ハンバーガーチェーン業界の市場分析をしてみた


みなさんは”ハンバーガーチェーン”といえばどのようなブランドを想像しますか?

「マクドナルド」や「モスバーガー」など、たくさん浮かびますよね。

またコスパやボリュームなど、ブランドを選ぶ基準によって食べたいハンバーガーチェーンが異なる人も多いのではないでしょうか。

どこが一番美味しいかで会話が弾むこともよくある話ですよね。

今回はそんな”ハンバーガチェーン”の市場をピックアップして、Knowns 消費者リサーチをもとに分析を行っていこうと思います。

マーケターやメーカーの方々のお役に立てると嬉しいので最後まで読んでみてください。

ハンバーガーチェーン業界紹介

日本のハンバーガーチェーン業界は、国内外のブランドが熾烈な競争を繰り広げている市場です。

その歴史は1970年に誕生したドムドムハンバーガーから始まり、これが日本初のハンバーガーチェーンブランドとなりました。


参考:ドムドムハンバーガー ABOUT ドムドムとは
https://domdomhamburger.com/about


その後、外資系の参入や国内ブランドの発展によって市場は急速に成長し、現在ではファーストフードを代表するほどに大きくなっています。

また消費者の多様なニーズに合わせた商品開発や、デジタル化の進展によるサービス・戦略の変化も大きな注目を集めています。

次にKnowns 消費者リサーチを用いて、ハンバーガーチェーン業界を見ていきます。

※本記事では「ケンタッキー フライドチキン」を「ケンタッキー」と表記しています。

ポジショニングマップ

まずはハンバーガーチェーン業界に属する各ブランドの認知度や満足度などのポジショニングを確認してみます。

認知度ポジショニングマップ

認知率×好感率

まずは認知率と好感率でポジショニングしてみます。

各ブランドの認知度がどのくらいあるのか、好印象・好感触と感じている人はどれほどいるのかを確認することができます。

■認知率×好感率 ポジショニングマップ

認知率×好感率では1位がマクドナルドとなりました。

しかし「ケンタッキー 」や「モスバーガー」も数値に大きな差はありません。

認知率や好感率は少なからず店舗数が影響していそうですね。

マクドナルドは日本マクドナルドホールディングス株式会社が展開するブランドで、ハンバーガーチェーンだけでなく、ファーストフードの中でも圧倒的な人気を誇っています。

子供向けのハッピーセットや季節・期間限定商品、クーポンの豊富さ、デリバリーやドライブスルーなど多くのサービスを取り揃えています。

また24時間営業の店舗も多く、人気の要因を探るとたくさん出てきそうなブランドと言ってもよいのではないでしょうか。

満足率×潜在顧客層

次に満足率と潜在顧客層でポジショニングしてみます。

ブランドの利用者はブランド価値にどれほど満足しているのか、

将来の顧客として見込まれる人はどれほどいるのかを確認することができます。

■満足率×潜在顧客層 ポジショニングマップ

満足率×潜在顧客層では項目ごとに上位は大きく異なりました。

満足率ではマクドナルドが1位となり、TOP3は認知率と同じ順位となっています。

対して潜在顧客層はバーガーキングとなりました。

また2位はドムドムハンバーガー、3位はフレッシュネスバーガーと上位は大きな違いがあります。

バーガーキングは1954年にアメリカで誕生したハンバーガーチェーンブランドです。

当時は美味しいものを早く、そして顧客のお好みに応じてハンバーガーをカスタマイズするアイデアが非常に人気となっていました。

現在では100か国以上、19,500店舗を展開する大きなブランドとなっており、マクドナルドに引けを取らないブランドと言っても過言ではありません。

また日本の上陸は1993年であり、アメリカンサイズと表現できるようなインパクトのある見た目と美味しさが人気を集めています。

イメージポジショニングマップ

各ブランドのイメージについても分析してみます。

消費者からどんなイメージを持たれているのか、各ブランドの大きな印象はどういった点にあるのかを理解することができます。

まずはポジショニングする前に”ハンバーガーチェーン”に対するイメージを簡単に確認しておきたいと思います。

今回はハンバーガーチェーンを現在購買している人はどんなイメージを持っているのかを探るべく、現在購入層に限定して分析していきます。

■イメージ分析

※絞り込み条件 : 現在購入層

最も強いイメージは期待感・ワクワクでした。

56.0%と非常に高い数値となっており、ブランドを購入・利用する時に期待感が高いようですね。

またベーシック・定番的家庭的・安堵感も上位にランクインしており、外食やファーストフードの定番チョイスになっている人が多いのかもしれません。

またハマる・依存するも45%を超えており、中毒性の高いブランドが多いようですね。

このイメージ分析の結果をもとに、ポジショニングを行っていきたいと思います。

期待感・ワクワク×ベーシック・定番的

まずはイメージ分析の第1位と第2位の項目をポジショニングしてみます。

■期待感・ワクワク×ベーシック・定番的 イメージポジショニングマップ

※絞り込み条件 : 現在購入層

期待感・ワクワク×ベーシック・定番的では項目ごとに上位が異なりました。

期待感・ワクワクはケンタッキーが1位となりました。

ケンタッキーはハンバーガーの他にもチキンが非常に有名で、限定商品が販売される毎月28日やクリスマスシーズンは非常に混雑するほどの人気ブランドとなっています。

またパーティーサイズのセットや季節・期間限定商品が豊富で、来店する度にワクワクする品揃えとなっています。

ベーシック・定番的はマクドナルドが1位となりました。

店舗数の多さや平均的な価格の安さが大きな要因と考えられます。

ハンバーガーが170円〜、ポテトが190円〜と非常に安く、幅広い年齢層に親しまれているのも大きな要因となっていそうです。

コスパ・経済性×ハマる・依存する

次にコスパの良さや中毒性の高いブランドはどこかを見ていきます。

ファーストフードとして気軽に利用できるような価格であることは非常に重要ですよね。

また気軽に利用できるからこそ、依存性を強みにするのも重要ではないでしょうか。

■コスパ・経済性×ハマる・依存する イメージポジショニングマップ

※絞り込み条件 : 現在購入層

コスパ・経済性×ハマる・依存するではどちらもマクドナルドが1位となりました。

さすがマクドナルドといった感じでしょうか。

このポジショニングで注目したいのはロッテリアです。

コスパ・経済性の2位にランクインしていますが、マクドナルドのメニューと比較しても価格はやや高い印象です。

しかしメニューの詳細を見てみると、例えば絶品チーズバーガーは牛肉100%のパティに4種類のチーズをブレンドしたボリュームある商品です。

この商品は440円〜で販売されていますが、実際「このクオリティでこの値段で食べれるのか」といった印象を持ちました。(価格は地域やデリバリーによって異なります)

つまり”コスパ”が非常に良いことが、上位にランクインする要因となっているのではないでしょうか。

みなさんはどういった要因が考えられると思いますか?

さらに詳しく分析すると要因がはっきりしそうで興味深いですね。


参考:メニュー一覧/ロッテリア公式サイト
https://www.lotteria.jp/menu/?category=type02


ブランド認知度(バーガーキング)

ここまでハンバーガーチェーン業界全体について分析しましたが、ここからはブランドを1つピックアップして分析していきます。

今回ピックアップするのはバーガーキングです。

先程のポジショニングマップでは潜在顧客層の割合が1番高く、店舗数の増加率も高かったことから、どんな人がハマっているのかを見ていきたいと思います。

7 Journey調査

■7 Journey バーガーキング

バーガーキングは未認知やチャンスが高い割合となっていました。

またきっかけ待ちや巻き戻しも10%を超えており、注目ポイントになりそうですね。

ロイヤル層は18.3%と一定数の顧客はいるといった感じでしょうか。

この結果をもとに時系列分析や7 Journey Tableを用いて、さらに深堀りしていきます。

顧客の変化と特徴

まずは時系列分析から見ていきます。

■時系列7 Journey分析 バーガーキング

※2024年10月~2025年3月は集計中

注目したい点はまずチャンスが増加傾向にあることです。

直近では未認知を上回っており、購買したいけどきっかけがない人が増加しているようです。

さらにロイヤル層が増加していることも大きなポイントです。

積極ロイヤルと消極ロイヤルどちらも増加しており、積極ロイヤルに関しては2年間で割合は約2倍ほどに上昇しています。

それほどいま話題のブランドということです。

チャンスをロイヤル層に転換することができれば、ハンバーガーチェーン市場でも大きな存在感のあるブランドになる可能性を秘めていますね。

次に7 Journey Tableを見てみます。

■7 Journey Table バーガーキング

まずは性別からです。

ロイヤル層はやや男性の方が割合は高い結果でした。

さらに巻き戻しやきっかけ待ちも男性の方が多く、男性に親しまれやすいブランドなのかもしれません。

ただチャンスは男女に大きな偏りはなく、未認知は女性の方が多いため、女性の顧客も施策次第では見込めるようです。

次に年齢別を見ていきます。

ロイヤル層は10代や20代の割合が高い結果でした。

対して巻き戻しやチャンス、きっかけ待ちは大きな偏りはなく、やや45〜55歳が多い程度でした。

しかし未認知は10代の割合が高く、ロイヤル層へ転換するにはいくつか施策が必要になりそうです。

※「離反予備軍」や「離反」は母数(n=)が少ないため、分析対象外としています。

ブランドイメージ

次にブランドのイメージについて分析してみます。

イメージ分析や消費者の声など多様な視点から新しい発見をしてみます。

ここでは現在、購買・利用している人がブランドにどのようなイメージを持っているか分析したいので現在購入層に限定して分析していきます。

■イメージ分析 バーガーキング

※絞り込み条件 : 現在購入層

最も強いイメージは期待感・ワクワクでした。

ハンバーガーチェーン全体のイメージ分析でも1位の項目でしたので、”ハンバーガー”や”ファーストフード”という点が大きく影響していそうです。

次に高かったのはインパクト・衝撃的でした。

この項目はハンバーガーチェーン全体のイメージ分析では上位の項目ではないため、バーガーキングの特徴の1つといえます。

■爽快元気・エネルギッシュ×インパクト・衝撃的 ポジショニングマップ

※絞り込み条件 : 現在購入層

ポジショニング分析をしてみても、ハンバーガーチェーンでは1番高い数値となっていました。

要因として考えられるのは、「大胆さ」や「ボリューム感」という点です。

バーガーキングのメニュー表を見てみると、バンズからあふれ出しそうなほど食材が挟まっている商品が多く、他のブランドにはない「見た目」の優位性があると考えられます。

爽快元気・エネルギッシュも同じ要因と考えられますね。


参考:メニュー一覧/バーガーキング公式サイト
https://www.burgerking.co.jp/#/menu/0


この結果をもとに時系列分析や消費者の声を用いて、より具体的に見ていきます。

どんなイメージを持っていて、そのイメージはどう変わっているのか?

まずは時系列分析からイメージの変化を見ていきます。

■時系列イメージ分析 バーガーキング

※絞り込み条件 : 現在購入層
※2024年10月~2025年3月は集計中

特徴として1つポイントとなるのは期待感・ワクワクが増加傾向にあることです。

現在では最も強いイメージになっていますが、以前は上位ギリギリにランクインする程の項目となっていました。

しかし約2〜3年で約15%増加し、バーガーキングへの期待感は高まっているようです。

対して減少傾向にあるのがインパクト・衝撃的です。

以前は最も強いイメージだった時期もありますが、その数値もだんだん減少しています。

これらの結果の背景にはどんな変化があったのか、消費者の声を用いて探ってみます。

どんな言葉を使ってブランドを表現しているのか?

■サービス・商品への意見 バーガーキング

消費者の声で最も多かった意見は、「食べ応えがある」「肉が美味しい」といったものでした。

またその印象から「もう一度行きたい」「店を見るとワクワクする」など、期待感・ワクワクの要因となりそうな意見が多く見受けられました。

■ワードクラウド バーガーキング

※絞り込み条件 : 現在購入層

また見た目に関する意見も多く、ワードクラウドでは「ボリューム」が非常に使われていたことが確認できます。

インパクト・衝撃的の要因になりそうな意見も多く、その印象から「つぎ行く時にワクワクする」といった期待感・ワクワクへの影響も与えていそうです。

対して期間限定メニューへ期待している意見も多く、互いの項目がもう一方へ良い影響をもたらす相互作用のような関係が起きているのではとも感じられました。

■サービス・商品への意見 バーガーキング

他にも「行きたいけど遠くて行けない」「店舗を増やしてほしい」など、店舗数や地方への出店の増加を求める意見も多く見受けられました。

つまり新店舗の需要は非常に高い可能性がありますね。

■地域別 バーガーキング店舗数

※公式サイトより独自集計
※店舗数は2025年1月30日時点

実際に地域別の店舗数を見てみると東京や神奈川、大阪のような大都市に店舗数を多く展開しているのが分かります。

需要も高いことから、地方の店舗数を増加することで新しい顧客を獲得できる可能性は大いに秘めているのではないでしょうか。

マーケの可能性を探る

次にバーガーキングのブランド価値を向上させるためのヒントを見つけていきます。

需要が高い点や高評価の意見が多いことから、施策によってはハンバーガーチェーン業界で大きな存在感を持つブランドになる可能性があります。

今回はさらに新しい顧客を獲得できるチャンスを探るため、潜在顧客層を中心に分析していきます。

潜在顧客層にはどんな人がいる?

まずはデモグラフィックから見ていきます。

■デモグラフィック分析 バーガーキング 性別・年齢

※絞り込み条件 : 潜在顧客層

潜在顧客層は男性がやや多く、45〜49歳を中心に40代や50代の割合が高い結果となりました。

しかし10代や20代のような若年層もある程度の潜在顧客はいるようです。

■デモグラフィック分析 バーガーキング 居住エリア

※絞り込み条件 : 潜在顧客層

また居住エリア別に見ると関東や近畿だけでなく、中部や九州などにも潜在顧客が多くいることが確認できます。

やはり地方の需要は少なからずあるように考えられます。

次にサイコグラフィックを見てみます。

ここでは認知率や好感率で1位だったマクドナルドの潜在顧客層と比較し、割合が高かった項目をピックアップしてご紹介します。

■サイコグラフィック分析 個人価値観 バーガーキング

※絞り込み条件 : 潜在顧客層

まずは個人価値観からです。

ここではガラスメンタルインドア派無頓着の割合が高い結果となっていました。

他人の評価や意見に左右されやすく、刺激よりも安定を好む人や大雑把な性格の人が多いようです。

周囲を気にしてしまう人や家でゆっくり過ごす人が多いため、テイクアウトやデリバリーを充実させることが施策の1つになってきそうです。

またケンタッキーのようなパーティー用の商品もあると需要が高まりそうです。

次に消費価値観を見ていきます。

■サイコグラフィック分析 消費価値観 バーガーキング

※絞り込み条件 : 潜在顧客層

潜在顧客層はリピート消費コスパ消費が高い結果となりました。

お気に入りのものを買い続ける人やコストパフォーマンスを意識する人が多いことから、まずは一度利用してもらう機会を作ることが重要だと考えます。

どちらの項目も購買経験がないとリピートする価値があるか、コスパ良い商品なのかが分かりません。

また良いモノ長持ち消費直感消費も高い割合となっています。

価格よりも美味しさを重視する人や自分の直感を大事にする人が多く、購買経験を提供する他にも、リピートしてもらえるような商品やサービスを提供するのも重要になりそうです。

今回ピックアップした特徴はほんの一部ですので、さらに分析するとより潜在顧客層の特徴が見つけられると思います。

転換率をみる

次に転換率からバーガーキングの課題を見つけていきます。

■ファネル分析 バーガーキング

特徴として1つ注目すべきは「購入意向→現在購入」の転換率が3割程度にとどまっていることです。

また同様に「認知→現在購入」も24.4%しかありません。

つまり「知ってる・買ってみたいけど機会が少ない」という人が多いと考えられます。

「家の近くにない」「ボリューミーで食べきれるか不安」など、原因は様々なものがあげられます。

現在購入の壁を低くすることができればロイヤル層の増加は多く見込めるので、施策によってはかなり期待できますよね。

ユーザはどんなSNSを見ている?

最後に現在購入層や購買経験がない層のSNS利用状況を見てみます。

まずは現在購入層からです。

■SNS利用状況 バーガーキング

※絞り込み条件 : 現在購買・利用・観戦あり

SNSの利用有無は全体より高い結果となっています。

ほとんどの人がSNSを利用しているため、SNS広告の影響力はかなりあるように伺えます。

またX(旧Twitter)InstagramTikTokの割合が平均を超えていました。

しかし実際にバーガーキングの公式アカウントを探してみると、X(旧Twitter)しか現在は稼働していませんでした。

SNSの閲覧が高い要因として考えられるのは、公式アカウント以外の発信者がバーガーキングをレビューしていることが考えられます。

例えばYoutubeでは登録者200万人を超えるグループ系Youtuber「Lazy Lie Crazy」さんが企画としてバーガーキングを取り上げていました。

他にも人気配信サイト「Twitch」で世界週間ランキングにて、TOP10にランクインする程の人気配信者「赤見かるび」さんが、新商品や期間限定商品をレビューするなども見受けられました。

このように「食べてみた」というようなレビュー動画が多数投稿されており、トレンドといっても過言ではないほど話題を集めているようです。

次に潜在顧客層を対象とした、購買経験なしの層を見ていきます。

■SNS利用状況 バーガーキング

※絞り込み条件 : 購買・利用・観戦経験なし

右側の全体と比較してみると利用経験なしの割合が高いですが、「利用している」の方が多い結果となっています。

しかし先ほどの現在購入層よりもX(旧Twitter)Instagarmの割合は低くなっています。

しかしYouTubeの割合は上昇しており、YouTubeを用いた広告戦略は少なからず効果が見られそうです。

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今回はハンバーガーチェーン業界の市場分析と、「バーガーキング」について認知度〜イメージ調査まで見てきました。

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Knowns 消費者リサーチ