法例

顧客インサイトのデータ収集例を示した図

代表的なデータ収集の手法として、以下のようなものがあります。

  • インタビュー
  • SNS
  • 口コミサイト

それでは詳しく解説します。

インタビュー

顧客にインタビューを実施すれば、自社が事前に用意した設問に回答してもらうことで購買行動の背景を把握できます。

インタビューは複数人に実施する「グループインタビュー」や個人に実施する「デプスインタビュー」などがあり、シーンによって必要な回答を得られます。

ただし、回答者によっては製品を選んだ理由が「なんとなく」や「友人のおすすめ」といった曖昧な回答になる恐れがあるため、いくつかの仮説を立てておくことが大切です。

インタビューから購買意欲を掻き立てられた理由についてヒアリングできれば、有益なデータを得られるようになるでしょう。

SNS

XやFacebook、InstagramなどのSNSにある消費者の意見から、顧客インサイトのデータ収集を行う方法もあります。

SNSの情報発信が身近になっている現代では、商品やサービスについて投稿されていることも多いです。

各SNSから投稿されている内容から共通点を見つければ、企業側が予想していなかった意見を得られます。

ただし、SNSの情報は不要なものも多いため、顧客インサイトのデータ収集を行うときは抽出やクリーニングが必要になるでしょう。

口コミサイト

商品やサービスの意見を効率良く集めたいときは、口コミサイトの活用もおすすめです。

口コミサイトでは特定の製品について消費者の意見が集まっているため、ポジティブ・ネガティブなデータを収集できます。

消費者の購買意欲を掻き立てたポイントについての口コミが見つかることもあるので、アプローチ方法の改善に役立ちます。

また、ネガティブな意見から製品の改善点についても見つかるため、品質向上も可能です。

注意点として、口コミサイトの意見は実際に購入した人以外の情報もあることから、データ収集を行うときは整理が必要になるでしょう。

データ分析

続いて、集めたデータをもとに分析を行います。

■顧客インサイトのデータ分析ポイント

顧客インサイトをデータ分析する際のポイント6つを示した図

データ分析では、以下のような点について分析していきます。

  • 人間の欲求
  • 手段と目的
  • 原因と現象
  • 矛盾
  • ポジティブ・ネガティブ
  • フレームワーク

それでは詳しく説明します。

人間の欲求

人間の根本的な欲求に対して、商品やサービスをアプローチできているかデータ分析することが大切です。

美味しい物を食べたい、おしゃれになりたい、快適に過ごしたいといった欲求に応えられる製品であるか整理することで、最適なアプローチを考えられるようになります。

例えばデザイナーやプログラマーが自身のステータスとなるアイテムを欲しいと思った場合、Apple製品のiMacやMacBookを購入する傾向にあります。

集めたデータから自社商品・サービスにマッチした欲求を分析すれば、最適なアプローチ方法を考えられるようになるでしょう。

手段と目的

顧客インサイトを分析するには、顧客がどのような手段と目的を持って商品やサービスを購入するのか探すことも大切です。

例えば予算が限られていてコスメを購入したいと考えている女性は「安いコスメを買いたい」という裏側に「肌を綺麗に見せたい」という目的があります。

顧客が製品を購入するまでの手段と目的をデータ分析すれば、効果的なマーケティング戦略を実施できるようになります。

原因と現象

自社商品・サービスを顧客が購入しなかった場合、原因と現象についてデータ分析が必要です。

例えば製品に関するインタビューから「商品の価格が高い」ことから購入を断念した理由がわかった場合、こちらは現象となります。

顧客インサイトは現象が起きた原因を特定することで、潜在的な本質を見抜けるようになります。

商品の価格が高い理由には、料金表の見せ方や説明の不十分などが原因である可能性が高いです。

現象が起きた原因を特定すれば、顧客が気づかない視点からアプローチをかけられるようになるでしょう。

矛盾

顧客の行動や発言のデータ収集後、内容から矛盾を見つけることで本当の改善点を見つけられます。

顧客からの意見が多いからといって、製品を要望通りに改善しても十分な効果は得られません。

例えば飲食店で「カロリーをおさえたメニューが欲しい」という意見があったとしても、消費者は物足りなさを感じて購入に至らないケースもあります。

顧客の行動や発言から矛盾点を見つければ、本当に求めているニーズを見つけられるようになるでしょう。

ポジティブ・ネガティブ

商品やサービスには、いずれもポジティブやネガティブな要素が少なからず含まれています。

例えばハンバーガーの商品はジューシーで美味しいというポジティブな要素がありながら、高カロリーで太りやすいというネガティブな要素も存在します。

ポジティブとネガティブな要素をどちらも調査することで、どのように製品を改善していけばいいのか明確になっていくでしょう。

フレームワーク

フレームワークとは、ビジネスで物事を考える上での枠組みや骨子のことです。

顧客インサイトを考えるために活用できるフレームワークは多く、顧客の感情や体験の流れを可視化できます。

フレームワークを活用すれば課題や現状を俯瞰して見つけることができ、マーケティング活用に役立ちます。

顧客インサイトの特定

顧客インサイトに関するデータ分析を完了後、顧客の行動や発言に至った動機や原因を特定していきます。

顧客が行動を起こすには、自身が認識できていない本音や直感が存在します。

顧客の本音を分析結果から見つけることで、顧客インサイトを特定可能です。

顧客インサイトの仮説を構築後、調査や分析を行えば正しいかどうかを判断できるようになるでしょう。

顧客インサイト分析に活用できるフレームワーク

顧客インサイトの分析に活用できるフレームワークとして、以下のようなものがあります。

■顧客インサイト分析で活用できるフレームワーク例

顧客インサイト分析で活用できるフレームワークの例を示した図
  • カスタマージャーニーマップ
  • ペルソナ設定
  • 共感マップ

それでは詳しく解説します。

カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップとは、顧客が商品やサービスを認知してから購入するまでのプロセスを時系列でまとめた図です。

顧客の購買行動や体験を把握できるため、状況に合わせて求められる状況をおさえられます。

カスタマージャーニーマップの横軸には認知や理解、検討、商談、縦軸には顧客心理・顧客行動、タッチポイント、課題・要望などを設定します。

顧客目線で物事を考えたいときは、カスタマージャーニーマップを活用しましょう。

ペルソナ設定

ペルソナとは、自社商品やサービスの典型的なユーザーを体現する仮想的な人物像を指します。

年齢や性別、家族構成、職業、趣味、地域など実際に存在するような人物像を設定することで、効果的なマーケティング戦略を考えられるようになります。

注意点として、ペルソナ設定は自社にとって都合が良いかたちにすることはNGです。

もしペルソナ設定に問題があると判断したときは、定期的に更新するようにしておきましょう。

共感マップ

共感マップとは顧客を取り巻く環境や行動、関心などを可視化した図です。

共感マップを作成することで顧客の視点を具体的に整理して、商品・サービスの改善点やマーケティング戦略のアイデアを見つけられます。

共感マップを作成するときは対象者を設定し、感じているもの(見る、聞くなど)を要素として書き出します。

製品に関わるチームや関係者にもペルソナの詳細情報を共有するときに役立つので、顧客インサイトの分析にうまく活用しましょう。

顧客インサイトを活用する際の注意点

顧客インサイトを活用する際は、以下のような点に注意してください。

■顧客インサイトを活用する注意点

顧客インサイトを活用する際の注意点3つを示した図
  • エビデンスを示す必要がある
  • 数値・データからの可視化が難しい
  • 訴求方法によっては印象が悪くなる

分析を正しく進めるためにも、ぜひ参考にご覧ください。

エビデンスを示す必要がある

顧客インサイトをマーケティングに反映するためには、エビデンスを示す必要があります。

エビデンスとは証拠や裏付けの意味があり、顧客の潜在的な本音や直感の理由を説明することが大切です。

エビデンスに具体性がなければ、経営陣やマーケティングに関わるメンバーからの承認を得ることはできません。

しかし、顧客インサイトは顧客自身も認識できていない本音なので、エビデンスの提示が難しいです。

エビデンスを示すためには、定量的データや定性的データから納得できる理由を説明する必要があるでしょう。

数値・データからの可視化が難しい

顧客インサイトは数値やデータからの可視化が難しく、企業全体の理解を得ることも困難になります。

顧客インサイトを分析するには、社内やチームで活用しているフレームワークがおすすめです。

フレームワークを活用すれば意思決定や分析、戦略立案などの基準を持つことができ、顧客インサイトの分析や管理ができるようになります。

複数のフレームワークを取り入れているときは、社内全体と相談しながら絞り込むと良いでしょう。

訴求方法によっては印象が悪くなる

顧客インサイトから潜在的な本質を見抜いたとしても、訴求内容によっては印象が悪くなる恐れがあります。

例えばコンプレックスを解消するような商品を取り扱っている場合、直接的な訴求をするとネガティブな印象を与えてしまいがちです。

顧客インサイトのデータをもとにマーケティングを実施するときは、訴求内容がネガティブになっていないかチェックするようにしましょう。

顧客インサイトを活用した成功事例

こちらでは、自社ツールであるKnowns 消費者リサーチによって顧客インサイトを活用した企業の成功事例について紹介します。

企業が顧客インサイトを活用するコツを理解できるため、ぜひチェックしてください。

Pomalo株式会社

Pomalo株式会社は、コンテンツにおける戦略設計として顧客インサイト調査のためにKnowns 消費者リサーチを導入しました。

Knowns 消費者リサーチには定量・定性のデータが揃っており、顧客インサイト調査をスピーディに進めて工数の削減につながっています。

目的とターゲットに合わせたツールの使い分けを行うことで、必要なデータを分析しています。

結果としてクライアント顧客からの評価が上がり、コンテンツマーケティング事業を成功させていることがわかりました。


参考リンク:デジタルで情熱を伝えるために
https://biz.knowns.co.jp/case/pomalo


顧客インサイト分析をするならKnowns 消費者リサーチがおすすめ

Knowns 消費者リサーチは、売上につながる顧客分析ができるツールです。

売上につながるターゲットの特定や顧客インサイトの把握など、企業の幅広い課題を解決できる機能が豊富に搭載されています。

独自の分析フレームワークである「7Journey分析」を利用すれば、認知や購入経験、直近の購入経験、購入意向などの有無を分析できます。

顧客理解から競合の状況把握まで対応しているため、顧客インサイトの分析に最適です。

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まとめ

今回は、顧客インサイトの詳細から調査・分析方法、成功事例まで詳しく解説しました。

顧客インサイトは顧客の潜在的な本音や直感であり、マーケティングの本質を見つけるために重要な要素です。

顧客自身が気付いていない根本的な欲求を把握することで、効果的なマーケティング戦略を考えられるようになります。

また、競合他社との差別化を図ることができ、購入根拠の理解や市場の認知度向上など顧客インサイトの分析は企業にとってメリットが大きいです。

ぜひ当記事で紹介した調査・分析方法を参考にしながら、顧客の潜在的な欲求を把握して自社商品・サービスをアプローチしてみましょう。

Knowns 消費者リサーチ