デシル分析とは?実施するメリット・デメリット・分析のやり方を解説!


売上につながる顧客に向けて最適なアプローチを実施するには、デシル分析の実施がおすすめです。

デシル分析によって自社商品・サービスの顧客をランキング形式でグループ化すれば、効果的なマーケティング戦略を行いながら安定した売上を見込めるようになります。

デシル分析はシンプルなロジックとなっているため、多くの企業から注目されている分析手法です。

しかし、これまでデシル分析を取り入れたことがない担当者は「どのように分析を進めればいいのかわからない」という悩みもあるでしょう。

当記事では、デシル分析の詳細から実施するメリット・デメリット、分析のやり方まで詳しく解説します。

売上につながる顧客分析のノウハウを理解できるため、ぜひ参考にご覧ください。

売上につながる顧客に向けて最適なアプローチを実施するには、デシル分析の実施がおすすめです。

デシル分析によって自社商品・サービスの顧客をランキング形式でグループ化すれば、効果的なマーケティング戦略を行いながら安定した売上を見込めるようになります。

デシル分析はシンプルなロジックとなっているため、多くの企業から注目されている分析手法です。

しかし、これまでデシル分析を取り入れたことがない担当者は「どのように分析を進めればいいのかわからない」という悩みもあるでしょう。

当記事では、デシル分析の詳細から実施するメリット・デメリット、分析のやり方まで詳しく解説します。

売上につながる顧客分析のノウハウを理解できるため、ぜひ参考にご覧ください。

デシル分析は10ランクに分けて分析すること

デシル分析のイメージをわかりやすく示している図

デシル分析とは、売上・顧客データをもとに全顧客を購入金額の高い順から10ランクで等分し、購入比率・売上高構成比・1人あたり購入金額などの要素から試算する分析手法です。

「デシル」とはラテン語で「10等分」という意味があることから、10ランクで等分する分析手法としてデシル分析と名付けられました。

デシル分析によってランクをグルーピングして売上構成比を算出すれば、売上貢献度の高い優良顧客層を把握しながらアプローチ方法を考えられます。

効率良く売上を伸ばすためのマーケティング戦略を立案できるようになるため、無駄なマーケティングコストを削減しながら進めることが可能です。

デシル分析の目的

デシル分析の目的は、自社の優良顧客層を把握して効率的なマーケティング戦略を実施することにあります。

潜在顧客や見込顧客を育成するには時間とコストがかかるため、企業にとっては負担が大きくなります。

優良顧客を可視化してマーケティング戦略を実施すれば、コストを抑えながら効率良く売上アップを図ることが可能です。

また、購買意欲の高いグループに対して特別なサービスを提供することで、顧客満足度を高めながら長期的なロイヤルティを向上できるようになります。

各グループに適したマーケティング戦略を実施できるようになるので、限られたリソースのなかで売上につながる顧客へアプローチをしたいときにはデシル分析が最適です。

RFM分析はデシル分析よりも詳細な分析

RFM分析とは「Recency(最終購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の3つの指標でランク付けして顧客をグルーピングする方法です。

デシル分析は顧客の購入金額を指標としていますが、RFM分析はより詳細な購買状況を把握・分析することが可能です。

RFM分析では最終購入日や購入頻度などの要素が含まれるため、細かな絞り込みによって精度を高めながらターゲット顧客にアプローチできるようになります。

RFM分析は時系列の概念があり、顧客を「優良顧客」、「休眠顧客」、「新規顧客」にグループ分けします。

例えばデシル分析では一度高額商品を購入した顧客は「優良顧客」としますが、RFM分析では「休眠顧客」と分類する点に違いがあります。

顧客の詳細情報に合わせたグループ分けを行いたいときは、RFM分析の実施がおすすめです。

ABC分析はデシル分析よりもランク分をシンプルに

ABC分析とは、売上・販売個数・利益などの項目を決定し、ABCの3段階に分けて顧客を分析する方法です。

商品の在庫管理を行うときに利用されることが多く、デシル分析と同様に顧客の購買金額を分析する際にも利用できます。

例えば売上を指標とした場合、商品の売上が高い順にA・B・Cでグループ分けを行います。

Aのグループが最も商品の売上率が高いため、在庫切れを起こさないよう在庫管理を行う流れです。

在庫管理の優先順位をつけられるので、売上を重視した対応ができます。

デシル分析に比べてランク分けがシンプルになっているため、簡単な分析手法となっています。

デシル分析は顧客を軸にしているのに対し、ABC分析は商品を軸にしている点に違いがあることを理解しておきましょう。

CTB分析とデシル分析の違いは、分析の軸の違い

CTB分析とは「Category(カテゴリー)」、「Taste(テイスト)」、「Brand(ブランド)」の3つの指標で購入履歴から顧客をグルーピングして分析する方法です。

顧客の好む商品を把握し、購買予測にもとづくマーケティング戦略を展開していく流れが特徴となっています。

デシル分析は顧客の購入金額を指標とするのに対し、CTB分析は顧客が購入した商品をもとに分析します。

分析する指標が金額と商品に違いがあるため、状況に合わせて使い分けると良いでしょう。

デシル分析を実施する3つのメリット

デシル分析のメリットを3つ記載している図

デシル分析を実施することで、以下のような3つのメリットがあります。

  1. 簡単にはじめられる
  2. アプローチ方法を考えやすい
  3. 最適な予算配分ができる

それでは順番に説明します。

1.簡単にはじめられる

デシル分析は顧客の購入金額から10等分するシンプルな分析手法なので、手軽で簡単に実施できます。

RFM分析の場合、複雑な計算が必要になるため専用ツールの導入が推奨されますが、デシル分析は一般的に利用されているExcelソフトで分析可能です。

分析の手間がかからないため、スピード感を持ってマーケティング戦略を立案できるようになります。

すぐにでも売上につながる顧客分析を行いたい企業にとって、簡単にはじめられる点はデシル分析のメリットといえるでしょう。

2.アプローチ方法を考えやすい

デシル分析は購入金額の高い順から10ランクで等分されているため、グループに合わせたアプローチ方法を考えやすいです。

基本的に購入金額の多い上位グループを優先的にアプローチするので、特定の顧客に向けてクーポンやメルマガを配信する方法が可能です。

優良顧客との関係性を保ちながら離脱を防ぐことができ、アップセルやクロスセルを期待できます。

そのためアプローチ方法を考えやすい点は、デシル分析を実施するメリットの1つです。

3.最適な予算配分ができる

デシル分析から売上への貢献度が高い上位グループを特定できれば、優先的にマーケティング予算を割けるようになります。

優良顧客に向けて集中的なアプローチを行うことで、高い費用対効果を期待できます。

また、上位グループからの売上増加が見込めないと判断した場合、中位・下位グループに予算を配分しながら全体的な売上の底上げを図ることも可能です。

最適な予算配分によってマーケティング費用の無駄をなくせる点は、デシル分析の大きなメリットといえます。

デシル分析を実施する3つのデメリット

デシル分析のデメリットを3つ記載している図

デシル分析を実施することで、以下のようなデメリットも存在します。

  1. 様々な要因を無視してしまう
  2. 長期的なマーケティング戦略には不向き
  3. 精度が完璧にはならない

良い点と悪い点を比較しながら、自社で実施すべきか検討しましょう。

1.様々な要因を無視してしまう

デシル分析はシンプルな分析手法となっているため、様々な要因を無視してしまう点はデメリットです。

デシル分析では顧客の購入金額に要素を絞っていることから、時間の経過やトレンドなどの要因を無視しながら分析が進みます。

顧客は商品やサービスを購入する際に価格だけでは判断しておらず、様々な要因をもとに購買意欲が高められています。

また、購入から年月が経過している場合であっても、高額商品を購入した顧客は上位グループと判断されるので適切なマーケティング戦略を立案することが難しいケースも少なくはありません。

そのため状況に合わせて、RFM分析やABC分析などの分析手法も取り入れるようにしましょう。

2.長期的なマーケティング戦略には不向き

ニーズ分析やマーケティング施策の効果測定など、中長期的なマーケティング戦略を実施するときはデシル分析が不向きになります。

デシル分析は顧客の購入金額をもとに分析しているため、顧客の動向について詳しい情報を把握することはできません。

なぜ商品やサービスを購入したのかを把握できなければ、効果的なマーケティング戦略を打ち出せず継続的に優良顧客を維持することは難しいです。

そのためマーケティング戦略を考えるときは、短期ならデシル分析を活用し、長期ならほかの分析手法を活用しながら進めるようにしましょう。

3.精度が完璧にはならない

デシル分析は様々な要素を省略しているため、分析の精度は完璧にはなりません。

例えば3年に一度しか自社商品・サービスを購入しない顧客だったとしても、高額な製品を購入すると優良顧客としてグループ分けされてしまいます。

分析の精度を高めるには、多くの項目を扱うRFM分析などの活用がおすすめです。

また、デシル分析の売上データを直近半年や数ヶ月のみに絞って見直すことで、精度を高められるようになります。

分析期間が短くなるとデータ量の減少から顧客を取りこぼす恐れもありますが、現時点の顧客像を可視化できます。

デシル分析は顧客分析の初期段階では有効な分析手法なので、分析期間に合わせてほかの分析手法も併用するようにしましょう。

デシル分析の進めかた

デシル分析の進め方を順番に説明している図

デシル分析の具体的なやり方として、以下のような方法を行っていきます。

  • データ収集・リスト作成
  • 顧客ごとに購入金額を算出
  • 購入金額ごとに顧客をグループ化

それでは詳しく解説します。

データ収集・リスト作成

はじめに、デシル分析に必要なデータ収集を行います。

デシル分析に必要なデータとして、以下のような項目が挙げられます。

  • 注文番号
  • 顧客ID
  • 注文日
  • 購入金額
  • 商品名
  • 単価
  • 数量

上記データを収集後、ExcelやGoogleスプレッドシートなどに反映してリスト作成を行います。

注意点として、データ収集の期間が長くなると分析の正確性が低くなるため、事前に期間を設定することが大切です。

現在は人気があった商品だったとしても、過去に購入した顧客はすでにターゲット層ではない可能性も高いです。

そのため自社製品の特徴や顧客層を考慮しながら、データ収集する期間を設定するようにしましょう。

顧客ごとに購入金額を算出

データ収集とリスト作成を終えたら、顧客ごとに購入金額を算出します。

ExcelやGoogleスプレッドシートで作成した表を全て範囲選択し、各ツールの機能を使って購入金額を算出する流れです。

Excelには「ピボットテーブル」という機能があり、簡単に注文金額の合計を算出できます。

金額の大きい順に並べ替えることもできるため、すぐに優先度の高い順にグループ分けすることが可能です。

デシル分析では各顧客の累計購入金額を指標とするので、異なる顧客の売上を混同したり顧客の購入履歴を複数に分けたりすることに注意しましょう。

購入金額ごとに顧客をグループ化

最後に、購入金額の多い順に顧客を10等分にグループ化していきます。

10等分にするときは、顧客人数に合わせることが大切です。

例えば顧客数が1,000人だった場合、最も購入金額が多い顧客から100番目までをデシル1としてグループ化します。

次に101番目から200番目までをデシル2といった順番で10等分する流れです。

顧客数がうまく割り切れないときは、下から順番に影響が少ない1番下のランクに入れておくことをおすすめします。

顧客を10等分にグループ化できたら、各グループの売上構成比を計算します。

グループ内の顧客の購入金額を総額で計算し、全体の売上に対して構成比が何%になるか計算してください。

各グループが全体においてどれくらいの売上比率を占めているのかチェックすることで、購入層を明確化できます。

デシル分析を実施する際の注意点

デシル分析を行う上で注意するポイントを記載している図

デシル分析は顧客の購入金額をもとに分析するため、様々な要因を無視してしまう可能性が高いです。

前述でも説明した通り、顧客が商品を購入するまでには価格だけでなく質やトレンドなどの要因が関係しています。

また、過去に高額商品を一度だけ購入した顧客も優良顧客としてグループ分けされる恐れがあるため、間違ったマーケティング戦略を実施する可能性もあります。

そのためデシル分析だけに頼るのではなく、RFM分析やABC分析、CTB分析などほかの分析手法も状況に合わせて使い分けるようにしておきましょう。

まとめ

今回は、デシル分析の詳細から実施するメリット・デメリット、分析のやり方まで詳しく解説しました。

デシル分析は自社の優良顧客層を把握し、効率的なマーケティング戦略を考える分析手法です。

購入金額の高い顧客に向けたアプローチができるため、自社商品・サービスの売上につながるマーケティング戦略を立案できるようになります。

また、分析手法としても簡単にはじめられるので、高度な知見がない担当者であっても実施可能です。

最適な予算配分ができることからマーケティングコストを削減できる点も大きなメリットです。

デシル分析を実施し、売上につながる顧客分析をはじめてみましょう。