【保存版】STP分析ガイド2025|手順と事例


STP分析の基本ステップ

STP分析とは?

マーケティングを成功に導くための基本のフレームワークのひとつにSTP分析があります。STPとは、Segmentation(市場細分化)、Targeting(標的市場の選定)、Positioning(市場での位置づけ)という3つのステップで構成されるフレームワークです。

このSTP分析、多くの成功企業が活用しているにもかかわらず、正しく理解し実践できていないことも。ステップごとに活用の仕方をお伝えします。

STPの正しい理解と活用する3ステップ

まずは、実際の活用事例を見てみましょう。

スターバックスは、コーヒー市場を「価格重視層」「移動時の一服を求める層」「コーヒーと共に時間を過ごしたい層」「高品質な豆やこだわりの抽出を重視する層」といった形で細かく分類しました。

その中から、「コーヒーと共に質の高い時間を過ごしたい層」と「高品質な豆を求める層」を主要ターゲットとして選定。そして「サードプレイス」というコンセプトを確立し、単なるコーヒーショップ以上の価値を提供するブランドとしての位置づけを確立したのです。

自社のマーケティングにおいて大事なSTPを正しく活用するには、以下の3つのステップを意識することが重要です。

■STP分析の3つの基本ステップ

  1. 市場理解:市場規模、成長性、競合状況の把握
  2. 自社分析:強み、弱み、利用可能なリソースの確認
  3. 戦略立案:具体的な数値目標とアクションプランの策定
  4. 現代のマーケティングでSTP分析が重要な理由とメリット

どのセグメンテーション(S)にするかで勝負が決まる

セグメンテーションの切り口とアプローチ方法

STP分析の最初のステップであるセグメンテーションは、戦略の成否を決める重要な要素です。市場を分割(セグメント化)し、それぞれの特徴を明確にしていきます。

代表的な企業の事例から、効果的なセグメンテーションの方法を見ていきましょう。

デモグラセグメント

ユニクロは、デモグラフィック特性をベースとし、独自のセグメントを確立しています。幅広い年齢層向けのベーシックライン、ファッション感度の高い30-40代向けの+J、トレンドを重視する20-30代向けのユニクロUといったように、顧客層に応じた明確な区分けがなされています。

ジオグラフィックセグメント

ニトリの展開方法は地理的特性による分類の好例です。都市部では収納重視のコンパクトな商品構成、郊外では大型家具中心の幅広い品揃え、寒冷地では季節商品の展開時期を調整するなど、地域特性に合わせた柔軟な戦略を展開しています。

価値観セグメント

パタゴニアのアプローチも特徴的です。パタゴニアは顧客の価値観やライフスタイルを重視し、環境保護への関心が高く、アウトドア活動に積極的な層をターゲットとしています。この明確な市場選定が、ブランドの一貫性と強固な顧客基盤の構築につながっています。

セグメンテーションの失敗事例と成功のための7つのポイント

セグメンテーションは、一見シンプルに見えて実は多くの企業が躓くステップです。

例えば「20-30代女性」という大きすぎるセグメント設定をしてしまうと、商品開発の方向性が定まらず、ターゲットに響かない商品が開発され、在庫過多に陥るなどのケースがあります。

このような失敗をしないために、セグメントのポイントを以下に列挙します。

■成功のための7つのポイント

  1. データに基づく判断:感覚や経験則だけに頼らない
  2. 適切な粒度設定:実務に活用できるレベルまで細分化
  3. 測定可能性:効果検証ができる指標の設定
  4. 実行可能性:自社リソースでアプローチ可能な規模
  5. 収益性:投資対効果が見込める市場規模
  6. 差別化可能性:競合との明確な違いが出せる
  7. 継続的な見直し:市場環境の変化に応じた更新

ターゲティング(T)とポジショニング(P)の実践テクニック

最適なターゲットの選定と評価

セグメンテーションで分類した市場の中から、最適なターゲットを選定します。

アサヒビールの「スーパードライ」は、この段階での的確な判断が成功につながった好例です。同社は、ビール市場全体が伸び悩む中、若年層の嗜好変化に着目しました。

特に、20-30代のビジネスパーソンを中心に、辛口嗜好が台頭していることを発見。さらに、飲食店での需要増加という傾向も捉え、新しい価値観を受け入れやすい層をメインターゲットとして設定しました。

ターゲット市場の選定では、以下の4つの視点から総合的な評価を行うことが重要。

■市場の魅力度を評価する4つの指標

  1. 市場規模と成長性:現在の規模と将来の成長予測
  2. 収益性:想定利益率と必要投資
  3. 競争環境:競合状況と参入障壁
  4. 自社との適合性:既存リソースの活用可能性

ポジショニングマップの作り方と差別化

選定したターゲット市場で、どのような位置取りを目指すのか。それを明確にするのがポジショニングです。

ポジショニングの成功事例として、トヨタの「LEXUS」ブランドの展開が挙げられます。LEXUSは、日本車としては初めてのプレミアムブランドとして、「品質の高さ」と「先進的な技術」という2つの軸でポジショニングを確立しました。当時、高級車市場はベンツやBMWがシェアが高かったですが、LEXUSは「新しい価値観を持つ成功者」というターゲットに向けて、独自のブランド価値を構築することに成功しています。

このような効果的なポジショニングを実現するためには、3つのステップを意識する必要があります。

①競合企業の現在の位置取りを把握します
②顧客にとって重要な価値基準を特定します。
③競合と差別化できる要素を見出し、そこに自社の経営資源を集中させるのです。

■ポジショニング戦略の具体例

  • アップル:卓越したデザインと使いやすさ
  • ユニクロ:高品質なベーシック衣料
  • 楽天:豊富な品揃えと独自のポイントシステム

STP分析を成功に導く最新アプローチ

業界別STP分析5選

業界によってSTP分析の効果的な活用方法は異なります。代表的な業界の成功事例から、実践のヒントを探ってみましょう。

ニトリの事例 「家具メーカー」

「お、ねだん以上。」というポジショニングを確立し、品質の割に手頃な価格帯という明確な市場位置を獲得しました。特筆すべきは、商品開発から店舗展開まで、このポジショニングを一貫して貫いている点です。

カゴメの事例 「飲料メーカー」

健康志向の高まりを早期に察知し、野菜摂取増加というニーズに焦点を当てた製品開発を展開。特に、野菜ジュース市場では、機能性表示食品としていち早く市場に参入し、リーダーポジションを確立しています。

セールスフォースの事例 「SaaS企業」

企業規模や業種に応じたきめ細かいセグメンテーションを行い、それぞれのニーズに合わせたソリューションを提供。クラウドCRM市場でのリーダーポジションを確立しました。

Knowns 消費者リサーチで実現する効率的なSTP分析と市場理解

STP分析を進めていくにあたっては、それぞれのステップを確実に行うために消費者やブランドデータが必要となります。
ただ、従来の市場調査では、データ収集に時間がかかり、コストも高額になりがちでした。

Knowns 消費者リサーチは、このような課題を解決し、STP分析をすばやくできるようになるデータベースを提供しています。数年にわたる市場データ収集、競合情報の継続的モニタリング、消費者トレンドの変化検知など、従来多くの時間とコストを要していた作業を大幅に効率化できます。

すでに運営している商品・サービスに対してもデモグラデータやイメージデータが蓄積されており、競合との差分がどこにあるのかをすぐに知れます。

セグメント・ターゲットの設定に必要なデータを一瞬で

たとえば、本記事で取り上げたブランドを例にとると、KnownsBizはこのようなデータを、たった1分で見ることができます。

例)ニトリ

ポジショニングの設定に必要なデータを一瞬で

また、ポジショニングを取るために必要なデータとして、競合のブランドや自社ブランドがどんなブランド価値を持たれているかを取得することができます。

例)レクサス

ブランドの、デモグラデータのみでなくイメージや印象のデータも1分で確認することができます。これらのデータがあることで、STP分析はスムーズに進められます。

仮にブランドのデータがない場合も、1週間以内にアンケートを消費者に向けて依頼することでデータを集めることができます。

いまなら2週間無料トライアルを実施中、この期間中に自社のデータを確認し、より効果的なSTP分析の実現にお役立てください。