レトルトカレー業界の市場分析をしてみた 


皆さんは”レトルトカレー”という言葉を聞いてどんなブランドや企業を思い浮かべますか?

「バーモントカレー」「こくまろカレー」などがやはり人気ですよね。

さらに「今日のご飯は楽したい」「ご飯を食べる時間があまりない」

そんなとき家にあったら便利ですし、実際にストックとして購入している人も多いのではないでしょうか。

今回はそんな”レトルトカレー”をピックアップして、Knowns 消費者リサーチをもとに分析を行っていこうと思います。

マーケターさんやメーカーさんのお役に立てると嬉しいので最後まで読んでみてください。

皆さんは”レトルトカレー”という言葉を聞いてどんなブランドや企業を思い浮かべますか?

「バーモントカレー」「こくまろカレー」などがやはり人気ですよね。

さらに「今日のご飯は楽したい」「ご飯を食べる時間があまりない」

そんなとき家にあったら便利ですし、実際にストックとして購入している人も多いのではないでしょうか。

今回はそんな”レトルトカレー”をピックアップして、Knowns 消費者リサーチをもとに分析を行っていこうと思います。

マーケターさんやメーカーさんのお役に立てると嬉しいので最後まで読んでみてください。

レトルトカレー業界の紹介

日本初のレトルトカレーは1968年に誕生し、大塚食品株式会社が開発した「ボンカレー」とされています。

またボンカレーの発売日である2月12日は、「レトルトカレーの日」といわれているようです。

現在もレトルトカレーの市場は拡大を続けており、飲食・飲料業界の中でもその存在感は非常に大きなものとなっています。

単身世帯や共働き世帯の増加によって、手軽に食べられる備蓄食品としての需要が高まっていることが、市場規模拡大の大きな後押しになっていると考えられます。

近年では多様なニーズに応えるために、辛さや風味、コスパなど様々なこだわり商品が誕生しています。

参考 : 「レトルトカレーの日(2月12日) |意味や由来・広報PRに活用するポイントと事例を紹介」
https://prtimes.jp/magazine/today/retort-curry-day/
メディア名『PR TIMES MAGAZINE』
https://prtimes.jp/magazine/


今回はそうした業界の背景を踏まえながら、分析を行っていこうと思います。
次にKnowns 消費者リサーチを用いてレトルトカレー業界を分析していきます。

ポジショニングマップ

まずはレトルトカレー業界に属する各ブランドの認知度や満足度などのポジショニングを確認してみます。

認知度ポジショニングマップ

認知率×好感率

まずは認知率と好感率でポジショニングしてみます。

各ブランドの認知度がどれくらいあるのか、好印象・好感触と感じている人はどれほどいるのかを確認することができます。

認知率×好感率ではハウス バーモントカレーが1位となりました。

ハウス バーモントカレーはハウス食品株式会社が展開するカレーブランドです。

バーモントカレーは1963年に発売開始され、TVCMの影響もあり爆発的なヒット商品としてブランドがスタートしました。

ブランドの主な看板商品は固形のカレールウですが、レトルトも人気商品として売上に大きく貢献しています。

バーモントカレーの特徴はリンゴとはちみつを使用し、辛さを抑えたマイルドな風味となっています。

さらに甘口・中辛・辛口とバリエーションも広く、子供から大人まで食べやすいカレーとなっています。

みなさんも一度は食べたことがあるブランドではないでしょうか。

参考: ハウス食品株式会社公式HP>会社情報>会社の歩み
https://housefoods.jp/company/information/history.html

満足率×潜在顧客層

次に満足率と潜在顧客層でポジショニングしてみます。

ブランド利用者はブランド価値にどれほど満足しているのか、

将来の顧客として見込まれる人はどれほどいるのかを確認することができます。

満足率×潜在顧客層ではそれぞれの1位は異なりました。

満足率はハウス バーモントカレーが1位となりました。

さらにポジショニング全体を見てみると、満足率TOP5のうち4つがハウス食品株式会社の展開するカレーブランドとなっています。

業界全体で見ると、ハウス食品株式会社がやや優位な立ち位置なのかもしれません。

対して潜在顧客層はS&B カレーの王子さまが1位でした。

S&B カレーの王子さまはエスビー食品株式会社が展開するカレーブランドです。

日本初の幼児向けカレーとして発売開始され、辛味が全くなく野菜の甘みを活かした食べやすいカレーとなっています。

さらにアレルギーの特定原材料の8品目を使用していないため、子供が安心して食べられる配慮が徹底されています。

潜在顧客層が多い要因としては「幼児向け」である点が大きく関係していると考えられます。

レトルトカレー市場において「幼児向け」に特化したブランドは多くなく、一見するとターゲット層は限られているように思えます。

しかし、多くの人が幼少期に一度は口にしたことのあるブランドではないでしょうか。

このようにどの世代においても一定の需要が見込まれることから、ブランド価値の安定性が高いと考えられます。

イメージポジショニング

各ブランドのイメージについても分析してみます。

消費者からどんなイメージを持たれているのか、各ブランドのイメージはどれほどかを理解することができます。

ポジショニングする前に”レトルトカレー”に対するイメージを簡単に確認しておきたいと思います。

今回はレトルトカレーを現在購買している人はどんなイメージを持っているのかを探るべく、現在購入層に限定して分析していきます。

※絞り込み条件 : 現在購入層

最も強いイメージは家庭的・安堵感となりました。

68.9%と7割近い数値となっており、多くの人が家庭的なブランドとイメージしているようです。

スーパーやコンビニなど身近に購入できる点や、短時間で食べられる便利な商品であることが大きな要因だと考えられます。

また備蓄品としても人気が高いので、安堵感というポイントも高いと見られます。

また伝統・頑固さも48.8%と数値が高く、現在も人気ブランドである「バーモントカレー」や「こくまろカレー」などが大きく影響していそうです。

歴史の長さはもちろん、長年愛されてきたブランドも数多く存在することが大きな要因に繋がっていそうです。

さらにコスパ・経済性も上位にランクインしており、1食あたり約100円から買える商品もあるので、「安く簡単に食べれる商品」というイメージを持っている人が多いのかもしれません。

コスパ良く買える商品のため、家庭に豊かな暮らしを提供しているとも考えられ、「コスパ・経済性」から「家庭的・安堵感」へ良い連鎖を生んでいそうです。

このイメージ分析結果をもとに、ポジショニングを行っていきたいと思います。

コスパ・経済性×家庭的・安堵感

まずはイメージ分析でも考察に上がった「コスパ・経済性」と「家庭的・安堵感」のポジショニングを行っていきます。

※絞り込み条件  : 現在購入層

まず家庭的・安堵感ではハウス バーモントカレーが1位となりました。

認知率や好感率に続いて、家庭的・安堵感もトップの数値ということで、最も人気のレトルトカレーなのかもしれませんね。

要因としては子供から大人まで親しまれるブランドであることが考えられます。

先程も紹介しましたが、甘口・中辛・辛口と消費者に合わせたカレーの楽しみ方ができるので、抵抗なく購買・消費が楽しめます。

次にコスパ・経済性ではハウス カリー屋カレーが1位となりました。

こちらもハウス食品株式会社のブランドです。

ハウス カリー屋カレーは甘口・中辛・辛口に加えて、大辛やハヤシライスなどバリエーションが豊富となっています。

さらに20種類以上のスパイスを使用することでより本格的なカレーを楽しむことができ、1袋100円前後と手頃な価格で買えるのも特徴の1つです。

安価でたくさんの種類のカレーが楽しめる点が大きな要因ではないでしょうか。

ハマる・依存する×期待感・ワクワク

次は個人的にピックアップしたい2つをご紹介します。

安く簡単に買えるレトルトカレーが、ハマってしまうほど美味しかったらリピート顧客の増加がより見込めますよね。

さらに”食事”というもの自体にワクワクする人も多い中で、日常的な食事でワクワクがあると最高の商品なのは間違いないですよね。

このポジショニングでは、そういったブランド知名度にあまり影響されないようなイメージ項目をご紹介します。

※絞り込み条件 : 現在購入層

まずハマる・依存するではハウス タイ風グリーンカレーが1位となりました。

ハウス タイ風グリーンカレーは、ココナッツミルクのコクにこぶみかんやレモングラスなどのハーブを使用したタイペーストの鮮烈な香りが特徴となっています。

実際に消費者の声を見てみると、スパイシーさが特徴の「タイ風」や「グリーンカレー」を本格的に楽しめるとして高評価を得ているようです。

これだけ多くのカレーブランドがある中で、最も依存性の高いレトルトカレーは興味深いですね。

次に期待感・ワクワクはS&B 噂の名店シリーズが1位となりました。

S&B 噂の名店シリーズはエスビー食品株式会社が展開するカレーブランドです。

噂の名店シリーズは単なるレトルトカレーではなく、実際に人気のあるカレー店が監修しているという特徴があります。

さらに全国の人気カレーを販売しているため、その場に行かずとも地域ごとの特色が本格的に味わえるようになっています。

値段は平均的なレトルトカレーと比較すればやや高めですが、「期待感・ワクワク」の数値を見れば商品のクオリティが良いことは間違いないと言えるでしょう。

そして最後に1つ注目したいのは無印良品のレトルトカレーです。

無印良品が展開するレトルトカレーは「無印良品 レトルトカレー」と「無印良品 素材を生かしたカレー」となっています。

ポジショニングを見れば「ハマる・依存する」「期待感・ワクワク」どちらも高い数値となっています。

しかし実店舗での購入は一部のコンビニエンスストアと無印良品の店舗でしか難しく、スーパーではほとんど見かけません。

ですがどちらのイメージ項目も数値が高いことから、施策によってはブランド価値の更なる向上に期待が持てるブランドの1つと言えます。

ブランド認知度(無印良品 レトルトカレー)

ここまでレトルトカレー業界全体について分析しましたが、ここからはブランドを1つピックアップして分析していきます。

今回のブランド分析は、他のブランドとは違った存在感を持つ無印良品 レトルトカレーに焦点を合わせて見ていきたいと思います。

ここからは「無印良品 レトルトカレー」と「無印良品 素材を生かしたカレー」を同じブランドとして分析していきます。

※「無印良品 レトルトカレー」に「無印良品 素材を生かしたカレー」の意見が多く見受けられたため。

ブランド認知調査

無印良品レトルトカレーは未認知が最も多い結果となりました。

そして認知ありの中で最も高い項目はチャンスであり、ロイヤル層は20%でした。

チャンスが18.8%ということで「購入経験は無いが、購入意向がある」という人が多く、購入機会の提供を増やすことがロイヤル層の増加に繋がるカギとなるかもしれません。

この結果をもとに7Journey Tableを用いて、さらに深堀りしていきます。

ブランドロイヤルティ調査

性別から見てみると、積極ロイヤルや巻き戻し、チャンスは女性の方が割合の高い結果となっています。

対して未認知は男性の方が高いことが確認できます。

特に積極ロイヤルやチャンスは男女比に大きな偏りがあるとも見て取れます。

次に年齢別で見ていくと、積極ロイヤルは20代30代の割合が高く、巻き戻しは30代後半40代前半が高い結果でした。

また50代後半60代前半のきっかけ待ちも割合が高く、幅広い層に興味・関心があると考えられます。

さらに個人年収で見てみると200万円未満のロイヤル層の割合が低く、きっかけ待ちの割合が高い結果でした。

年齢層や個人年収からきっかけ待ちの解像度が上がったのは大きな収穫ですね。

ブランドイメージ

次にブランドのイメージについて分析してみます。

どんなイメージを持っているのか?

まずはイメージ分析を用いて、ブランドイメージを確かめていきます。

ポジショニング分析とはまた違う発見があるかもしれません。

ここでも現在購買・利用している人が、ブランドにどのようなイメージを持っているか分析したいので、現在購入層に限定して分析していきます。

※絞り込み条件 : 現在購入層

最も高いイメージは期待感・ワクワクでした。

ポジショニング分析でも非常に高い数値となっていましたよね。

さらに利便・合理性も強いイメージとなっており、要因としてはいくつか考えられます。

1つはパッケージデザインです。

無印良品の特徴であるシンプルなデザインに平たくコンパクトな袋となっているので収納しやすさがあります。

加えて常温保存や長期保存が可能で、パウチであることからアウトドアでの利用にも適したつくりとなっています。

次に考えられるのは「素材を活かしたカレー」シリーズです。

「素材を活かしたカレー」ではバターチキンやグリーンカレーなど、様々なカレーを本格的なクオリティで食べることができます。

またヴィ―ガンやグルテンフリーなど健康志向に合わせた食品も多数存在しており、こういった点から利便・合理性のイメージが強くなっていると考えられます。

そして話題の・流行っているも平均を大きく上回っており、現在注目されているブランドであることが確認できます。

この結果をもとに消費者の声を用いて、より具体的に見ていきます。

どんな言葉を使ってブランドを表現しているのか?

消費者の声で最も多かった意見は「種類の豊富さ」です。

同じブランドでも種類が多いことによって飽きずに楽しみ続けられている消費者が多いようです。

特に種類が豊富なだけでなく、それぞれの商品のクオリティが高いことが好印象となっています。

また「値段」に関する賛否両論も多くありました。

「高いけど美味しい」という人もいれば、「高いから買わない」という声も少なくありませんでした。

つまりスーパーによく売られている定番ブランドとはやや存在感が違うといえますし、特別感のあるブランドと認識している人もいるように考えられます。

マーケの可能性を探る

ここからは無印良品レトルトカレーのブランド価値をさらに向上させるための課題やヒントを探っていきたいと思います。

今回はロイヤル層を増やすためのヒントを中心に探っていきたいと思います。

転換率は良い方?悪い方?

まずは転換率から探るために、ファネル分析を用いて見ていきます。

ここでは転換率の良し悪しをより明確にするために、認知率や好感率で1位だったハウスバーモントカレーと比較しながら分析してみます。

両ブランドを比較してみて、大きな差があるのは「購入意向→現在購入」の転換率です。

原因として考えられるのはやはり購入機会の違いです。

ハウスバーモントカレーはほとんどのスーパーやコンビニで販売されており、他にもさまざまな通販サイトでも購入が可能となっています。

対して無印良品レトルトカレーは無印良品の直営店やオンラインショップの他に、一部のコンビニやスーパー、通販サイトで購入が可能となっています。

しかしハウスバーモントカレーほど購入できる場所が多いわけではないので、日常的に購入される”レトルトカレー”では、購入機会の差が転換率に大きく影響していると考えられます。

またレトルトカレー全体のイメージ分析では「家庭的・安堵感」や「コスパ・経済性」が上位にランクインしており、やや価格帯の高い無印良品は日常的に利用できる印象が弱いのかもしれません。

潜在顧客層にはどんな人がいる?

次にファネル分析の結果から、潜在顧客がロイヤル層増加のカギを握っていることが確認できたので、ここからは潜在顧客層の特徴を見ていきます。

既に得ている情報として50代後半や60代前半、そして個人収入が200万円未満のきっかけ待ちが多かったですよね。

さらに女性のチャンスも多かったことを確認しています。

※絞り込み条件 : 潜在顧客層

サイコグラフィックを見てみると、潜在顧客層はインドア派傍観者 事なかれ主義の割合が高いようです。

家でゆっくりするのが好きな人や損をしたくない性格の人が多いと確認できます。

さらに対人ストレス過多家族にストレスも割合が高く、人付き合いが苦手な人や一人を好む人も多いようです。

※絞り込み条件 : 潜在顧客層

さらに直感消費コスパ消費ノスタルジー消費の割合も高い結果でした。

コスパを意識して購買する人や過去の好印象を判断材料にする人が多いようです。

無印良品レトルトカレーのパッケージデザインは余計な装飾が無く、シンプルな色使いなので直感消費とはマッチしそうですよね。

ユーザーは、どんなSNSを見ている?

最後にSNSの利用状況を見ていきます。

分析の前に各SNSで無印良品の公式アカウントと、「レトルトカレー」についての内容をどれくらいの頻度で投稿しているかを見てみます。(2025年3月時点)

・X(旧Twitter)→95.2万人

レトルトカレーに関する投稿頻度は週に1〜2個。おもに人気商品やアレンジ料理の紹介など。

・Instagram→332.7万人

レトルトカレーに関する投稿はほとんどなし。新商品が発売されると特集に組まれる程度。

・YouTube→7.79万人

レトルトカレーに関する投稿はいくつかある程度。おもに商品紹介やこだわりなどを紹介。

・LINE→ともだち558万人

レトルトカレーに関する投稿はほとんどなし。

・TikTok→12.6万人

レトルトカレーに関する投稿はほとんどなし。

という調査結果でした。(多少の誤差はあり)

どのSNSもレトルトカレー限定の公式アカウントはありませんでしたが、調査したSNSどれも投稿頻度が高く、間接的にレトルトカレーの顧客増加に貢献していることが考えられます。

この結果をもとに分析を行ってみます。

※絞り込み条件 : 現在購買・利用・観戦あり

現在も購買している人はSNS利用率が高く、InstagramX(旧Twitter)LINEの割合が全体よりも高い結果でした。

割合の高かった3つのSNSはどれも、公式アカウントでの発信が積極的でした。

さらに注目の商品や新商品を紹介したり、使い方・アレンジなどのコツを紹介したりと誘引を狙ったコンテンツが多く見受けられました。

やはり違った目的で実店舗やオンラインショップを利用した際に、寄り道する感覚で購入する人が多いのではないでしょうか。

イメージの強かった「ハマる・依存する」「期待感・ワクワク」などから、商品のクオリティも高く、良い印象を持っている人も多いかと思います。

※絞り込み条件 : 購買・利用・観戦経験なし

対して購買経験がない人は、SNSの利用率は全体よりも低い結果でした。

しかしX(旧Twitter)は閲覧率も高く、SNSでの誘引も可能性があると考えられます。

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今回はレトルトカレー業界の市場分析と、「無印良品 レトルトカレー」について認知度〜イメージ調査まで見てきました。

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