リピーター多数!利用者の口コミが宣伝になるあの洋菓子店の魅力とは
こんにちは。ノウンズのUです。
春になると卒業や入学のお祝い・ひな祭り・バレンタインにホワイトデーなどお菓子やケーキを食べる機会が増えてきますね。
みなさんは今、菓子業界で存在感を放ちまくっているシャトレーゼというお店をご存知ですか?
最近だとスーパーやコンビニでもチョコバッキーを見かけるようになってきましたね。
今回はデータからわかるシャトレーゼの強みや戦略をKnowns 消費者リサーチで分析していきたいと思います。
シャトレーゼとは
シャトレーゼって?
創業は昭和29年。今川焼き風のお菓子「甘太郎」のお店を山梨県甲府市に出店したところから始まり、昭和39年にアイスクリーム業界に参入。
昭和42年に社名を「株式会社シャトレーゼ」に変更。シュークリームの生産を開始し、フランチャイズで洋菓子店を出店していったことで現在のシャトレーゼの形となります。
参考:シャトレーゼ、国内外合計1000店舗に / CHATERAISE
メイン事業としては洋菓子、和菓子、アイスクリーム、パン、飲料の製造・販売です。
実はホールディングス制を敷いていて親会社のシャトレーゼホールディングスではホテル、ゴルフなどのリゾート事業も手がけています。
全国に工場直送の専門店をフランチャイズで構え、その数は今年の1月に国内外合わせて1,000店に達したとのことです。
売上高は年々アップ
ケーキ業界は近年横ばいと言われ、大手他社が出店を減らすなど苦戦する中、シャトレーゼは独自の戦略で売上が急上昇しています。
参考:クリスマスに100万台売る「ケーキ王」強さの源泉 / 東洋経済ONLINE
近年はTVを初め様々なメディアでも取り上げられているので、店舗が近くになくても目にする機会が増えてきました。
ここからは売上急拡大の理由についてKnowns 消費者リサーチのデータに基づいて分析していきたいと思います。
購入者層分析
■デモグラフィック分析_シャトレーゼ 現在購入者層(Knowns 消費者リサーチ調べ)

シャトレーゼ購入者のデモグラ構成比を見ると女性が多く、年齢別としては40代から50代前半の割合が高く出ています。
■7 Journey_シャトレーゼ(Knowns 消費者リサーチ調べ)

7 Journeyを見てみると、ロイヤル層の顧客が多く、離反・離反予備軍が少ないことが分かります。
■ファネル分析_シャトレーゼ(Knowns 消費者リサーチ調べ)

ファネル分析では、現在購入からリピート意向への転換率が非常に高く、一度行ったらリピーターになる人が多いようです。
■ワードクラウド_シャトレーゼ 現在購入層(Knowns 消費者リサーチ調べ)

ワードクラウドにはシャトレーゼの魅力がわかりやすく特徴として出ていますね。
どんな人が利用している?
■サイコグラフィック分析_シャトレーゼ(Knowns 消費者リサーチ調べ)

※絞り込み条件:現在購入者層/社会価値観/40代〜50代前半/女性
■サイコグラフィック分析_シャトレーゼ(Knowns 消費者リサーチ調べ)

※絞り込み条件:現在購入者層/消費価値観/40代〜50代前半/女性
メイン購買層の40代〜50代前半の女性についてのサイコグラフィックを見てみると、社会的価値観としては”家族優先” ”内助の功タイプ”が多く、
家族や周りの人に喜んでもらう為に利用している人が多そうですね。
消費価値観では“良いものを適正価格で欲しい” ”生産者の顔が見えるのが好き” の方が多く、
この辺りの魅力をさらに深掘りしていきたいと思います。
シャトレーゼの強み
圧倒的コスパ!おいしいのに安い!
■イメージ分析_洋菓子店全体(Knowns 消費者リサーチ調べ)

■イメージ分析_シャトレーゼ 購入経験層(Knowns 消費者リサーチ調べ)

この2つは洋菓子店全体とシャトレーゼのイメージ分析です。
洋菓子店全体では”期待感・ワクワク”の次には”可愛い・萌え”が強く出ていますが、シャトレーゼのイメージ分析は”コスパ・経済性”が強く出ていてコスパに魅力を感じている人が多いことがわかります。
シャトレーゼのコスパをわかりやすく説明するためにアイスクリームを例に出します。
参考:ピュルテ マダガスカルバニラ / CHATERAISE
こちらのアイスバーの値段ですがなんと1本80円(税込86円)です。
コンビニ等で買うことができる類似商品と比較するとその圧倒的な安さがわかりますね。
ホームページを見ると安いだけではなく素材・おいしさにもこだわっていることが伺えます。
シャトレーゼは全国に自社工場を構え、原材料にもこだわって商品を作っていますが、工場はロボットなどの最新設備で人件費を抑え、原材料も問屋を通さず直接生産者から仕入れることで中間マージンを発生させず低価格を実現しているようです。
ファンがファンを呼ぶ!戦略的ロングテール広報
コスパにも関連しますが、シャトレーゼは基本的に宣伝広告を打ちません。
「良いものであれば顧客が口伝てで広げてくれる」という方針が創業からあるようです。 広告費が商品価格に乗ってこないのも価格を抑える要因になっています。
参考:シャトレーゼ、広告なしで注目度急上昇を支えた5つの広報戦略 / Marketing Blog
その代わりにメディア露出に対してはかなり戦略的に考えているようで、きっかけになったのはTV露出をフックに起きるSNSでのバズりによる相乗効果だと考えられます。
認知層・購買層のロイヤリティが高い状態で、TV露出をきっかけにSNSで話題になったことで、温度の高いファンがインフルエンサーになり、話題が波及していったといういい連鎖が生まれたようです。
参考:シャトレーゼ、ストーリーとこだわりを消費者に広げる広報戦略 / 日経BPコンサルティング
公式アカウントから大きな話題とニッチな話題の両輪で情報発信をし、それをマスメディアで取り上げてもらうことで大きなPR効果に繋げる。
シャトレーゼではこれを「戦略的ロングテール広報」と呼称しています。
業界他社が同様の戦略をとってもシャトレーゼほどのインパクトは生まれないと思うので、一切広告を出さなかったことがこの戦略を成功へ導いていると思います。
豊富な商品ラインアップ
■商品・サービスへの意見_シャトレーゼ 現在購入層(Knowns 消費者リサーチ調べ)

Knowns 消費者リサーチ内の意見には価格と合わせて種類の豊富さについて言及されている方が多いです。
シャトレーゼといえば、チョコバッキー・ダブルシュークリームなどの洋菓子が有名ですが、店舗では和洋様々な種類の菓子を売っています。
北海道産バターを使用したどら焼きは上記の2つと並んで、シャトレーゼの定番商品としてHPに記載されています。
自宅用のおやつ、お祝いごとのケーキ、知人へのちょっとした手土産にもなるアソートも。
メイン購買層の社会的価値観には”家族思い”が強く出ていましたので、そういった方は「子どもたちにはケーキでおじいちゃんおばあちゃんには和菓子」という使い方ができそうですね。
体験ツアーも人気
シャトレーゼのビジネスモデルを支えているのは、なんと言っても最新設備を備えた自社工場です。
以前は山梨の工場見学でアイス食べ放題が話題になり人気を博していましたが、コロナ禍を経て現在は体験バスツアーに変わり、シャトレーゼが運営するホテルへの宿泊がセットになりました。
シャトレーゼ購入層のサイコグラフィック分析には消費価値観の ”生産者の顔が見えるのが好き”が強く出ていたので、こういった活動もロイヤル層を増やすきっかけになっていそうですね。
お得なポイント カシポ
全国のシャトレーゼで使える専用のポイントサービスで、100円で1ポイント貯まり、1ポイント1円から利用できるサービスです。
その他にも会員限定クーポンやWeb会員サービスなどお得な特典がたくさん用意されています。
2023年11月時点で会員数は920万人を超えているそうで、Knowns 消費者リサーチのファネル分析にも表れている通り、リピーターの多さが好調の要因と推察できます。
郊外の店舗だけじゃないタッチポイント
シャトレーゼといえば主に郊外に路面店を構えていて、生活圏内にお店がないから行ったことがないという方も多いと思いますが、近年は都心部への出店も進んでいます。
西麻布店は24時間営業で無人決済システムも導入されているそうです。
参考:無人決済システムを導入した24時間営業店舗 / CHATERAISE
一部の商品はオンラインで通販することもできるので、わざわざお店に行かなくても商品を手にいれることができます。シュークリームの翌日お届けには驚きました。
また、冒頭でも触れましたが一部の商品はシャトレーゼ店舗以外でも販売されています。
公式サイトには「直営店のみ」としか記載がありませんが、ローソンやライフ系のスーパーで手に入るようです。
近くに店舗がなかったりして今まで買えなかった層にも届くように戦略が練られています。
まとめ
シャトレーゼの購入者の特徴とまとめると以下の通りでした。
・40代から50代前半がメイン 女性が多い
・購入者の中ではロイヤル層の顧客がとても多い。
・離反・離反予備軍が少なくリピーターがメイン。
・社会的価値観は”家族優先” ”内助の功タイプ”が多い。
・消費価値観は ”生産者の顔” “コスパ”重視。
・コストパフォーマンスと商品の種類に魅力を感じている。
洋菓子専門店だけではなく、コンビニをはじめ様々なお店で美味しいスイーツを買うことができるようになり、価値観の多様化やグローバル化が進んだことで新しいジャンルも増えて生き残りが難しくなってきている現在の菓子業界ですが、消費者分析をすることで他のお店とシャトレーゼがどのように差別化しているかが見えてきました。
奇をてらった戦略をというわけではありませんが、商品の品質と価格を追及し続けた結果、近年の戦略的メディア露出で認知拡大したタイミングで、獲得した顧客を大量のリピーターにすることで成功したのではないかと考えられます。